Book リレー:嘉隆編(side嘉隆)*
特定の作者名と作品名が出てきますので、苦手な方はご注意下さいませ。嘉隆くんがBookリレーをした時の話になります。
知り合いの、音楽家の人から、声を掛けられた。ある雑誌にリレー形式でコラムを掲載されているので、その次の相手に嘉隆を選んでくれた様だ。昔は音楽雑誌で、レーゲンボーゲンの事を取り上げられる事もあったが、こう言った本についてコラムを書く依頼は初めてだ。
渡された雑誌は見たことがあった。たまに、好きなジャンルの記事を取り上げられているときに買ったことがあった。
「申し訳ないんですけど、好きな記事が載っているときだけ買って読んでました」
「いや、それでも、知ってくれて嬉しいよ」
多分、取ってあったような気がする。あの時は、『宮沢賢治』の特集をしていたと思う。出版社の担当の人に『BOOKリレー』の説明を受けた。季刊なので、締切はゆっくりだ。一緒に着いてきたマネージャーの野上は、手帳にメモを取りながら、確認している。
「楽しそうですね」
「嘉は、やっぱり、『宮沢賢治』ですよね」
「まぁ、それが一番書きやすいかなって思う」
全然、構いません、と出版社の人に言われた。他には思いつかないので、やっぱり『宮沢賢治』にしようと思う。ただ、どれにしようか悩みそうだ。好きな作品は複数あるからだ。候補は定番の『銀河鉄道の夜』か『よだかの星』かなと思う。
* * *
原稿を三時間で書き上げたと言った嘉隆に野上は苦笑している。確認のために読んでみたが、適当に書いたわけではない。きちんと、本棚にあった本を引っ張り出して、調べた。どちらかと言うと、文字数が多くなって削るのに苦労した。
「読書感想文とか、得意だったんですよね」
「なるほど、作詞も良い詩を書くので、そう言った才能があるんでしょうね」
「小説を書けって言われれば、短いのなら書けると思うよ」
「そう言った話が出たら、考えましょう」
まぁ、来ないと思うけど。そう言って、嘉隆は苦笑した。選んだ本は結局悩んで、『銀河鉄道の夜』にした。これは、嘉隆にとって思い入れのある作品なのでこれしか考えられない。『銀河鉄道の夜』の素晴らしさと、『宮沢賢治』の素晴らしさを書いておいた。自分のこの文章で『銀河鉄道の夜』を読んでくれれば嬉しい。
「誰に渡すか考えているんですか」
「僕、ぼっちだからなぁ」
「そんなこと無いでしょう」
「誰でも良いんですよね」
本当は、頼みたい人はいたのだが、迷惑をかけるかもしれないと思って自重した。同じ事務所の人には、回せない、そして、渡された相手の事務所にも回せないという徹底ぶりだ。なので、遥には回すことが出来ない。
「遥に回せないの地味につら」
「同じ事務所はダメなので仕方がありませんよ」
結局、何度か仕事をしたことがある、野球選手の人にした。だって、誰でも、良いんでしょう、と言う嘉隆の言葉に、出版社の人は流石にスポーツ選手が選ばれたのは初めてですと言われて苦笑された。野上にも呆れられたが、どうしてもお願いしたかった三人のうちの一人なので我儘を通させてもらった。
三人のうちの、残り二人は麻衣と遥くんでした。麻衣とは、知り合ったばかりなので、困らせる可能性もあるのでは、と思い自重しています。遥くんは、同じ事務所なので選べませんでした。




