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海でのトラブル!? 水実鬼

「やー!海なんて久しぶりだねええ」

青く煌めく海にて。

れな、ドクロ、葵、妖姫の四人は海水浴へやってきた。

れなは緑、ドクロは白いビキニを着ている。張り切りすぎて自宅からビキニを着てここまで飛んできた。

ここはれなたちだけが知っているスポット。他に人は見当たらない。

早速れな、ドクロ、葵は海に足を浸かし、水飛沫を散らして暴れまわる。

宙を舞う海水が三人を彩るように輝いていた。

「やー楽しいねえええ」

特に楽しんでいたのはれなだ。あまりに楽しかったのか、突然沖まで大ジャンプして泳ぎ始めてしまう。

れな、葵はアンドロイドだが、海水なんて全然平気だ。


青い海の中は美しいサンゴが続き、色とりどりな魚が泳いでいる。

海底にはエイやナマコの姿まで見られる。ここまで美しい海も中々見られないだろう。


そういえば妖姫の姿がない。着物が私服の彼女だが彼女の分の水着も持ってきたはずだ。

三人は海面から顔を出し、砂浜を見る。

そこには、砂遊びをする妖姫の姿があった。れなが真っ先に彼女に近づく。

「あれ?妖姫は海に入らないの?」

「わらわはそんな汚れた場所には入らん!」

それを言うなら砂浜だって汚れてるんじゃ、と葵が突っ込もうとしたが、ああ言えばこう言われそうなのでやめといた。

それとは関係なしにれなが妖姫の小さな手をとって海へ引っ張っていこうとする。

「や、やめるのじゃ!!サメに襲われたらどうすんねん!」

「この辺りはサメは出没しないらしいよ。あと何で今関西弁になったの?」

れなの腕っぷしには抗えず、妖姫はとうとう泣き出してしまう。

それを見たドクロがある事を思い出した。

「あ!そうか、悪霊だから塩が苦手なんだね?」

なるほど、塩水である海水など妖姫にとっては毒の湖も同然。それを聞いたれなはすぐに妖姫に土下座して謝った。

「す、すいやせんでしたぁぁぁ!!」

妖姫はれなの尻を軽く叩いてお仕置きした。

「…別に塩水が怖い訳ではないぞ!わらわは汚れるのが嫌いなだけじゃ!」

そう言うと、怒りながら海沿いの森へと歩いていった。

ドクロが追いかけようとしたが、葵が引き留める。

「この辺りは平和だし、迷う事はまずない狭い森よ。彼女怒ると面倒臭いから、気が済むまで放置しましょう」

きっぱりしている葵に、ドクロは少々呆れた。


「全く!わらわは塩分を控えておるというのに!」

地団駄を踏みながら歩いていく妖姫。

規模の小さい森なので、周りからは町の人々の賑わう声が聞こえてくるが、苛ついてる妖姫には聞こえていない。勢いでここまで来たが、特にする事もなく困っていたのだが…。

あるものが目に入る。森の木々の隙間に見える砂浜だ。

数人が騒いでいるようだった。しかし草むらでよく見えない。

妖姫は、そっと覗き込もうとしたのだが、足元にあった木の根に気づかず、うっかりつまづいてしまった。

勢いよく、何者かの前に転がり落ちる妖姫。


「何だお前は」

…砂浜でくつろいでいたのは…闇姫だった。

サマーベッドに寝転んで足を組んでおり、彼女の横には翼を羽ばたかせて飛ぶ紫の球状悪魔、デビルマルマンが。

「お前は確かれなたちのもとにいる悪霊のガキじゃねえか。何でこんな所に?」

詰め寄るデビルマルマン、思わずそっぽを向く妖姫。

何と運の悪い…嫌な連中と出会ってしまった。

闇姫は立ち上がり、妖姫に近づく。

「丁度良い。てめえ、亜華魔姫とかいうやつの事、知らないか」

「そ、それは…」

以前対峙した敵について聞く闇姫。悪霊という未知の存在性に目を付けていた。

妖姫は首を傾げて笑う。

「やはり、知らぬか」

残念だが、こんなやつが知ってれば闇姫軍も何かしらの情報を出しているところだろう。

残念そうにサマーベッドに戻ろうとする闇姫だが…。

大気中の魔力の乱れを感じとり、その足を止めた。

デビルマルマンも黙って静止する。


…突如、森の草を散らしながら巨大な怪物が現れた!

割れたスイカから角を生やしたような怪物だ。割れた部分が口になっており、びっしりと牙と黒い種が並んでる。

闇姫は指を鳴らす。

「この魔力。悪鬼か」

「はい。こいつは軍でもう情報が行き渡ってます。水実鬼(すいみき)です」

水実鬼は大口を開いて闇姫へ迫る!

しかしデビルマルマンが目の前に立ち塞がり、水実鬼を蹴飛ばした。

吹っ飛ばされ、森の木に直撃する水実鬼。

短い足を構えたまま、デビルマルマンは言う。

「しかしこいつは上級悪鬼が木の実に力を与えて悪鬼に変えた存在。まさかこの辺りにも悪鬼の勢力が来てるというのでしょうか」

「どうやら亜華魔姫もこの辺りでバカンスしてたようだな」

水実鬼はその場から動かず口を開き、種を吐いてくる!

妖姫はいつの間にか闇姫の後ろに隠れて怯えていた。

デビルマルマンは顔を抑えて防御し、闇姫が疾走する。

砂浜の上で砂煙一つたてずに近づき、右足を突き出す!

水実鬼の口内へ蹴りを叩き込み、蹴りの威力で水実鬼の体は口の部分から真っ二つに裂けてしまう。

衝撃で周囲に種が散らされた。

中々悲惨な光景に、妖姫は逆に目を見開いている…。


…しかし、終わりではなかった。

落ちた種は独りでに地中へ潜り、根のようなものを射出する。


そして、種があった場所から更に水実鬼が出現したのだ。

「増える系ですか…。闇姫様、どう致しますか?」

舌打ちする闇姫。何も答えず、新たな水実鬼を左手で掴み、空中へ連れさらい、勢いよく地面に叩きつける!

ぐちゃ、と生々しい音と共に潰れる水実鬼。やはり種が撒き散らされ…。



今度は撒き散らした種の分だけ、水実鬼が誕生した。

三人を取り囲む水実鬼達。

「悪鬼の生命力は凄まじいな。これは軍に取り入れたいところだ」

闇姫は素早く回し蹴りを放つ!

同時に衝撃波が放たれ、水実鬼達はその衝撃波で真っ二つに。

飛び散る種に、闇姫は目を付けた。

「デビル、種を魔力で覆え」

「はっ!」

デビルマルマンは両手から紫のモヤを放ち、種を包み込んでいく。その素早さは尋常じゃなかった。

次々に種は紫に染まっていき、砂浜に落ちる。

水実鬼になる事は、もうなかった。


一つの種を、闇姫は指で拾い上げる。

「こいつを土産にしよう」

自分に拍手するデビルマルマンの横で、闇姫は種をポケットにしまう。

そして、そのまま呆然としてる妖姫の方を見る。

「れなの馬鹿どもに、もっと子供を見ろ、と伝えておけ」

闇姫は背中から灰色の翼を射出、そのまま飛んでいってしまった。

デビルマルマンも、妖姫の頭を撫でた後、同じように飛んでいった。



オレンジの夕焼けが海を照らす夕方頃…。


「妖姫ー!!どこ行ってたん心配したんだよおおお」

森からひょっこり出てきた妖姫に、れなが泣きながら向かってきた。

その後ろには、思った以上に遅い帰還に目を丸めるドクロと葵。

「何してたの!?ドクロちゃんも葵も滅茶苦茶心配したんだよ!」

「そ、それが…」

妖姫は、思った以上に心配している三人を見て、どうも申し訳ない気持ちになったらしい。

恥ずかしそうに、足を小刻みに動かしながら、両手を差し出した。


その両手には…何個かの木の実がのせられていた。

実はここに戻る途中、拾ってきていたのだ。

「…これを集めていての」

それを見た瞬間、れなは妖姫を抱き上げた。

「ナイスゥゥゥゥ丁度食べ物探してたんだよぉぉぉぉ!!」

「れ、れな!!離せー!!」

その日は、妖姫が拾ってきた木の実で浜辺での鍋パーティーを楽しんだ。


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