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虹の架け橋  作者: 藤井桜
新婚編
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指先の怪我と甘い時間

 包丁で指先を切って血が滲む描写があります。痛い話ですみません。



 この日のメニューは簡単にカレーライスだ。今日は、仕事で、事務所に行って来たので、打ち合わせで少し疲れた。それは、二人とも一緒だったので、今日は二人で作る事にした。特に、こだわった作り方もしない、市販のカレールーを使っているしね。カレーには特に、浅生(あそう)家も川村家も普通に市販のカレールーの箱に書いてある具材だ。

 まぁ、うちの実家だとお母さんが鶏肉以外にも豚こま使ったり、家にある野菜を適当に入れたりしている。豆腐が入っていた時には流石に驚いたけれど、あれも美味しかった。カレーは後は煮込むだけ、今はサラダ用に野菜を切っているところだった。


 珍しくキッチンに立った私は、思わず「あ」と声を上げた。左手の人差し指が小さく切れて、血が滲む。深く切ってはいないけれど、包丁で切ったので、ちょっと、痛い。カットバンどこにあったかな、あんまり使わないから、どこに置いたっけ。あ、リビングだったと思う。私の声に(よし)くんが冷蔵庫から、離れると「どうしたの?」と私の方を振り向く。冷蔵庫から、サラダ用のプチトマトを取り出したところだった。



「ちょっと、切っちゃった。カットバン、救急箱に入ってたよね」

「大丈夫? えっと、サビオ?」



 うお、ここでも、呼び方が違うのか。絆創膏が一般的だけど、うちの実家ではカットバンって言う。嘉くんのところはサビオなのか、聞いたことはある様な気がする。


 私の指先をじっと見て、何が必要なのか理解してくれた様だが、次の瞬間、私の指先を、傷口を、滲んだ血を嘉くんが舐めとった。突然の事に固まったまま、私の頬に熱が集まる。その甘い表情で、そんな事されると、私の方が恥ずかしいのですが。持って来て欲しいのはカットバンであって、甘い表情ではないです。



「なんで、舐めるの。違う、カットバンが欲しかったんだよ」

「麻衣のところは、そう言うんだね、面白いね」

「昔からカットバンだよ。嘉くんのところはサビオなんだね」



 舐めた事には返事をしてくれなかった。指先が痛みではない、熱を伴った。私の表情に満足げに笑うと、コンロの火を止めた、鍋に火をかけっぱなしは危ないし、その辺、嘉くんは、しっかりしている。救急箱から、嘉くんはカットバンを持って来てくれたし、綺麗に貼ってもくれました。気を付けてね、というお言葉付きで。



 目測を誤ったのです。きゅうりって切るの難しくない? そして、嘉くんに教えてくれた。ぶつ切りじゃ、子供が切ったみたいじゃないですか。家で食べるんだから簡単な切り方で良いんだよ、そう言って、見事な包丁捌きできゅうりを綺麗に斜め切りしてくれました。斜めにする部分を横にすると切りやすいよ、と言う事でした。



 今夜の夕ご飯はカレーとサラダでした。二人でも多いので明日は、カレーうどんかカレードリアになるかもしれない。それでもあまりそうなので、粗熱を取って、小分けにして冷凍しておく事にしました。これだと、仕事が忙しい時に便利だからね。



 怪我した指を舐める描写はシチュエーションとしては外せないと思います。

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