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俺の上司が凄すぎて自称天才エンジニアの俺がポンコツに見える件  作者: 慧梓
第1章 東都の日常

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第27話「新人、調べすぎる」

俺は自称天才エンジニアである。


理論は完璧。

ロジックは美しい。

想定外は想定済み。


――の、はずだった。


朝。


席に座る。


新人がいる。


顔が


真剣。


嫌な予感。


俺は聞く。


「どうした」


新人が言う。


「先輩」


「昨日」


「ちょっと調べたんです」


俺は思う。


やめろ。


新人はスマホを出す。


画面。


アルディア・パーカッション


動画。


記事。


コメント。


大量。


新人が言う。


「このグループ」


「伝説らしいです」


俺は言う。


「へえ」


新人は続ける。


「ジュラ・インパクトと」


「同時代」


俺は黙る。


新人は言う。


「しかも」


「最大のライバル」


俺は言う。


「仕事しろ」


新人は止まらない。


「で」


「このリーダーなんですけど」


動画を止める。


画面。


白い衣装。


長い黒髪。


ドラム。


新人が言う。


「これ」


「上司さんですよね」


俺は答える。


「違う」


新人は言う。


「でも」


「ドラム」


「リズム」


「目」


「声」


俺は言う。


「偶然だ」


新人は言う。


「あと」


記事を開く。


「解散理由」


俺は止まる。


新人が読む。


「ジュラ・インパクト事故後」


「活動停止」


俺は言う。


「新人」


新人が言う。


「先輩」


「これ絶対」


その瞬間。


後ろから声。


「何が絶対?」


上司だった。


新人が固まる。


俺が言う。


「調べ物です」


上司は聞く。


「何を?」


新人が答える。


「音楽です」


上司は言う。


「いいわね」


「音楽」


新人は言う。


「このグループなんですけど」


スマホを見せる。


上司は画面を見る。


止まる。


ほんの一瞬。


それだけ。


上司は言った。


「いいリズムね」


新人が聞く。


「知ってるんですか?」


上司は少し笑う。


「昔の音楽よ」


それだけ言って


席に戻る。


新人が小声で言う。


「絶対そうですよ」


俺は答える。


「たぶんな」


新人が言う。


「でも」


「なんで言わないんですかね」


俺は言った。


「たぶん」


「言う必要ないからだ」


新人は少し黙る。


そして言った。


「先輩」


俺は言う。


「なんだ」


新人が言う。


「この会社」


「すごい人多くないですか」


俺は答えた。


「俺もそう思う」

新人というのは


好奇心が強いです。


特に


「気になること」は


徹底的に調べます。


ただし


世の中には


調べても


聞かない方がいいことも


あります。


ちなみに新人はこの日から


上司を見る目が


少し変わりました。


尊敬と


恐怖の


半々です。

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