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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第3章 東都の日常②

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第38話: 「野球脳の後輩にロジックで指導したら、俺の方がポンコツ扱いされた件」

「先輩、これ俺に振られてるタスクって、守備範囲どこっすか?」


出た。

野球脳。


俺は静かにモニターを見ながら答える。


「守備範囲っていうか、仕様書に書いてある通り全部だが?」


「全部っすか?ショートで外野まで見る感じっすか?」


いや知らん。


「全部だ」


「え、それセンターカバーまで入ってません?」


なんでそんな具体的なんだよ。



こいつは新人のくせに、やたら例えが野球だ。


そして困ったことに――

その例え、妙に分かりやすい。



「じゃあこのタスク、どのタイミングで投げればいいです?」


「投げるっていうか、レビュー出せばいい」


「何回です?1回で決めにいく感じですか?」


お前は何と戦ってるんだ。



「……別に1回で通らなくてもいい。段階踏め」


「なるほど、バントで進める感じっすね」


違う。

いや、合ってるのか?


一瞬思考が止まる。



その隙を突くように、後輩は畳みかけてくる。


「じゃあ今の俺、フルスイングしすぎってことっすか?」


「……そうだな」


「やっぱっすよね。なんか空振り多い気してたんすよ」


いやお前、普通に有能だろ。



気づいた時には、完全にペースを握られていた。


俺はロジックで説明しているはずなのに、

なぜか全部、野球に変換されていく。



「先輩、これ本番っすか?それともノックっすか?」


「……ノックだ」


「了解っす。じゃあ多少ミスってもいいっすね」


なんで俺より理解が早いんだ。



その時だった。


「――いいじゃん、その教え方」


後ろから、あの声。


振り返るまでもない。



「野球で例えると、分かりやすいんでしょ?」


上司がコーヒー片手に言う。


「はい。めちゃくちゃ分かりやすいっす」


後輩が即答する。



「じゃあそれで統一しなよ」


軽い一言だった。


だが、次の瞬間。



「今日のタスク、全部“試合”として考えていいから」


「今はまだ3回。焦らなくていい」



後輩の目の色が変わる。


「……了解っす。じゃあ確実に出塁していきます」



俺は理解した。


こいつは今――

完全にゾーンに入った。



「あと」


上司が俺を見る。


嫌な予感しかしない。



「アンタ、説明ちょっと固い」


やめろ。



「“いいスイングしてる”くらい言ってあげなよ」



……は?



後輩がこっちを見る。


期待に満ちた目で。


やめろその目。



「……いいスイング、してる」


言ってしまった。



「マジっすか!?ありがとうございます!!」


なんでそんなに嬉しそうなんだよ。



上司は満足そうに頷いた。


「ほら、伸びるでしょ」



その瞬間、理解した。



ロジックで教えてたのは俺のはずなのに、

育ててるのは完全にあの人だ。



そして俺は今日も――


ポンコツ側に回る。


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