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生首野郎を討て!

事務所で妖姫がミニカーで遊ぶなか、また一つの依頼が事務所に届いた。

今度は北にある亡者の森に出現する、カボットというモンスターを倒してほしいというもの。

今回事務所にいたのはれなとラオンだ。

そして、やはり妖姫も二人についていくとせがむのだった。

「では早速!もんじゃの森へごー!!!」

善は急げとばかりに、手紙を受け取った直後にれなは飛んでいくのだった。

あともんじゃの森ではなく、亡者の森だ。




亡者の森の近くの村に、依頼主がいた。

木製の家が並ぶ小さな村。そこにいた村長が今回の依頼主だ。

白髭の老人…村長直々に村の門まで三人を出迎えてくれた。

「よくぞおいでくださいました」

「ちーっす!」

頭を下げる村長に、れなも頭を下げた。横に立っていたラオンも仕方なしに頭を下げる。

荒れた性格の彼女はこういう雰囲気が苦手なのだ。

妖姫は村長の前に出て来て子供らしいお辞儀をする。

「おや、これは小さなお客さんですね」

村長に撫でられて嬉しそうな妖姫。

早速用件を聞こうと、ラオンが村長に問いかけた。

「ところで、カボットってのはどんなモンスターなんだ?」

「それはもう、恐ろしい存在でございます。最近亡者の森に現れた、生首のような姿の怨念の集合体…。毎晩村にやって来ては村人を食っていくのです。実のところ、もう三人程犠牲になってます」

村長の声はどんどん低くなる。…大切な村人を失った悲しみを感じる。

れなは大きな焦りを覚える。空はオレンジ色に染まっており、既に夜が近い。

このままでは四人目の犠牲者が出てしまうだろう。

その前に、何としても自分達がカボットを止めなくてはならない。




…三人は空を飛びながら村を見回る事にした。

村人達は村長の指示で家に籠ってくれている。

このまま四人目の犠牲者が出ないと良いのだが…。


「…あっ!あれ!見るのじゃ!」

妖姫がある場所を指差した。

それは、村の門の先にある、亡者の森の入り口だ。

じっと見ていると、何やら青い光が集まってきているのが見える。

何だろうと、更に目を凝らして見てみると…。


光が集結し、一つの異形が姿を現した。

紫の長い髪に、黄色一色の眼球、歯を剥き出しにした口を持つ生首のモンスターだ。

「で、出たーー!!!のじゃ!!」

妖姫は空中でれなに抱きつく。

れなは、流石というか、カボットを見て「ほう」と顎に手をあてるのみ。

「あいつかー。何か果物みたいな見た目だね」

「アホか!!あいつがカボットだ!!行くぞ!」

カボットは飛び跳ねながら村を目指して進んでいく。

れなとラオンはカボットの真正面に降り立ち、構える。

ラオンは太ももに隠していたホルダーからナイフを取り出し、カボットに向ける。

「おいブサイク。こっから先は通さねぇぞ」

カボットは大口を開き、二人を捕食しようと向かってきた!

れなはカボットの頭上に飛び上がりつつ、頭頂部を蹴っ飛ばした!

少し勢いが落ちたカボット目掛けてナイフを振り上げて切りつけ、勢いのままに蹴りを叩き込む!

後退するカボット。更に後ろに回り込んだれなが後頭部を蹴飛ばしてラオンに向かって吹っ飛ばし、ラオンも蹴飛ばす事で更に後退させた!

このまま亡者の森まで追い返してやろうと二人は次の攻撃へ移ろうとするが…。

「かきゃああああ!!」

カボットは突然奇声をあげ、何と眼球が勢いよく顔から飛び出してきた!

れなとラオンは目を丸め、思わず抱き合う。

眼球はカボットとは別の意思を持つように飛び回り、二人に向かってくる!

二人は飛び跳ねて回避し、カボット本体へ急降下し、蹴りをかます!

ラオンはナイフで、れなは拳でひたすらカボットを攻撃していくが、中々のタフだ。攻撃を受けても大して怯まず、大口を開けて迫ってくる!

それをかわそうとしたラオンの背後から迫ってくる眼球!

「ラオン危ない!」

れなが叫んだ頃にはもう遅く、ラオンは背中から眼球にぶつかり、勢いよくカボットの口へと飛び込んでしまう。

「や、やめろ!私の髪は紫色だがブドウじゃないぞ!」

口のなかでナイフを振り回す。流石にこれは効いたのか、カボットは口を開いてラオンを解放する。

膝をつきつつも、ラオンは対策を考えた。

「やつは怨念の集合体。表面は怨念の壁に覆われてるが、反面内側の守りは低いはずだ。やつがアホみたいに口を開けた時を狙うぞ!」

ラオンはナイフにエネルギーを込め、紫色の電気を纏わせる。ラオンの必殺技紫電斬りだ。

れなは親指をたててオーケーサイン。

カボットは眼球を自分の左右に並べ、一緒に飛びかかってきた!

れなとラオンも同じように飛び出す。

れなは左右の眼球を蹴飛ばしてどかし、ラオンは口の中に飛び込んで渾身の勢いで口内を切り裂いてみせた!

「カギャアアアアアア!!」

カボットは悲鳴をあげてのたうち回り…徐々に姿が薄くなっていき、消えてしまった。



「…もう出て大丈夫だよ、妖姫」

…木陰から戦いを密かに見守っていた妖姫を呼び出すれな。

恐る恐る顔を出す妖姫。悪霊が一番臆している。

「何とも恐ろしい怨念野郎じゃったな…。わらわでは勝てそうになかったのじゃ」

「妖姫がそんな事言うなんて珍しいね」

れなの一言で、妖姫はハッ、と訂正した。

「も、勿論わらわが一番じゃ!本気を出したら全然余裕で勝てるわ!」

やはりというか強情を張る…。

ラオンは呆れた。



「あなた方のおかげでカボットは常闇へと還ったようです。本当にありがとうございます…!」

村の広場で頭を下げる村長。周りの村人たちも恐怖から解放され、生き生きとした表情を浮かべてる。

胸を張る三人に、村長は歩み寄る。

「そうです!村人全員であなた方を崇める儀式を行いましょう!」

とんでもない提案を出してきた村長。れなは賛同したが、ラオンが断った事によって無事延期となった。



「…ん?どうした?」

ふとラオンが、妖姫を見ると、何やら不自然な表情をしてるのに気づく。


何かを悲しんでいるような…どこか物悲しげな表情を浮かべていた。

「…どうした?」

「…!な、何でもないのじゃ!」

妖姫は、慌てて両手を振るのだった。



…それでも、彼女の表情は重かった。

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