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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第3章 東都の日常②

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第37話「削れる工数、削れない現実」

俺は自称天才エンジニアである。


理論は完璧。

ロジックは美しい。

想定外は想定済み。


――の、はずだった。



「この工程、もう少し工数削れますよね?」


会議室。


顧客が、資料を指で叩いた。


その声は柔らかい。

だが中身は硬い。


圧だ。


俺は一瞬で理解した。


――ああ、これ上から来てるな。


削れない。


だが、「削れない」と言った瞬間に負ける。


この手の話は論理じゃない。

“構造”だ。


俺は答えた。


「可能です。ただし、品質への影響が出ます」


Yesの形をしたNo。


これが最適解。


「品質は維持したままでお願いします」


来た。


無茶振りの完成形。


“現実無視モード”発動。


俺は資料を見直す。


工程を分解する。


見えない工数を洗い出す。


・調整

・確認

・再作業

・障害対応


全部、削れない。


削れるのは、表面だけだ。


「では、この確認工程を削減します」


俺は一つ、削れるように見える部分を提示した。


顧客は頷く。


「いいですね。それでいきましょう」


――やらかした。


そこ、削ると事故る場所だ。


会議後。


顧客がぽつりと言った。


「副理事長から、工数下げろって言われてて…」


出た。


元凶。


現場を知らない、上位レイヤー。


数字だけで世界を回す存在。


俺は理解した。


敵は目の前じゃない。


“上”だ。


構造の上流にいるバグ。


その時、隣で上司が一言。


「じゃあ、その副理事長に」


間。


「同じ工程、やらせましょうか」


空気が凍った。


俺は思った。


――この人、


バグに直接パッチ当てに行くタイプだ。


次の瞬間。


上司は普通の顔でコーヒーを飲んでいた。


まるで何もなかったかのように。



俺は理解した。


この人、


たまに世界のルールを書き換える。

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