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本日二話目です。

 峰川は単に気になったから聞いただけかもしれないが、私や琳音ファンからしたら大問題だ。私は平穏に学校生活を送りたい。琳音ファンは自分の好きな人が誰かと付き合うなんて許せない。琳音は私の平穏を壊す者であり、琳音ファンからは神様だ。

 

 「あの、峰川さん……」

 

 「花愛」

 

 「へ?」

 

 誤解を解こうと思い口を開いた瞬間、悟に止められた。何で?

 

 「昨日、誰と何してたの」

 

 「えっ、と……」

 

 もしかして、怒ってる……?声が凄く怖い。顔は無表情だけど、逆に何を考えているのか分からなくて恐怖が増す。

 峰川も悟の異変に気付いたのか、無意識に絡めていた腕を離した。ただ、今は話さないで欲しかったなー……。ゆっくり近づいてくる悟が本当に怖い。

 

 「話して」

 

 「〜〜〜っ!部活ですっ!」

 

 「部活……?」

 

 「そうだよ!部活!」

 

 恐怖のあまり私の中で何かが切れた。人に怒られたことの少ない私にとって、理由の分からない怒りを向けられることは本当に怖いことなんだろう。

 

 「花愛、部活入ってたの?」

 

 「三週間くらい前に入ったの!」

 

 「何部?」

 

 「野球部!」

 

 悟の質問に私は勢いのまま答える。自分でも何を言っているのかよく分からないけれど、とにかく悟にこれ以上近づいてほしくない。

 私の言った部活の名前に教室内が少しザワつく。知っている人は知っているのだろう、野球部が廃部寸前だということを。

 

 「何で入ったの?」

 

 「尾崎君に頼まれたから」

 

 「尾崎……?」

 

 「後輩」

 

 「あぁ、以前あの銀髪と一緒に教室来た子か……。他に部員は?」

 

 「誠だけ」

 

 「あの銀髪か……」

 

 そこで悟からの質問は途切れた。私も落ち着きを取り戻し、悟の反応を待つ。

 悟は何か考えているのか、口に手をあてたまま動かない。峰川はそろそろと悟に近づき、様子を窺っている。クラスメイトは野球部の話をしているみたいだ。

 

 「花愛は何で野球部に入ったの?」

 

 「尾崎君に野球部を復活させる手伝いを頼まれたの」

 

 「赤原先輩は……」

 

 「元部員の人と知り合いで手伝ってくれることになったの!」

 

 尋問のような聞き方に嫌気がさす。

 私が少し睨みながら答えると、悟はまた何か悩み始めた。隣に立つ峰川がシャツを引こうとすると、悩んだ結果が出たのかそれをさり気なく避け、更に私との距離を詰めた。

 

 「な、何……」

 

 「オレも野球部、入るよ」

 

 「は?」

 

 「え?」

 

 珍しく私と峰川の声が重なった。

 悟が野球部に入部?私の質問の答えを聞いて、どんな考えになったのか気になる。

 

 「なんか色々大変なんでしょ?人は多い方がいいよ。だから入部する」

 

 「え、っと……ありがとう?」

 

 「どういたしまして」

 

 そう言って悟はにっこりと笑った。なんだか裏がありそうな笑い方。入部してもらえるのは嬉しいけれど、少し不安。

 

 「さ、悟君が入部するなら私も入る!」

 

 私がムーッと悩んでいると、悟の隣にいた峰川も手を上げて入部を希望してきた。本当にこの人悟のこと好きだな……。

 

 「峰川さん、本当に?」

 

 「菜々子って呼んで!う、うん!いいよね、桜宮さん!」

 

 必死の形相で私に聞いてくる。はっきり言って必死過ぎて怖い。あと最初の一言はどうでもいい。

 

 「私には決めることできないから、放課後尾崎君に直接聞くしか……」

 

 「じゃあ今日の放課後は三人で野球部の部室に行きましょう!」

 

 峰川の剣幕に私と悟は頷くしかなかった。

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