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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第7章:東都の日常④

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第77話:関わり合いになりたくない人とは顧客のせいにして逃げ切るべきである。

お局様は男でも女でもうざったいよね。って話。

俺は自称天才エンジニアである。




理論は完璧。


ロジックは美しい。


想定外は想定済み。




――の、はずだった。


俺は、メールを三度見していた。


件名:


【調査依頼】過去設定資料確認のお願い


本文を読んだ瞬間、

俺は静かに天を仰いだ。


「終わった……」


その案件には、

一つだけ問題があった。


過去資料の管理者が、

“お局爺”なのである。


部署最古参。


知識量は本物。


だが機嫌・縄張り・気分・過去の因縁で

難易度が変動するタイプの古代ボス。


下手に近づくと、


「前も説明したよね?」


「そこに書いてあるよ?」


「最新版どれかわかってる?」


などの固定ダメージを喰らう。


しかも最悪なことに、

先日の愚痴事件で、

俺の印象はあまり良くない。


俺は悟った。


――正面から行ったら死ぬ。


そこで俺は、

社会人として進化した知恵を使った。


顧客依頼メール全文コピー。


これである。


数分後。


俺は、

必要最低限の笑顔を装備し、

お局爺の席へ向かった。


「すみません。

顧客から調査依頼来てまして……

こちらの資料確認だけお願いできますか?」


“俺が知りたい”

ではない。


“顧客対応”

である。


責任分散。

最強の防御魔法。


お局爺は、

メールを見る。


「……あー、これか」


来た。


通った。


俺は一切雑談しなかった。


昔の俺なら、


「どういう経緯なんですか?」

「これって他にもあります?」

「なんでこうなってるんです?」


などと聞いていた。


違う。


それをやると、

サブクエストが増える。


今日はデータだけだ。


俺は、

必要資料を最速で回収した。


「助かりました。

ありがとうございます!」


礼だけは最大出力。


だが滞在時間は最小。


嫌味の詠唱が始まる前に、

即撤退。


帰席した俺は、

静かにコーヒーを飲んだ。


勝った。


技術的には何も解決していない。


だが社会人としては完全勝利だった。


その後、

上司が後ろからひょこっと現れた。


「珍しく無傷で帰ってきましたね」


俺は遠い目をした。


「若い頃は、

まともに相手してましたからね……」


上司は吹き出した。


「あー……

今は“接触時間減らす”型なんですね」


俺は頷いた。


「嫌いな相手でも、

仕事も家庭も回りますからね。

期待しなければ」


上司は笑いながら言った。


「大人になりましたねぇ」


俺は静かに訂正した。


「違います。

被弾回避を覚えただけです」


その瞬間。


Teamsが鳴った。


送り主:


お局爺。


俺は固まった。


恐る恐る開く。


『ちなみにその資料、

旧版だから最新版も見といて』


俺くん。


静かに天を仰いだ。


ファ!?


嫌がらせの二段攻撃。これもお局あるあるです。


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