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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第2章 Arjuna

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31/60

第31話「最後のライブ」

そのライブは、


最初から


いつもより


少しだけ


人が多かった。


ポスター。


入口。


そこには


二つの名前。


ALDiA PERCUSSION


JURA IMPACT


そして


その下。


小さく書かれている。


Arjuna


客がざわつく。


「またやるの?」


「今日も?」


「マジか」


ライブハウスは


満員だった。


舞台裏。


光の歌姫が言う。


「人すごいね」


影の歌姫がうなずく。


「うん」


少し笑う。


「Arjuna人気」


光の歌姫が言う。


「ちょっと怖い」


影の歌姫が聞く。


「なんで?」


光の歌姫は少し考える。


「大きくなりすぎてる」


影の歌姫は言う。


「ライブはいつも大きいよ」


光の歌姫が笑う。


「そうだけど」


一拍。


「でも今日」


「空気違う」


その頃。


別の楽屋。


長い黒髪。


鼓動のリーダーが


ドラムスティックを


静かに並べている。


メンバーが言う。


「また満員」


リーダーは言う。


「うん」


メンバーが笑う。


「Arjunaすごいね」


リーダーは


少しだけ笑う。


「いい曲だから」


メンバーが言う。


「今日も共演?」


リーダーはうなずく。


「最後」


一拍。


「アンコール」


ステージ。


照明。


歓声。


ライブが始まる。


まず


ジュラ・インパクト。


歌。


光の声。


影の声。


観客が


静かに聞く。


曲が終わる。


拍手。


次。


鼓動のユニット。


太鼓。


ドラム。


リズム。


観客の手拍子。


熱気が上がる。


ライブは


順調だった。


何も


問題はない。


そして


最後。


ステージに


二つのバンドが並ぶ。


観客が


ざわつく。


「来た」


「Arjuna」


光の歌姫が


マイクを持つ。


影の歌姫が


横に立つ。


鼓動のリーダーが


ドラムに座る。


照明が


落ちる。


静寂。


そして


最初の一音。


歌。


ドラム。


太鼓。


重なる。


観客の歓声。


ライブハウスが


揺れる。


Arjuna。


その夜も


完璧だった。


ただ


ほんの少しだけ。


ほんの少しだけ


違った。


ステージの上で、


光の歌姫が


一瞬だけ


客席を見た。


まるで


何かを


探すみたいに。


そのあと


笑った。


そして


歌った。


それが


その人の


最後のライブだった。

ライブというものは、


その瞬間にしか存在しません。


同じ曲でも


同じメンバーでも


同じにはならない。


だからこそ


あとから振り返ると


「あの日が特別だった」


と思う夜があります。


この日のライブは、


きっと


そういう夜だったのだと思います。

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