寂しそうな君にハグを*
うちのLewis companyとレーゲンボーゲンのrip tideの社長同士では、きっと何度も話し合われたんだろう。この決定に私は従うことしか出来ない。と言うか、今までが多過ぎたのだ。レーゲンボーゲンとの仕事は知り合ってから、二年ほどでかなり増えた。愛夢ちゃんや聖良ちゃんと一緒の仕事も多かったが、これは、周りから見れば、会社間で蜜月状態だと言われてもおかしくは無い。仲が良すぎるのも問題になるものだ。なので、私は驚きはしたが、そこまで落ち込んでいるわけではない。どちらかというか、やっぱりと思ったほどだ。それと、私の気がかりはこっちではないしね。
帰宅した嘉くんは、頭に無いはずのわんこの耳が垂れ下がっているよう見えてしまって、私は、ぽんぽんとその頭を撫ぜた。私との仕事をセーブする話を今日、事務所で聞かされたらしい。私も、同じく今日は休みのはずだったのだが、突然、事務所に呼び出された。理由はわからないので、その時は、嘉くんに事務所に呼ばれたので行って来ると言って出かけた。
嘉くんは本当に残念そうで、帰って来るなり、私に抱き着いた。私は、その報告を受けただけなので、その後、莉子さんと美月さんとランチを食べて帰宅した。嘉くんは、その後も仕事だったようで、遥くんからのメッセージで、仕事が手に付かず、かなりぼろぼろだったようだ。慰めてやれ、って言われたので、頭を撫ぜた。多分、そう言う意味で言ったんじゃないと思うんだけどね。とりあえず、撫でておこう。
「嘉くん、おかえりなさい」
「ん、ただいま」
しょぼんとしているけど、その手はなに?! 頭の後ろに回された手で固定されて、キスされた。落ち込んでるんじゃなかったのか。嫌そうにぐいぐい押し返すとそれ以上はやめてくれた。
「こらー、悪戯する人には、ご飯あげないよ」
「あー、ごめんなさい。でも、麻衣とのキスは安心するんだよ」
そう言われると、やめて、と言い辛い。私も軽くキスを返すとふわりと微笑んでくれた。この笑みも確信犯なんだよ。それを理解しているのがずるい。
今日は、嘉くんが少しでも浮上しようと好物のハンバーグを作った。ソースは、大根おろしと紫蘇の和風ソースだ。今日のご飯は私が作ると言う連絡はしていた。基本、私が休みのときは、私がご飯を作ることが増えたんだよね。今日は、事務所に行ったのは、午前中だけ。本当は休みのはずだった。なので、莉子さんと美月さんとのランチのあとに、買い物して帰って来た。嘉くんの好物を作るためだ。
「ちょっと、ショックだったけど、それでも、後から考えてみて、しょうがないかな、って思った」
「うん、そうだよ。今までが、一緒に仕事をやり過ぎた。通常に戻るだけだよ」
「でも少し残念だな、って思ってね」
「その気持ちは分からないことはない。私も、レーゲンボーゲンがいなかったら、こうして、いろんな仕事をしていなかったと思う」
「麻衣、ありがとう」
「なんの、お礼? 私は何もしていないよ。これから、忙しくなるから、時間なんてあっという間に過ぎるよ」
「そうだね」
さて、ご飯冷める前に食べちゃおうか。最後に私から、ハグすると嘉くんは嬉しそうに破顔して抱きしめて返してくれた。大丈夫だと思う、前におじいさんが亡くなったときに比べると元気がある。直ぐに、浮上してくれるだろう。と言うか、大好物のハンバーグでかなり浮上しているような気がするね。遥くんには、大丈夫そうだよ、と言うメッセージ送っておいた。
十月一日のお話の四つ目になります。夜に嘉隆くんと話をしています。




