第十二話 チャリ、復活
月曜日。
自作弁当を妹と父さんに持たせて見送り、一番遅く家を出た。俺は通学時間が家族内で一番短く、チャリで十五分程度なのだ。
金曜の学校帰りに、デパート内の修理屋へ取りに行ったチャリは、パンクしたタイヤを代えてもらい絶好調である!
アスファルトの上を転がり、シャーッと鳴るタイヤの音を聞きながら、俺は何だか気分がよくなった。お帰り、チャリ。
まだまだ、死にそうレベルの暑さが続く中、チャリがいるのは何とも心強い。
今日も鮮やかな青い空の下、風を切る感覚が心地よく感じる。
朝の、まだ太陽がギラつく前のこの時間は、昼頃と比べていくらか楽だ。
いや、まぁ、楽なだけで、暑くないわけではねーんだけど。その証拠に、額や背中から汗が流れまくっている。
――アクアンは、土日もはさんで落ち着いたことだし、消える魔法を使って学校にまで着いてくるのかと思いきや、「魔法を使えば魔力の香りがしてしまうからな。それで悪魔にバレてもやっかいだろう」と言って留守番となった。(金曜はバタバタしてたから来なかった)
なんでも、魔力は独特の香りがするのだとかなんだとか……。ちなみに人間には嗅げないらしい。アクアンは人間には魔力ねーからだって言ってた。人間、魔力に縁がなさすぎじゃね?
でも実際、魔力を実感したことなんてもちろんない訳で。正直よく分からず、「ふーん」と流した。
それに、悪魔が来ようが鍵がどうしようが、魔力がなかろうが香ろうが、変わらず学校はあるのだ。夏休みの宿題とか提出とか宿題とか宿題とか。
俺はありふれた日常的なかっこいいあれに向かうべく、チャリのペダルを踏んだ。




