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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第2章 Arjuna

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32/65

第32話「事故」

その音は、


最初


誰も


音楽の一部だと思った。


ライブの最後。


Arjuna


歌。


ドラム。


太鼓。


観客の手拍子。


全部が


一つになっている。


ステージ。


光の歌姫が


高い音を伸ばす。


影の歌姫が


その下を支える。


ドラム。


重いリズム。


ライブハウスが


揺れている。


歓声。


照明。


そして


その音がした。


――ガン。


ほんの一瞬。


リズムと


少しだけ


違う音。


観客は


まだ気付かない。


ドラムは続く。


歌も続く。


でも


次の瞬間。


照明が


揺れた。


誰かが


叫んだ。


音が


一気に


崩れる。


歓声が


悲鳴に変わる。


ステージ。


誰かが


倒れる。


ドラムが止まる。


歌も止まる。


太鼓も止まる。


ただ


ざわめきだけが


残る。


影の歌姫が


名前を呼ぶ。


何度も。


何度も。


観客は


何が起きたのか


分からない。


誰も


理解していない。


ただ


空気だけが


変わっていた。


ついさっきまで


音楽だった場所が、


突然


静かになった。


その夜。


ライブは


途中で終わった。


誰も


アンコールを


言わなかった。

事故というものは、


突然起きます。


そして


その瞬間、


それまでの空気を


全部変えてしまう。


さっきまで


楽しかった場所が、


一瞬で


違う場所になる。


人生の中には


そういう瞬間が


あります。

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