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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第2章 Arjuna

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30/59

第30話「Arjuna」

そのライブは、


最初から


少し特別だった。


ライブハウス。


照明。


満員の客。


そして


ポスター。


ステージ横に貼られている。


そこには


こう書かれていた。


ALDiA PERCUSSION


×


JURA IMPACT


Special Session


Arjuna


客がざわつく。


「マジ?」


「共演?」


「初じゃない?」


舞台裏。


光の歌姫がポスターを見る。


「ほんとにやるんだ」


影の歌姫が言う。


「やるって言ったでしょ」


光の歌姫が少し笑う。


「でも」


「ドラム強すぎるよ」


影の歌姫は言う。


「だからいい」


一拍。


「ぶつかる」


その頃。


別の楽屋。


長い黒髪。


鼓動のリーダーが


スティックを指で回している。


メンバーが言う。


「今日ほんとにやるの?」


リーダーは答える。


「やる」


メンバーが言う。


「歌にドラムぶつけるの?」


リーダーは少し笑う。


「ぶつけない」


一拍。


「合わせる」


ステージ。


照明が落ちる。


観客が静まる。


まず


ジュラ・インパクト。


歌が始まる。


光の声。


影の声。


重なる。


空間が広がる。


そこに


ドラム。


一打。


観客がざわつく。


舞台袖から


鼓動のユニットが入る。


太鼓。


リズム。


歌と


ドラムが


重なる。


さっきまで


歌の空間だった場所に


鼓動が入る。


そして


サビ。


音が


一つになる。


光の歌。


影の歌。


太鼓。


ドラム。


観客の手拍子。


ライブハウスが


揺れる。


舞台中央。


長い黒髪のリーダーが


スティックを振る。


光の歌姫が


高音を伸ばす。


影の歌姫が


下を支える。


曲が


頂点に達する。


そして


最後の一音。


静寂。


一瞬。


完全に音が消える。


そのあと。


歓声。


爆発みたいな拍手。


観客が叫ぶ。


「すげえ!」


「やばい!」


「伝説!」


ステージ。


三人が顔を見る。


光の歌姫が笑う。


「すごいね」


影の歌姫も笑う。


鼓動のリーダーも


少しだけ笑う。


その時


客席から声。


「曲名!」


「なんて曲!?」


光の歌姫が


マイクに向かう。


少し考えて、


言う。


「Arjuna」


観客が


また沸く。


その夜。


その曲は


初めて演奏された。


そして


その日から


語られるようになる。


Arjuna


ジュラ・インパクト。


アルディア・パーカッション。


二つのバンドが


同じステージに立った


伝説の曲。


まだ誰も知らない。


このライブが


頂点だったことを。

音楽には、


たまに


「その場にいた人しか分からない瞬間」


があります。


録音でも、


動画でも、


完全には残らない。


でも


その場にいた人の中では


ずっと残る。


そういうライブは


たぶん


一生に何回もありません。


この日のライブは、


きっと


そういう夜だったのだと思います。

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