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虹の架け橋  作者: 藤井桜
新婚編
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僕たちの思い出の歌が響き合う時間

 妊娠に関わる話題が前半部分にありますので、苦手な方はお気を付けを。後半は、リアルの歌手の歌が多く出て来ます。



 実家に帰って来たのが私だけで、周りは明らかにがっかりした様だった。ちゃんと、事前に連絡しているよね。(よし)くんは仕事が離せなくて、ごめんね、と何度も謝ってくれた。これだけは仕方がないよね。嘉くんたちが、来月、こっちに来る事はまだはっきりと分かっていないので、それもまだ言えない事が申し訳なく思う。

 こんなに、明らかにがっかりしているんだものね。それが、一番はっきりしていたのは、父と母だった。そんなに、嘉くんが好きか、なんで連れて来なかったの、って言われても困る。


 というか、先週、来たばかりじゃないの。先週の写真集用の撮影が終わった後もあんなに引き留めたのに、まだ会いたいか。嘉くん、本当は、もう一週伸ばして、お墓参りまでしたかったって言ってたな。

 待機時間長くてそれは叶わなかったし、向こうでの仕事もあるし、こっちも大変なんだよ? ちなみに嘉くんは広島の地元の仕事で、同じく一人で、実家に行って、私の家族と同じ事を言われているらしい。私だって、嘉くんのおばあさんのお墓参り行きたかったよ。


 こっちの、お墓参りをして、お盆休みに入っていた、絵美と会う事も出来た。まぁ、LINEで色々と話しているので、いつもの様な調子だ。主に、聞かれるのは私と嘉くんの新婚生活の事だ。結婚したとはいえ、普通ですが? 絵美の両親が経営している食堂で、二人だけで飲む事になった。学くんと子供たちも来ているが、私たちに気を遣って、お店のカウンターの方で、絵美の両親と楽しそうにご飯を食べている。

 相変わらずね、と言って絵美は遠い目している。私だけでなく絵美もかなりお酒には強い。個室なので、周りに聞かれる事もなく、絵美なので、色々と突っ込んだ事も聞かれた。



「結婚したけど、その後どうするのよ」

「どうって?」

「うちら、もう四十じゃん」

「私まだ、三十九だけどね」

「十一月に誕生日くれば一緒じゃん。はっきり、聞くよ。子供どうするのって言う話よ」

「子供?!」

「初めてで、四十だと高齢出産なっちゃうよね」

(あん)いるし」

「姪っ子を養子にもらうのか」

(りん)ちゃんでも良い」

「それ、絶対に反対されるでしょ。麻衣は自分たちの子供欲しくないの?」

「欲しいかって言われると欲しいけど」



 結婚する時に、その手の話題にはならなかった。結婚と言う言葉と、一緒に居る事の幸せと、お互いが幸せであって欲しい、その願いだけだ。その後に、ちょっとだけ、子供を作るのか、って言う話題にはなった。はっきりと、嘉くんは私との子供は欲しいと言ってくれた。けれど、私の体型を気にしてか、無理はさせたくないとも思っている様でその時は子供はいなくても良いと言う結論になった。

 その事を言うと、絵美は「お酒ばかり飲んでいないで、もっと、食べなさい」と言われた。相変わらず、ズバズバ言ってくれる。



「流れに任せる事もしたくなかった」

「まぁ、浅生(あそう)家も川村家も子供多いからね。流れに任せちゃ、即妊娠もあり得る」

「絵美、言葉選ぼうよ」

「麻衣に今更、気を遣ってどうするのよ」



 悠兄のところは四人、真理子さんのところは五人の子持ちだ。まぁ、咲子(さきこ)さんや賢ちゃんの家系からって言う事も考えられるけれど、明らかに子沢山な家系はうちと浅生家でしょうね。



「そんなわけで、一応、話は纏まっているよ」

「そっか、二人で話し合って決めているなら、もう何も言わない」

「うん、ありがと」

「うちの子もあげないよ」

「駄目かー」



 棒読みでそう言うと、絵美は楽しそうに笑い出した。あ、これ飲ませすぎたやつかもしれない。お酒には強いけど、絵美は笑い上戸だ。残念だけど今日はこれで、お開きかな。明日もまた、会うしね。



* * *



 次の日、九月に地元の文化祭で行われるライブの打ち合わせと、音合わせを兼ねて集まる事になった。春頃から、オンラインで打ち合わせは続けて来たが音を合わせるのは、今回が初めてだ。

 まぁ、高校生の頃に散々、練習はしたんだけどね。事務所からのお願いと絵美の希望も含めて、全七曲、ここでも麻衣の好きな虹かって突っ込まれた。曲は、私の曲とレーゲンボーゲンの曲以外は、何度も練習したので、歌えるし曲も弾ける様だ。

 セットリストをまとめて、順番も考えて行く。文化祭の時の曲は全部演奏出来ないのはちょっと寂しい。Mr.Childrenさんの『終わりなき旅』スピッツさんの『空も飛べるはず』ポルノグラフィティさんの『アポロ』surfaceさんの『君の声で君のすべてで…』そして、伝統になっている久保田利伸さんの『missing』をやります。それに、私の『虹』とレーゲンボーゲンの『夢のカタチ』の七曲です。


 一緒に音合わせするのは、楽しい、少し離れた場所で絵美がそれを配信する様な形で動画を嘉くんに送ってくれた。レーゲンボーゲンの曲では、どこか悪いところがないかも見てもらった。本人の前で、そう言う事出来るって、すごいなって周りからは恐れられましたが、我が家では普通ですが? みんなは、すごく緊張していた様です。まぁ、有名なシンガー前にしているとそうなるか。嘉くん、俺も参加したいよ、とぼやいていますが、それ、混乱させちゃうから、やめた方が良いです。


 出来も上々で、九月のライブには間に合いそうかな、一泊二日でこっちに来ているから、また九月にはこっちに来ないといけないので、少し大変だ。仕事もちょっと忙しいしね。私は、久し振りに高校時代のバンドメンバーに会えて嬉しかった。(あらた)くんも潤くんも元気そうだ。裕太くんだけは仕事の都合で、前日からの参加になるらしい。それでも、三日休みが取れたのは喜ばしい。夜にでも、みんなで飲めるね。向こうでもバンド経験あると言う事なので、問題なく合わせてくれるだろうと言う事だった。


 楽しいイベントになると嬉しいです。



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