大詰め!悪鬼の城へ潜入!
森で、二人の子鬼と一人の青鬼のような巨漢悪鬼が、一人の貧弱そうな男を見下して脅していた。
「おいおっさん。地獄石を知らねえか?…いや、美味い食いもんの店を知らねえか?」
「ししし知りませんよ!!私はこの辺りの出身じゃないので…!」
言い終わると同時に、子鬼が男を殴り付ける。勢いよく転倒し、歯が折れる男。
青鬼は、無駄な脂肪に覆われた腹を揺らしながら、男に顔を近づけ、臭い息を吐きかける。
「知らないフリしても無駄だぜ?この俺、『重太鬼』様は頭脳も明晰なんだ。お前の嘘なんて一目で見抜けるぜ」
「だ、だから、知らないんですって!!」
痺れを切らして重太鬼は右手を振り下ろそうとしたが…。
「うぐ!?」
突如右手に鈍痛が走り、引っ込める。
「そこまでよ」
…葵が、ハンドガンを向けていた。
その周りには彼女の仲間達が。
今の発砲で確実に敵と見なした二人の子鬼が飛びかかってくる!
葵はその二人にも発砲。
弾は二人の頭に命中し、転倒させ、気絶させた。
後は重太鬼だけだ。
「な、何だてめえら?舐めてんのかー!!」
短期な重太鬼は突然突進してくる!三メートル以上の巨体が迫る様は凄まじい迫力だが…。
れなはそれを人差し指一本で受け止めてしまう。
「な、はあ!?」
困惑する重太鬼。すぐに指一本で投げ飛ばされてしまう。
吹っ飛ばしたところへれみが飛び出し、真下に向かって蹴飛ばし、地面に叩きつけた!
凄まじい地響きが響き、土砂が吹き上がる。
…そして、すぐに重太鬼は気絶してしまった。
呆気ない戦いだ。
襲われていた男は、あまりの出来事に遠くへ逃げてしまった。これで良い。
…と、この戦いはあくまでついでだ。
ドクロとテリーが、空気中の魔力を探り出す。
この三人の悪鬼の魔力だけ、うち子鬼の魔力はほんの僅かな微々たる魔力なのでほとんど魔力探知の邪魔にならなかった。
重太鬼の魔力を探り、どこから来たのかを察知する。
「…こっちよ」
ドクロが空を指差し、飛行を始めた。
一同はそれに続き、次々に飛び出す。
死神兄妹を先頭に、何人もの戦士が飛んでいき、森を見ていたテクニカルシティの人々は何事かと騒いでいた。
…しばらく飛んでいくと、海に出る。
特に何もない静かな海だった。
同じ青い海面のみが続き、エックスが先頭の兄妹に聞く。
「こっちであってるのか?」
「そのはずだ。空を見てみろ」
テリーの言葉に、エックスが上を見る。
…空は、いつの間にか異様な色に染まり始めていた。
赤と紫が混じりあったような、奇妙な空色だ。
進んでいくと、空はどんどん色を変えていき、あっという間に赤い不気味な空に変わる。
闇の世界と似ているが、漂う魔力は違う。全身に悪寒が走る、悪鬼の魔力だった。
そして…海面上に、一つの島が見えてくる。
島には和風な城が立っている。
葵はハンドガンを取りだし、呟く。
「悪鬼の世界…。海を一定のルートで進むと、こんな風に行けるのね」
空間を繋ぐゲートを潜り抜けたのだ。
悪鬼達はここから人間界に来ているのだろう。実際、重太鬼の魔力がまだ続いている。
島に降り立つ一同。
城は大きな城門が佇んでおり、見る者を威圧するような立派な城だった。
ここが、悪鬼の城…。
「よく来たな」
突如、声がした。
構える一同。
冷たい風が吹いていた。
高圧的な女の声が城から響いてくる。
「恐らく我ら悪鬼の勢力が弱まっているこの隙を突いて侵入したのだろうが、そうはいかん。私達は目的を成す為にどんな状況でも堂々と相手しよう。頂上を目指すが良い」
城門が、軋むような音と共に開く。
一同を飲み込もうとしているように、城が口を開けていた。
慎重に近づく一同。
…やはり、簡単に入れてはくれなかった。
突然、城から大量の黒い何かが飛び出してくる!
一つ一つに白骨化しかけた人間の顔がついている…。
低級悪鬼の怨鬼だ。
数の暴力とはまさにこの事。何百何千もの怨鬼が、一同に迫り来る!
ラオンがナイフを振るって切りつけ、葵が正確に発砲、れみは素早さにものを言わせた蹴りを…と、それぞれの手段で怨鬼を迎え撃つ!
怨霊の塊である怨鬼はダメージを負うと消えて成仏してしまう。
だが、どれだけ倒しても城から次々に沸いてくる!
ラオンはナイフを振り回しながら苛立っていた。
「おい!これじゃ進めねえぞ!」
そこでアイデアを出したのは葵だ。
「何人かここに残ってこいつらを討つわよ!もう何人かは城に侵入して!ここに残るのは、はい!手をあげて!」
葵の言葉に、手をあげたのはれみ、エックス、ドクロ、テリー、火竜だ。
葵は続ける。
「残った人が侵入ね!私も残る!」
頭上から迫る怨鬼を狙撃する葵。先程から一発も外していない。
れなは親指をたてながら、城へと向かっていく。
侵入メンバーは、れな、粉砕男、ラオン、鬼子、妖姫だ。
れなとラオン、粉砕男は近接戦闘が得意だ。攻撃の激しさでガンガン攻め立てられる。
妖姫の憑依能力はいざという時に役に立つ。
鬼子は悪鬼の専門だ。恐らく一番頼りになる。
五人は、臆する事なく城へと侵入していった。
「ここが、悪鬼の城…」
城は、まず木製の階段から始まった。
壁に不気味な鬼神の絵が描かれており、遥か上の方へと続いている。
外の激戦音がここまで聞こえてくる。それを聞いたれなは、手をあげて皆を指揮する。
「皆!!外の皆が頑張ってくれてる!早いところ悪鬼のボスを倒して、悪鬼騒動を終わらせよう!」
いつになく頼りがいのあるれなの姿に、声をあげる一同。
皆の声を受け、れなも気合いたっぷりに階段を登る!
悪鬼の城…未知の戦場だ。
それすらも恐れぬ一同の足音が、周囲に響き渡る!




