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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第6章結城家帰省編

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第73話:善意で殴ってくる叔母の話

どこにでもいる、胸糞善意叔母さんの話です。

葬儀って、だいたい疲れる。


精神的にもそうだし、

何よりやることが多い。


手続き、段取り、連絡。

普通に業務。


で、そんな中。


一番上の叔母が、いた。


俺はこの人をこう定義している。


「主語が“私”の善人」


---


「私が挨拶して回ってあげてるから」


いや、頼んでない。


「店もやる人いないから、私が手伝ってあげてるの」


いや、それやりたいのあんただけだろ。


「大変な妹家族を、私が支えてあげてるのよ」

 

いや、支え方がズレてる。


---


全部に共通してるのは一つ。 


主語が“私”。


---


その結果どうなるかというと、


他人の人生が、

その人の物語の材料になる。


---


「仕事辞めてでも店やった方がいいんじゃない?」 


軽い。


軽いけど、重い。


言ってる側は“善意”だから。


---


裏で聞こえてきた話も、だいたい同じ。


「私がいなかったら回らないから」


「私が動いてあげてるから成り立ってるの」


うん。


じゃあやめたらいいんじゃない?


とは誰も言わない。

---


で、一番ゾワっとしたのは別件。


昔の話らしい。


赤ちゃんが危ない状況で、

近くにいたのに、助けなかったらしい。

 

理由は単純。


自分の身内じゃなかったから。



---


ああ、なるほど。


この人の世界はこうだ。


身内 → 大事


それ以外 → どうでもいい



 


でもその“身内”ですら、


 


“私の物語の中の登場人物”


なんだろうな、と思った。


 



---


だから、


何を話してても最終的にこうなる。


 


「うちの子がね」

「うちの孫がね」

「私がね」


 


ループ。


 


無限ループ。


 



---


俺は思った。


 


ああ、この人。


 


悪人じゃない。


 


でもたぶん、


 


一番関わると疲れるタイプの人間だ。


 



---


で、どうするかって話なんだけど。

 


結論は簡単。


 


距離を取る。


 


これに尽きる。


 



---


正面から殴り合うと、


向こうは“善意”だから折れない。


 


むしろこっちが悪者になる。


 


理不尽RPG。


 



---


だから俺は、こうする。


 


「そうなんですねー」


 


これだけ言って、離れる。


 



---


削るけど、壊さない。


 


これが社会人の最適解だ。


 



---


なお、俺の嫁は


この人に対して長文を送りつけていた。


たぶん、限界だったんだと思う。


気持ちは、わかる。


めちゃくちゃ、わかる。


善意が必ずしも正しいという訳ではない。

世界はそんなに単純じゃない。


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