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虹の架け橋  作者: 藤井桜
新婚編
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あの時の思い出を響かせて

 前半は、この前のお話とちょっとだけ被っています。特定のアーティスト名出てきます。ご注意を。



 嬉しい事があった。絵美が学くんに頼み込んで、かつての高校時代のバンド仲間に連絡を取ってくれたらしい。潤くんと、学くんは今でも連絡を取り合う仲で、メッセージのやりとりをしている。今年の冬に、帰省した際に裕太くんと(あらた)くんにも会えたようだ。連絡先を交換して、またあの四人で、メッセージのやりとりをしているらしい。ずるいと言うと、私もそのLINEグループに入れてくれた。



『麻衣、久し振り。何年振りになる?』

「約二十年かな。ほんと、久し振りだね」

『僕たちは、麻衣を見る機会あるから』

「お、もしかして、曲聞いてくれてたりした?」

『もちろん、CDも全部買ってるよ。久し振りに話して、ああ、まずはやっぱり、これでしょ。結婚、おめでとう』

「へへ、ありがとう」



 LINEのメッセージ越しだけど、(あらた)くんにお祝いを言われた。結婚した事に対するお祝いだ。その後、お互いの卒業後の話になった。新くんは卒業後、仙台に出て、専門学校に入学して、そのまま、仙台で就職したそうだ。

 今もずっと同じ会社の営業を続けていて、役職も順調に上がっているらしい。私と同級生なので四十歳になるものね。まぁ、まだ、私は誕生日来ていないけれど。結婚は数年前にしたらしい。イケメン新くんを落としたのは、誰なのって聞いたら、仙台で偶然、再会した普通科のクラスの水橋苑子(みずはしそのこ)ちゃんだった。苑子ちゃんは、生徒会の書記をしていて、かなり、男子にモテた子だ。いつも、生徒会長の明原美秋(あけはらみあき)ちゃんと一緒にいて、恋人は作らないものだと思われていた。

 その、美秋ちゃんも、十年ぐらい前に、高校生の頃、当時からモーション掛けられていた、生徒会副会長の利賀健也(とがけんや)くんと結婚した。実はこの二人も私と(よし)くんの様に身長差がほとんどない。更に言うと、ほとんど一緒だ。美秋ちゃんは、178㎝もある。黒縁眼鏡にショートカットで、文化祭のミスタコンで優勝を掻っ攫って行ったイケメンだ。女の子だけど。

 苑子ちゃんは、当時は、新くんには興味はなかった様だ、新くんも一緒で、仙台で再会すると、一緒に飲みに行く様になり、昔の事を話すにつれて仲良くなったらしい。美男美女のカップルで、数年前にクラスLINEで大盛り上がりしたそうだ。



「裕太くん、元気?」

『元気だよ、まぁ、最初の頃は、仕事辛かったけど、随分慣れたよ』

「今は何しているの?」

『運転手の試験に合格してからは、ずっと運転手かな。その前は、五年くらい営業だったけど』

「もしかして、どこかで会ってたりする?」

『いや、俺、都内じゃないから、どうだろ、麻衣って、近場だけで、あんまり電車使うイメージない。ずっと、引き篭もってそうだし』

「失礼な、ちゃんと外出してるよ」



 東京の私鉄に就職して、営業職(窓口対応とかそう言う事するらしい)を経て、運転手になったらしい。都内を走る私鉄じゃないので、普段利用する事はないので、私は会った事ないかもしれない。ベースは今でも続けている様で、小さなライブハウスで、弾く事があるとか。その時、知り合った子、歌手を目指す子で、その子とユニットを組むうちに付き合い始めて結婚した様だ。


 その後も、潤くんや学くんも交えて他愛もない話をした、そのほとんどが、高校生時代の話だ。みんな、昔の私を知っているからなのか、人前に出るのがそれほど、好きではない私が音楽のためなら、どんな事にも前向きに積極的に行動する事に驚かれた。そして、私の結婚相手が(よし)くんなのも驚かれた。どこで、そんなイケメン捕まえたんだよ、と。いや、捕まえてません、どちらかと言うと私が捕まった様な気がする。この見た目で、捕まったって、おかしいって言われても、それ、私が一番知りたいよ。



* * *



 そして、会うことになった。ぜひ、地元でイベントをしたいと事務所にお願いしたのだ。九月の初めの土曜日、母校の文化祭を巻き込んでの大きなイベントだ。春先から何度か打ち合わせをして、楽器の音合わせはオンラインでやった。八月のお盆の頃に一度、会って音合わせをする。アルバムの撮影は会う一週前に終わって、一度、東京に戻っているけれど。

 新くんと潤くんは、高校を卒業してからは楽器に触っていないと言う事で、思い出すのに時間が掛かったが、手は覚えていたようで、すぐに弾けるようになった。しかし、弾けるのは当時、文化祭でやった曲だけだ。裕太くんだけは、卒業後もベースに触っていたらしく弾ける。そして、元々、ピアノを習っていた学くんも問題なかった。娘さんにも教えているらしい。潤くんのドラムと新くんのギターが大変だった。あの時の曲だけでも問題はなかったが、私がいるので、一曲でも、私の曲をやって欲しいと事務所から、頼まれたからだ。



「あのさ、麻衣の曲とレーゲンボーゲンの曲やらない?」

「なんで?」

「事務所からは一曲でも良いからって言われたんでしょ。麻衣の曲を二曲でもいいんだけど、違うものの方が喜ぶんじゃない? それなら、麻衣がギター弾けるから。新くんはボーカルに徹してさ。そっちの曲はドラムなしでも良いんじゃない? 高校の時にやった曲は、みんなが弾いて、新しい曲はギターが麻衣、新くんボーカル、潤くんもボーカル? それなら、いけるんじゃない?」

「私、レーゲンボーゲンの曲、弾けるなんて言ってないよ」

「弾けないの? それなら、嘉隆くんに手取り足取り教えてもらいな」

「ちょっとは弾けます。『夢のカタチ』と『my(マイ) way(ウェイ)』だけなら」



 絵美、私の苗字が浅生になったからなのか、先日会った時から、嘉隆くん呼びになった。ちょっと、嬉しそうだ、隆の字入ってるものね。

 絵美の提案に、潤くんは、どうしようか悩んでいるようだった。二曲ぐらいなら、頑張って覚える、と言ったのは潤くんだ。ボーカルするなら、ドラムやった方が良いと言う事らしい。まぁ、ドラム無しでも問題はないんだけど、潤くんが頑張るって言うなら、任せちゃおう。そして、高校時代の曲は新くんが、新しい曲は私がギターをするに事なった。あんまり、人前で弾くほどの腕前じゃないんだけど、しょうがない。

 みんなは、私の曲を知ってくれていたので、これも一番ヒットした『虹』に、レーゲンボーゲンの歌は最大のヒット曲であった『夢のカタチ』になった。



* * *



 そういえば、お忍びで、レーゲンボーゲンの二人も来てくれた。今回は、出演はなしで、観客だ。バレると収拾が付かなくなるからね。そういえば、思い出した様に私は押入れから三味線を持ち出していた。嘉くんに、聞かせるって約束していたからだ。三味線使うなら、あれでしょ、と有名なボカロ曲を弾く。テンポも良くてノリもいい、高校生の反応はすごく良かった。学校でやるならこれは、外せないでしょ。そして、レーゲンボーゲンの二人には笑っていただきました。嘉くん、大爆笑で、バレないかヒヤヒヤしました。


 そういえば、兄たちも飛び入り参加しました。そっちは、悠兄と阪下先生、小園さんの三人。渡辺さんと佐野さんは仕事忙しくて来れませんでした。もう、豪華なメンバーで楽しませてもらいました。学校でやったので、阪下先生人気すごかったです。


 観客には、他に、苑子ちゃん、同じく仙台に住んでいる、美秋ちゃんと健也くん、東京から、裕太くんの奥さんの茜さんも来てくれた。あ、美秋ちゃん、お兄さんの明原先生が母校の音楽の先生で、妹さんの千春ちゃんも吹奏楽部に入っていたので、楽器が出来る。先生は、何年か前に転任になったので、今は違う学校だ。

 美秋ちゃんは、クラシックでは、パーカッション担当だ。吹奏楽部あるのに、合唱部は無かったのよね。生徒会で、バンドを組んで、苑子ちゃんがキーボード、美秋ちゃんがドラム、健也くんがギターで、後輩の会計の中谷透(なかたにとおる)くんがボーカルをしていたのを思い出した。懐かしくなったみたいで、透くんいないので、代わりに私をボーカルにして、二曲ほど弾いてくれた。彼らの歌ったスピッツは私も歌えるので。練習はしていなかったんだけど、三人は今でも楽器に触っているので、指は覚えていた様です。問題は、私と初めて合わせた事かな。曲目は当時の演奏した曲から私が歌えるのを選ばせてもらった。



「嬉しいな、会長とバンド組めるなんて」

「私いつまで、会長って呼ばれるわけ? 名前で良いって」

「あ、ごめんなさい、つい。えっと、美秋ちゃん」

「うん、それで。私だって麻衣と一緒に出来て嬉しいよ。呼んでくれてありがとう」



 私に比べると喋り方は、昔と変わらずに男っぽい。身長も私よりも10㎝近く高いので、更にイケメン度が増す。十年前にようやく、健也くんに落とされたらしいけれど、一緒に並ぶ二人は歳を取ったとはいえ、昔のままの雰囲気だ。



「苑子ちゃんの事、びっくりしたよ。苑子ちゃんも新くんも、学校のアイドルの立場を認識していたから、恋人作らなかったって事だったのに」

「それ、私も驚いた。いきなり、苑子から連絡あったと思ったら、新と結婚するだよ? クラスLINE大騒ぎで、収集付かなくて、それ、隣りにいた、健也に二組のLINEグループに拡散されるし」

「え、じゃあ、それ、一組から三組まで、みんな知ってるって事?」

「ほら、我が校のアイドル同士の結婚だよ、仕方がないよね?」



 うわ、田舎恐るべし。まぁ、卒業からかなりの経っているので、新くんのファンも苑子ちゃんのファンも祝福してくれるだろう。隣りで、その話を聞いていた、嘉くんも笑っている。嘉くんと並ぶと、美秋ちゃんと健也くんの方が身長が高いのも面白いな。



 わちゃわちゃしてますね。長いしいっぱい人が出て来る、出て来る。登場人物の多くは、前サイト、ブログで書いていたオリジナル作品の高校生時代のメンツが多々登場します。無事におじさん、おばさんになったようです。 高校生時代のお話も徐々に投稿出来たらいいな。


高校時代・生徒会バンド文化祭セットリスト


1 GLAY『BELOVED』

2 WANDS『世界が終わるまでは…』

3 ゆず『夏色』

4 TMネットワーク『get wild』

5 B'z『愛のままに、わがままに、僕は君だけを傷つけない』

6 スピッツ『ロビンソン』


 麻衣と嘉隆くんの入籍が三月なので、その後は、絵美と嘉隆くんは会っていません。今年の八月にようやく、お互い『嘉隆くん』『絵美』呼びになりました。

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