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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
728/730

遥の謝罪と作戦会議(side遥)*

 十月二日の麻衣と嘉隆くんの離婚の噂の首謀者について聞かされた遥くん視点のお話の過去話になります。

 


 事務所に到着すると、明日の仕事の打ち合わせをする前に社長室に呼び出された。嘉隆(よしたか)は、麻衣と休みを合わせたので、今日は休みだ。今月は、麻衣に合わせて休みを取っていた。十一月に入ると忙しいこともあり、休みを事前に取っておくように言われていた。そして今日はプラネタリウムに行くと言っていた。Bookリレーの仕事の打ち合わせ内容は少し前に決まっていて、明日、出版社の担当の人が来て、麻衣の事務所で打ち合わせをすることになっている。


 しかし、話はそれだけではなかった。真剣な面持ちの荻野(おぎの)に呼び出された遥は、何か問題でも起こしたかな、と思ったがどうやら違っていた。怒られるわけではないようだ。



「古川くん」

「何かありましたか?」



 呼び出された遥と一輝は顔を見合わせて、深刻そうな表情の荻野に問いかける。一輝もどんな話なのか聞かされていないのか、首を横に振った。博行が事務所に来ていて、三人にコーヒーとお茶を淹れてくれた。人数よりも多いコーヒーの数に違和感を覚えたが口には出さなかった。



「沖さんは休みじゃないんですか」

「今日のことがあったからね。実は莉子さんから僕は最初に聞いていたんだよ」

「とう言うことは、麻衣ちゃんに関係のある話なんですね」



 それだけでは無かった。手にファイリングされた何かを持って来た野上もノックをして社長室に顔を出して、一輝に驚かれていた。思わず、「なんで、野上さんがいるんですか」と言ってしまった。



「麻衣ちゃんだけじゃなくて、嘉にも関わってきているってことで間違っていませんか」

「早いわね。そうなのよ。困ったことになってしまったわ。多田(ただ)さんから連絡をもらったんだけど、麻衣ちゃんにSNSを通して誹謗中傷があった。それは、浅生(あそう)くんにも関係することで、Lewis(ルイス)さんのところ、麻衣ちゃんを守るために必死に頑張っているから、今回のことも早めに対処できたらしいのよ」

「それって、もしかして、離婚の噂のことっすか」

「そうよ。首謀者が分かって厳重注意されたみたい。もしかしたら、結婚のときに麻衣ちゃん宛てに誹謗中傷を行った相手と一緒かもしれないって言われているわ。あれって、削除されても、アカウントをまた作れば同じことが起こりうる。この話は、うちとLewisさんのところで話し合っていて、極力裏で解決していて、麻衣ちゃんや浅生くんには言わなかったのよね」

「でも、そうもいかなくなった」

「ええ、二度目ならどうしてもね。また、起こる可能性が出てくる」

「それで、俺にはなんで?」

「浅生くんとの仲介かしら。分かっているんじゃない?」



 遥にも心当たりがあった。麻衣と仕事をすることが、麻衣との浮気を疑われるリスクにも繋がる可能性があった。それを、利用された形でもある。



「俺のせいでもある」

「一概に言えないけれど、それでも、リスクの一つだった。それを、OKした私にも責任があるわ。それだけのリスクがあってもそれでもプラスになると思ったからあの仕事を受けた。それに、麻衣ちゃんだけじゃないわ。愛夢(あいむ)ちゃんだって、聖良(せいら)ちゃんだって、女性と仕事をするだけでそのリスクが高まるなら、女性と一切、仕事をするなと言っているようなものだわ」



 愛夢は既婚者だが、聖良は独身なのでこの場合は含まれないだろうが、これから先は分からない。いちいち、それを気にしていては仕事にならないのも理解出来る。



「浅生くん、怒るのが目に見えているのよね。それを、少しでも穏便にと思って古川くんにも話したの」

「じゃあ、まだ、嘉は知らないんですね」

「ええ、私から話しても良いんだけど」

「それは、どうでしょう。分かりました。俺から話します」

「いいの?」

「良いっていうか、それ、俺に頼もうとして話したんじゃないんですか」

「ごめんなさいね」



 他にも荻野から言わない方が良い理由もあった。誹謗中傷の犯人を教えろ、と言いかねないかもしれない。引き止めないと突撃しそうな嘉隆のストッパーのために遥はいる。あの場に野上と一輝はいなかったが後から話を聞いた。



「あのときのことは、大変でしたからねぇ」

「ですね、僕たちはあの場にいないことを後悔しましたよ。今まで、こう言ったことは無かったので、嘉が怒るのを知らなかった」

「それだけ、川村さんが大事なのですね」



 城咲(しろさき)広大(こうだい)が麻衣に怪我をさせたときの嘉隆は、遥が止めなければ殴りに行きそうなほどの怒り様だった。同じケセラセラのメンバーのジンに広島弁で怒っていた。自分のことを『わし』と言うのは、あのとき、遥も初めて聞いた。



「そう言うわけで、明日は麻衣ちゃんからもそのことについて話があると思うので、少し早くLewisさんに向かってちょうだい」

「分かりました。出版社の人は十一時からでしたっけ」

「そうね、なので、その前には行ってね」

「了解です」



 その話はそこで、終わって社長室を後にして、遥は明日の打ち合わせのために一輝と一緒に応接室に移動したのだった。博行と野上はその後も荻野とこれからのことについて話し合いがされるようだ。荻野のように穏便に終わることを祈るのだった。



 嘉隆くんは、怒ると手がつけられないのかもしれません。

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