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激戦の悪鬼世界 蠢く人間界

「はあはあ…これだけあれば!」

ある研究所にて。


血管のような模様が無数に浮かび上がった不気味な石を床に置く人間達。


「レーダーに反応があったから部下を差し向けたが…まさか闇姫軍が地獄石を持っていたとはな」

サングラスの男をはじめとした多くの研究員達が地獄石を部屋にあった土台状の機械にのせ、何かを抜き取っているようだった。

「これだけあれば十分だろう。ようやく完成する…!これで全ての悪鬼を皆殺しだ!」




…その頃。

れなたちは、また新たな敵の出現に拳を握りしめていた。


新たな敵とは…今まで突き進んできた悪鬼達の城。

城そのものが、一体の悪鬼だったのだ。

痩せ細った白い腕を無数に生やし、真っ赤な血管のような管に包まれたとても不気味な城の悪鬼だった。

城からは、あの叡光鬼の声が響いてくる。

「どうですか…!これが我々の同胞の怨念が城と同化した悪鬼、『城壁ノ魔鬼(じょうへきのまき)』です!」

城壁ノ魔鬼は、凄まじい怨念を放っていた。

全身から怒りを体現したような赤い光を放ちながら、無数の腕を伸ばしてくる!

全員が同時にかわし、ラオンがナイフで切りつけて反撃、れなは蹴りを決めて腕を怯ませる!

しかし腕は一本ではない。他の無数の腕が同時に迫り、れなとラオンを地面に叩きつけた!

エックスが直ぐ様腕を蹴飛ばし、吹き飛ばすが、やはり他の腕に背後から掴まれてしまう。

葵は腕目掛けてハンドガンを連射してエックスを解放、自身のエネルギーを込めた弾丸を城壁ノ魔鬼本体に発射!

弾丸は爆発し、城壁ノ魔鬼の一部が壊れ、周囲に飛び散る。

確実にダメージを与えたのだが…。




城壁ノ魔鬼の破壊された表面部位が、みるみる再生してしまう。

即座にドクロは黒い光弾を連射、爆発させるが、やはりすぐに再生されてしまう。

凄い再生力だ。このままではラチがあかない。

更に城壁ノ魔鬼は全身からより目映い赤い光を放出、それを見た一同は突然全身が動かなくなる。

どうやら今の光には体を麻痺させる作用があるようだ…。

動かぬ的と化した一同目掛けて飛んで来る大量の手!

全員が全身を打ち付けられ、苦しみの声をあげる。

「うぐああ!こ、このままじゃ…!」

れみの台詞でより焦りが激しくなる一同。

先程の悪鬼達との戦いで消耗していた事もあり、れなたちは完全に相手のペースに潰されている。

諦めず、粉砕男とエックスが震えながらも両手を広げてできる限り皆の盾となる。そのおかげで、皆はどうにか立ち上がる事ができた。

力で無理矢理動いているだけだった。完全には動けない。

全身を打ち付けられつつ、粉砕男は声を震わせながら言う。

「…どうする…!?やつの再生力は凄まじい!俺達の魔力を合体させて一発撃ち込んでもあの怨念の壁に阻まれ、威力は落ちるだろう…!」

それに合体技など使って消耗すればおしまいだ。

生半可な体力で大技など撃てないが、よりによって相手は大技を使わねば倒せそうにない。

粉砕男とエックスの足がふらつく。このままでは…!




「わらわに任せるのじゃ!」

元気な声が、場の緊張をほぐす。



手をあげたのは妖姫だ。

彼女は異質な存在である為か、あの光が通じないらしい。

驚く一同の視線を浴び、妖姫は誇らしげに胸を張る。

エックスが必死に堪え、自身を打ち付ける手から目をそらして言う。

「な、何か作戦が…?」

「わらわが順番に全員に取り憑く!そしてやつの再生力を上回るダメージを与えるのじゃ!」

つまり、連続で憑依能力を使用し、全員に強力な必殺技を撃たせるという作戦だ。それをラオンは否定する。

「ダメだ!戦闘に不馴れなお前が私達に取り憑いて過度な力を発揮する憑依能力はお前への消耗がでかいはず!連続で憑依でもすれば…!」

妖姫は全力で首を振る。


「わらわは最強の悪霊じゃ!お前らに力を与えるなど訳ないわ!それにこれ以外に作戦はないじゃろう!」

れなとれみは自身の拳を、ラオンはナイフを、葵は銃を見つめる。


そして…妖姫を見る。




…確かに、他に作戦はない。



「…始めてくれ!!」

粉砕男が叫ぶと同時に、妖姫は粉砕男に飛び込んだ!

粉砕男の全身が黄金のオーラに包まれ、背後に妖姫が浮遊する。

やはり、凄まじい力だ。

まず粉砕男は大量の手を右手の拳で放った衝撃波で打ち払う!

そして、直ぐ様左手の拳からも衝撃波を発射、城壁ノ魔鬼の怨念の壁を叩きつけつつ、表面に衝突、瓦礫が飛び散る!

粉砕男の全身から力が抜ける。

次に憑依したのはドクロだ。

紫のオーラを纏いながら両手から黒い光弾を連発、城壁ノ魔鬼の全身が煙に包まれる!


…煙の中から、一本の腕が飛んでくる。

その反撃に対し、妖姫は今度はテリーに憑依、紫に輝く骨を形成、発射して腕を破壊!

次は葵に憑依、エネルギーを込めた弾丸を発射させ、更なる爆発が城壁ノ魔鬼を包む!

濃くなる煙を見ながらエックスに憑依、煙へと飛び込ませ、煙の向こうの城壁ノ魔鬼に強烈な拳をお見舞い!

城壁ノ魔鬼は砕けた表面部位を再生しようとするが…。

「させるかぁ!!」

勇ましい叫びと共に、妖姫はエックスから飛び出し、ラオンに憑依、ナイフに普段以上に輝く紫電を纏わせ、巨大な刃に変え、叩き斬る!

更なるダメージに城壁ノ魔鬼は無数の腕を召喚、反撃を目論むが、妖姫は更にそこかられみに憑依する。

れみは残像を纏いながらとてつもない速さで手を蹴飛ばしまくり、全て蹴散らす!

れみが城壁ノ魔鬼に蹴りを入れる正にその瞬間!

「早く!早くアタシにも出番をおくれええ!」

怨念の麻痺のなか、無理矢理飛んできたれなに憑依し、姉妹同時に蹴りを叩き込む!!

豪音をたてながら揺れ動く城壁ノ魔鬼!

蹴りの反動で後ろへ飛んでいくれなから抜け、次は火竜に憑依!

火竜は炎でできた巨大な拳を自身の目の前に出現させ、発射、直撃した城壁ノ魔鬼は炎に包まれる!


「いくわよ!」

燃え盛る城壁ノ魔鬼を前に、鬼子は鬼人化、それと同時に妖姫が取り憑き、炎の刀が更に勢いよく燃え上がる!


「やるのじゃ、鬼子!」

勢いよく飛翔し、刀を叩きつけてみせた!!

そこから間髪いれずに空中で縦に一回転、踵落としを決め込む!

暴風が巻き起こり、城壁ノ魔鬼は風で消火されながら地面に叩き込まれる。


…全ての手から力が抜け、赤い煙を放ちながら震え…動かなくなる。

怨念の魔力が抜けていき…やがて城壁ノ魔鬼からただの城と化してしまった。


…こいつが悪鬼達の頼みの綱だったのだろうか。




そうなると…やつらに及んだダメージはかなりのものだ。


「…勝った」

れなが崩れるように、岩の地面に座り込んだ。



「ほ、ほら…見たか!」

一番消耗したのは、妖姫だろう。

一同は彼女に走り寄る。

この小さな体で、ここまで戦ってくれたのだ。

…この戦場は彼女には危険すぎると思っていたが、まさか助けられるとは。

「妖姫…!大丈夫!?死ぬな!死ぬなぁぁぁ!!」

…れなが騒いでいるが、妖姫は既に死んでいる。その点を心配する必要はないだろう。

とは言え、彼女の消耗が激しいのも確かだ。これ以上は危険だろう。

葵が立ち上がり、妖姫の手をとる。

「彼女は私が町に連れ戻すわ!事務所に帰し、そのまますぐに戻る…」

「待てぃ!!」

妖姫の離脱を止めるその一言を発したのは、誰あろう妖姫本人だった。

「わらわはまだまだやれる!何も言わず、わらわをこき使うのじゃ!」

胸を張る妖姫だが、鬼子は彼女の小さな体でここから先の戦いに耐えられるとはとても思えなかった。

…かつて幼い身でありながら悪鬼テロに見舞われ、そして歪んだ人間に殺されかけた自分と重なるのだ。

「妖姫!絶対ダメよ!ここから先はきっと悪鬼の首領である亜華魔姫との戦いだわ!あなたも一緒に戦ってくれる心強い仲間!だからこそ、今この場は抜けてほしいの!」

…他の仲間達も頷いた。皆も、全く同じ気持ちだろう。

しかし、それでも妖姫は首を横に振る。

「…本格的に足手まといになれば、勿論素直に離れる。…ただ、わらわはまだまだいけると言っておる。だから、まだまだこれからなのじゃ!」

…視線を浴びる妖姫は、少し恥ずかしそうに言った。

…顔の半分が灰色の前髪で隠れているが、この顔を見れば分かる。彼女の気持ちは本物だ。

一度言い出すと聞かない子だ。


それに城壁ノ魔鬼との戦いは、彼女がいなければ危なかった。

ここから先も、妖姫に助けられる事があるかもしれない…。



「まー!!まーまー!!まあまあ!!」

静かな空気の中、れなが大声をあげた。驚く一同の視線を浴びながら、れなは続ける。

「妖姫も私達の仲間!ここまで来たら仲間皆でかかろう!それで良いじゃん!」

彼女らしい考えだ。


…もうここまで来たら確かにそうするしかないだろう。


目の前の城は、もう反撃してこない。

侵入は簡単だ。



「よし…!いくぞ!!」

ラオンがナイフを構えて走り出そうとしたその時!





突如、強烈な殺意が一同に降りかかる!

ラオンはいち早く察知し、上から放たれた攻撃にナイフを叩きつけて反撃する!

飛んできたのは、槍だった。



「いかせぬ…絶対に…!」



…降りてきたのは、百戦鬼だった。

彼だけではない。上空から叡光鬼も刀を構えながらこちらを睨んでる。



…突如地面が揺れだす。


「おらぁぁぁ!!」

気高い声と共に、剛強鬼が岩を散らしながら拳を突き上げ、地中から姿を現す!

有無を言わさず、一斉に襲いかかってくる三人。

何としても、ここを死守する気だ。

彼らを前に、火竜が叫ぶ。

「まだやれるのか…。なら、俺達も意地を見せるしかないな!」

両手に炎を纏わせる火竜に続き、一同全員が構えるが…。

「…れな!鬼子!妖姫を連れて城へ向かって!」

葵が指示を出す。

れなは比較的消耗が少なく、鬼子は悪鬼の専門、妖姫は、彼女自身のまだやれるという言葉を信じて、憑依能力を武器とする為だ。

「妖姫!危なくなったらドクロちゃんに魔力で伝えるのよ!」

ドクロは魔力探知がしやすい。もし妖姫に危険が及んだら、魔力を送ってドクロを通して自分達に助けを求めてもらうという作戦だ。


葵は三将悪鬼に発砲しつつ空中飛行を開始する。戦いながら、れな、鬼子、妖姫の三人が城へ向かっていくのを見送った。

自分達はこいつらの相手だ。

一同は横一列に並び、三将を睨む。

テリーが、黒い炎を纏いながら骨の体を鳴らした。

「さあ、かかってこい!!」

彼の声と同時に、一同が構える!

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