05.従者くん、進路相談に乗る
「……ヴィルジール、いいか? ここ、意味がよくわからないんだが……」
「ああ、それはエスメル公国でよく言う慣用句だな。ドラグニア風に言うと、隣の芝生は青く見えるってやつ」
「そうか、分かった」
昼下がりの柔らかな日差しが射し込む公爵家の図書室。我が国の第一王子・オスカーは宰相の息子・ヴィルジールに教わりながら子供が読むには早すぎる兵書を読んでいた。
「……ああ、そう読むとこの文もすんなり入ってくるな」
「だろ? これは訳者が悪かったな。直訳されると確かに意味不明だよなあ」
ヴィルジールがオスカーのお目付役になってから数日。
いつもオスカー、エリーゼ、私で集まって剣の稽古したり(エリーゼは見てるだけだが)勉強したり(エリーゼは文句言ってるだけだが)していたが、その中にヴィルジールもすっかり馴染み、楽しそうに勉強を教えてやっていた。
「それにしても、ヴィルジールは本当に物知りだな。宰相になるにはそれだけ知識量がいる、ということか」
「……まあ、そんなとこだよ」
今日も今日とてオスカーは公爵家の図書室に入り浸り、ふんふんと熱心に難しい本を読んで知識を取り込みまくっている。
正直本読むだけなら帰ってや〜と言いたい気持ちはあるが、スカーレット公爵の趣味たる蔵書収集の賜物かこれだけの本が揃ってるのはこの図書室しかないと言うし。
「ネロ! お前もこれを読んでみろ!」
「いや、私従者なんで……騎士でもなんでもないんで兵書なんか読んだって……」
「いつどうなるか分からないだろ! 読んでみろ!」
……オスカーはヴィルジールから教わったことをドヤ顔で私に教えてやる、なんてことにもハマっている。たくさん本があって、なおかつ趣味も楽しめる。オスカーの知識欲や諸々を満たす場所は必然的にここしかないということだ。あ〜あ。
「それにネロ、お前竜使いの才能を見込まれて公爵家に引き取られたそうじゃないか」
「はあ、まあ、一応」
「将来を期待されてる、ということだ。勉強はしておいて損はないだろう!」
「いやあ、そんなことないと思いますけどねえ」
いくら興味ないアピールをしてもオスカーはしつこく私に兵書を勧めてくる。ヴィルジールもこれに関しては別に止める理由がないのかにこにこと見守っているだけだし、周囲から見たらきっと微笑ましい光景なんだろう。
「……ネロがそんなこと教わったって分かりませんわよ!」
しかしそうなるとぶーたれるのは私の主人・エリーゼお嬢様である。
「大体なに!? 従者の分際でいつもいつもここに居座って、あまつさえオスカー様に勉強を教わって! わきまえるって言葉を知らないの!?」
……公爵家の図書室を貸し切った勉強会、なのに、家の主人の娘であるエリーゼはまったく会話に参加することができていなかった。理由は簡単、エリーゼは勉強が嫌いだからである。
オスカーはちょっと鬼だが私やヴィルジールは鬼ではないので、エリーゼも皆の輪に加われるようにあの本読もうこの本読もうと誘ってみたこともあった。しかし。
「エリーゼ」
オスカーが冷たい目でエリーゼを見る。
「ネロは俺がここにいろと命令したんだ。文句があるなら俺ごと追い出してもらって構わないが?」
エリーゼはぐっと肩を強張らせ、口を噤んで俯いてしまった。
「オスカー……お前なあ……」
「何だ? 本当のことを言ったまでだ」
エリーゼがなかなかこの輪に馴染めない理由……それはエリーゼの想い人でありこの子がどんだけ勉強いやでも図書室を離れない理由、オスカーのせいでもあった。
というのも、エリーゼだって我々の尽力に応えて専門書を読もうとしてくれることだってあるのだ。五回に一回くらいは。それでも分からないことや難しいことがあるとすぐに投げ出そうとしてしまう。私とヴィルジールがそれを丁寧に拾う前に、オスカーがすっぱりとそんなことで投げ出すならやめてしまえばいい……みたいなことを言うのである。
「エリーゼだって、無知な従者を持ちたいわけじゃないだろう。俺は無知でしかもそれを恥とも思っていない主人の方が嫌だけどな」
「殿下! もうやめて差し上げてください!」
エリーゼがオスカーからのオーバーキルに耐えきれずぷるぷる震え始めている! こりゃ決壊寸前だ!
「……私、少しお花を摘むから……席を外しますわ……」
エリーゼは震え声でそう言って立ち上がると、足早に図書室を出て行ってしまう。あっ、これもう確定演出ですね。
「私も少し、行ってきます」
「……別に、放っておけばいいだろう」
「殿下、お忘れみたいですけど私エリーゼお嬢様の従者ですからね」
一応あんたの命令に従う義理はないんだぞ、と釘をさしておくと、オスカーはつまらなそうに唇を結ぶ。ヴィルジールは少し目を丸くした後、「それもそうだ」と笑った。
図書室を出てすぐの廊下の隅で、エリーゼは肩を小さく震わせていた。
あんな扱いを受けてもめげずにオスカーに付き纏うのは乙女ゲーム上の設定だろうか。それとも。
なんだか考え出すともやつくのでやめて、エリーゼの背中に「お嬢様」と声をかける。
「あれは殿下も言い過ぎですよね。今頃ヴィルジール様にちくちく言われてるでしょうから、安心して戻りましょう」
「……」
「大丈夫、勉強なら今はやる気が出ないってだけですよ。今はヴィルジール様と殿下の話を聞くだけで充分ためになると思いますし……」
「……いで……」
「お嬢様?」
「従者の分際で私に同情しないで!!」
エリーゼは目に涙をいっぱい溜めてはいるものの、ぎりぎり泣いてはいなかった。成長というべきか意地というべきか。あと一歩のところで踏ん張る瑠璃色の瞳が恨めしそうに私を睨む。
「大体ネロ! あなた私の従者でしょう! 従者なら主人の幸せを第一に考えるのが務めってものじゃないの!」
「幸せぇ?」
「そうよ!」
エリーゼがふん、と鼻を鳴らす。
「私とオスカー様が仲良くなるのは私と、ひいては公爵家や国民の幸せに繋がるでしょ!? あなたも協力するべきよ!!」
「お嬢様……それは屁理屈ってやつじゃ……」
「屁理屈じゃない! とにかくヴィルジール様をうまく連れ出して、私とオスカー様を二人っきりにして!」
無茶を言うな! そう反射的に口にでかけたが。
「……あなた、私の従者でしょ……」
弱々しい声に、縋るような目に、一瞬でも仕方ないかと思ってしまった時点で私の負けである。
「お、戻ってきたか。案外早かったな」
「へへ、まあ……」
エリーゼを連れて図書室に戻ると、ヴィルジールにほっとしたような笑顔を向けられた。オスカーはというと……何事もなかったかのように勉強を続けている。先ほど婚約者を泣かせかけたとは思えない冷静沈着ぶりに、見てるこっちが若干もやついた。
まあ、オスカーからしてもエリーゼの不真面目ぶりに思うところがあるんだろう。ちらりとエリーゼを一瞥する瞳の中には、若干の侮蔑の色すら含んでいる。
これ、二人きりにしたってどうせ仲良くなんて出来そうにない気がするし、さっきのやりとり見てると緩衝材がいた方が絶対トラブルにならないで済むと思う、のだが。
「……ネロ」
苛立ちと甘えの入り混じった声と視線が背中に刺さる。
……もう、引き受けてしまった以上は仕方ない。
エリーゼが気まずそうに、しかしそれでもしっかりオスカーの近くの席を確保して座る。その姿を確認した後、ヴィルジールのすすす、と体を寄せて、小声で。
「……ヴィルジール様、あの、少し」
「ん? 俺か?」
ヴィルジールも空気を読んでか小声で返してくれる。本当に出来た子だ。
しかし少し、って言ったはいいがなんて言って呼び出したもんか。ノープランで話しかけてしまったなと今更ながら言い訳を考えていると、ヴィルジールが何かを察したようにふ、と笑って。
「分かった、少しあっちで話そう」
そう言ってくれた。うーん、本当になんて出来た子なんだ……。
「オスカー。俺とネロで奥の方の本棚を見てくるから、分からないことがあったらあとでまとめて聞いてくれ」
「ネロと二人でか?」
オスカーは本から顔を上げて私とヴィルジールを見比べる。あっ、まずいかも。この流れは。
「俺も行こう」
オスカーは本を閉じて席を立った。
やっぱり同行したがるよなこの王子は……。
「あ、いや! 殿下のお勉強の邪魔をするわけには……」
「これくらい邪魔にもならない。それよりお前がどんな本に興味があるのかが気になる」
「えー、本に興味があるといいますか……」
エリーゼからの何やってんのよの視線が痛い。そんな顔されても私は全く悪くない。その視線はあんたの婚約者に向けてくれ!
「まあまあ。座っとけよ、オスカー」
しかし、ここでもヴィルジールが頼りになりすぎた。
「ネロだってたまには王子と主人に気を遣いながらじゃなく一人で本選びたい時だってあるんだよ」
「……お前は一緒に行くんじゃないか」
「俺は奥の本が気になるから案内してもらうだけ。ったく、仲間はずれにするってわけじゃないんだから拗ねるなよ」
自らの子供っぽさを指摘されたオスカーはぐ、と気まずそうに押し黙る。
ヴィルジール先輩……! 声と表情に出そうになるのを堪えて、なんとか真顔を保った。いや、ちょっとヴィルジールにメロついてるのが漏れてるかもしれないが。
「……分かった。だけど分からないことがあったら俺に聞けよ、ネロ!」
何の意地なのかよく分からない約束だけさせて、オスカーが席に座り直す。エリーゼの方をちらりと見ると、当然のような顔をしてふんぞり返っていた。クソガキめ……。
図書室の奥、公爵の蔵書の中でも滅多に引っ張り出されない本達が眠る本棚に囲まれた場所。ランプの光があってもなお薄暗いそこに着くと、ヴィルジールが「お前も大変だな」と私に声をかけてきた。
「へ?」
「エリーゼに頼まれたんだろ? オスカーと二人にしてくれ、とかか?」
なるほど、さすがは小さい頃から二人を見てきたヴィルジール先輩。悪役令嬢エリーゼの企みなど全部お見通しである。
「実はそうでして……すみません、付き合わせて」
「いいよ。俺もあいつらの間に立つのは息が詰まるからな。いい息抜きだ」
ヴィルジールはぐっと伸びをしてから、周囲を取り囲む蔵書を見渡した。その目はさっきオスカーやエリーゼといた時よりきらきらと輝いていて、やっとヴィルジール先輩ではなく11歳の少年・ヴィルジールとしての側面が見えたような気がする。
「それにしても……スカーレット公爵は相当な本の虫、って噂は確かだったんだな! この本なんか論文の引用でしか見たことない!」
ヴィルジールは一冊の本を手に取ると、子供らしい無邪気な笑みを浮かべる。そして、玩具でも選ぶかのように次々と古い本を取り出し始めた。
「こっちはもう絶版になってるやつだし、これなんか著者が数冊しか発行しなかったってやつだろ? 本当に、ここに来たら何だって読め───……」
そこまで言うと、ヴィルジールははっとしたように言葉を止める。そしてどこかばつが悪そうに頬をかいて、「悪い」と言った。
「少し、はしゃぎすぎた……」
「何も謝らなくていいのに。好きなんでしょう、本」
「好き……まあ、好き、か……」
ヴィルジールの指が、古びた本の埃をなぞる。
「……本っていうか、物理学とか、数学とか……魔導工学が好きなんだ」
ぽつり、今まで誰にもこぼしていなかった本音を漏らしたような小さな声に、私は一種の罪悪感を覚えた。
なぜならゲーム知識でヴィルジールのことは大体知っているからである。
本当は勉強が好きで学者になりたい。しかし宰相の息子として跡を継がなければならない。だからヴィルジールは夢を諦め、逃避みたいに女遊びに耽る──……。
乙女ゲームに出てくる「ヴィルジール」はそういうキャラだった、のだが。
「でも、宰相になるのに工学なんか使わないからな。好きっていうだけで、別にそれ以上はなんとも思ってないよ」
目の前で切なげに本を撫でるこの少年を見ていると、そんな未来を知っていること自体がなんだか申し訳なくて仕方なかった。
「……そう……なん、ですね」
それ以上何かを言うのも憚られて、なんだか重たい沈黙が場を包む。しかし居心地の悪さを感じているのは私だけらしく、ヴィルジールは楽しそうに、でも少し躊躇うように本を取ってはぱらぱらと眺めていた。
別に、私は邪竜化回避が出来りゃいいのだ。自分が破滅しなきゃ他のキャラがどうなったってどうでもいい。そう思ってるはずなのに、あらぬ考えが頭をよぎる。
もしここが日本で、中学校で、今本を読んでるこの子が生徒だったら──────……あー、よくないよくない。さすがに出しゃばりすぎている。
ぱら、ぱら、と本の頁をめくる音が優しく、切なく耳をくすぐる。胸の底がざわざわして、むず痒くなるこの感じ。喉元に言葉が詰まっていて、頭ではやめろ馬鹿と思うのに、心がついていかなくて、ついに。
「そ……そういうお仕事に就こうとか、考えたことないんですか……っ」
言った。言ってしまった。
「……へ?」
小さい上に裏返った声だったが、ヴィルジールの耳にはしっかり届いてしまったらしい。びっくりしたように見開かれた目が、私の方に向けられる。言ってしまった後悔もあいまってなんだか突き刺されたような心地がして、私は慌てて「いやですね」と誤魔化した。
「こ、工学が好きなんてご立派だなと思いまして! ドラグニアだっていつまでも竜の魔法頼りで発展してくわけにもいかないじゃないですか! 人間は魔法を使えないし、竜使いだって年々減ってるわけですし……ですからやっぱりヴィルジール様みたいにそういった分野に関心を持たれている方が貴族にいるのは、我が国のためを思うと何よりと言いますか……」
必死で言い訳をしていると、不意にヴィルジールが「んふっ」と噴き出す。
「慌てすぎだろ、ネロ! 別に怒ったりしないから落ち着いて話せよ」
「あ……すみません……」
「……そういう仕事な。考えたことないわけじゃないぜ」
ヴィルジールは本棚いっぱいに並べられた蔵書達の方に目を向ける。しかしその目は本を見ておらず、どこかもっと遠くを見てるみたいに思えた。
「……俺は宰相の息子だ。将来はオスカーの右腕として、国の運営を任されるようになる。竜と生きるドラグニアで、工学なんてものにかまけてる暇ないんだよ」
言葉の一つ一つが沈むように重たく感じる。それはきっと、ヴィルジールの諦めの重たさだ。生まれる前から将来が決まっていて、どんなに納得出来なくても現実を飲み込むしかない。
ゲームの時みたいに、選択肢からヴィルジールに刺さりそうな台詞を選ぶのは簡単だ。だってヴィルジールは画面の中の存在だったから。でも、今、目の前にいるこの子は。
「だから、こうやってたまに論文を眺めるだけでいいんだ。それだけで、俺は満足だから」
自分に言い聞かせるみたいな声音と笑顔を前に、深呼吸する。もうここまで言ったんだ、言っちまえ!
「……どっちも目指せばいいんじゃないですか?」
今度は裏返らずに、はっきりと言えた。
「……えっ?」
ヴィルジールが間の抜けた声を出すのを聞いてやらかした、と思ったがもう乗り掛かった船である。泥舟でも豪華客船でも最後まで乗らなきゃならんのだ。
「だ、だってヴィルジール様優秀じゃないですか! オスカー様を諌めたりできるの、ヴィルジール様しかいないですよ!」
「それは……小さい頃から知ってるからで……」
「いーや、エリーゼ様はともかくあの人そんなんで人の言うこと聞きませんよ。私何回も助かった〜って思いましたもん」
これは本当にそう。ヴィルジールがいなきゃ駄目だという場面が何度もありすぎた。
「だからヴィルジール様が宰相になるのは大賛成なんですが……それと同じくらい工学の専門家にも向いてると思います。学者って楽しく勉強するってのが一番の適性ですけど、ヴィルジール様、勉強したり論文読んでる時が一番楽しそうですから」
ヴィルジールはぽかんとしたまま私を見つめて、ぽくぽくぽく、と首を捻った後。
「……いや、普通に考えて無理だろ……」
そう言った。
まあ、ですよねーといった感じである。だって分野も適性も何もかも違う二つの大学に同時入学するようなもんだ。普通に考えなくたって無茶だと分かる。
でも未来を知ってるというズル込みで、ヴィルジールなら出来そうだなと思っちゃうんだよな。
「……まあ、これは世間知らずの戯言と思ってください。目指すだけなら自由ですから」
「そうだな……驚いたけど、ネロとゆっくり話せたのはよかったな」
ヴィルジールが喉の奥で噛み殺すようにくつくつ笑う。
「お前が思った以上に面白いやつって知れた」
……一応、褒め言葉として受け取っておくことにした。
ヴィルジールの進路相談を終えて、オスカー達のいる窓際の席の方へ歩いていく。今度こそエリーゼが泣かされるかオスカーが怒って出て行ってるんじゃないかとひやひやしながら戻ったが、意外にも。
「オスカー様……あの、こちらの記事なんですけど、意味がよく分からなくて……」
「……お前が不勉強なだけだ。王国と公国の政治体制の差さえ分かっていれば、ちゃんと読める」
「は、はい! あの、よかったらどの本を参考にしたらいいか知りたくて……」
「お前の読んでるロマンス小説にも公国が舞台のものがあるだろう。あれでもいいし、もう少し詳しく知りたいなら……」
オスカーが、エリーゼに勉強を教えてやっていた。口調こそぶっきらぼうであるものの、ちゃんと懇切丁寧に解説してやっていて、構えていた分どっと身体から力が抜ける。
「あ……分かりましたわ! この内乱は次にどの家が国を治めるかを決めるためのもの、ですわよね?」
「お前にしては理解が早いな」
「オスカー様のご教授のおかげですわ!」
まだ私達が戻ったことに気付いていないらしい。どんどん次は何を教えてくれとせがむエリーゼにオスカーがしょうがないなと言わんばかりに本を見せてやっている光景に、なんだかしみじみとしてしまう。
大人がどんなに先回りして手を尽くして成長してくれと懇願したって、結局のところ。
「子供って、勝手に自分で成長しちゃうんだなあ……」
「お前も子供だろ」
ヴィルジールの冷静な突っ込みに、そういえばネロは10歳だったことを思い出した。
♢
夜もとっぷりと更けた頃。
ヴィルジール=リーラは自室の机に向かっていた。机の上に工学の論文を広げ、矛盾点や出典不明の箇所に丁寧に線を引いていく。これは今度あの公爵家の図書室に行った時にとことん調べてやる、と息巻きながら。
「……目指すだけなら、自由だからな」
昼間、あのネロとかいう少年に言われた言葉。今度は自分に言い聞かせるように呟いて、ヴィルジールはペンを握り直した。
「好きだな」って思ってくれたらお好みの形で好き♡を伝えてくれるとうれしいです♡




