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虹の架け橋  作者: 藤井桜
新婚編
72/714

可愛い嫉妬(嫉妬相手は、私ではありません)

 GL匂わせ。麻衣がお仕事で、女の子に壁ドンしています。ご注意を。



 今日の打ち合わせは私の事務所だった。応接室で、次のフェスに出るために集まっていた。先日はレーゲンボーゲンの方の打ち合わせに行って来た。夏に(よし)くんの地元であるフェスについての話し合いだった。打ち合わせと言っても、雑談も含めての話し合いなので、まったりとしたものだ。


 ふと、側を通りかかった社長が私に向かって、こっちに来る様に促された。何かと思い覗き込む。莉子さんも、ああと言って、処分しようかどうか悩んでいたらしい。雑誌の切り抜きは纏めてあったが、雑誌まるごとはどうしたら良いのか困る。デビュー後のもので、もう十五年ほど前になる。再デビューという事もあり、最初は、TVの仕事以外はなんでもやった。それが、モデルやミュージカル俳優だ。そして、何冊かの雑誌で、数ページの特集もしてもらった。懐かしいけれど、恥ずかしい。


 その一冊をレーゲンボーゲンの二人も覗き込んで、そして、嘉くんは、表情を曇らせると、目を逸らした。遥くんが、何か言いたそうにする前に、嘉くんは「はぶててない」と答えた。



「これ、見ていい?」

「嘉くんは?」

「拗ねてるだけだから、ほっといていいよ」

「えっと、嘉くん、なんか、ごめんね?」



 ぺらぺらと遥くんが雑誌を捲る。表紙には、壁ドンする、男女が見つめ合う様に撮られている。まぁ、男女じゃないんだけど。歌手デビューして、暫く経って、顔出しをする様になってからのものだ。

 金髪にピアスと白いワイシャツに黒いベスト、タイはしていなくて、ワイシャツのボタンを二つほど外している。そして、壁ドンされている女性の服はキャミソールで少し悩ましげな格好だ。あの時、カメラマンのお姉さんに女同士なので気にせずに、触っちゃったり、いちゃいちゃして下さい、って言われたら、肉食系の小悪魔系女子に襲われ掛けた。その女性は、思い出したけれど、というか雑誌の表紙に名前があるので、気付いたんだけど、嘉くんの元嫁さんだ。だから、嘉くん、視線を逸らして、拗ねたのだ。


 ちなみにこれ、初めて顔出ししたもので、性別も公表されていないので、男性だと思われた。


 中身も結構、過激で、これ、よく発売されたなと思う。これくらいなら問題ないのか? 完全に脱いでいるわけじゃないからいいのか。ソファで押し倒すシーンとか、顎に手を掛けて口説いてるシーンとか、それを綾香さん相手に私がやっている。元々、女優でデビューしたので、演技は完璧だと褒められた。

 そして、彼女側から、口元にキスされるシーンとか、私の上に乗り掛かるシーンとか。小柄で、私並みに身体の薄い人なので、重くはなかった。ふと、私じゃなく、これが嘉くんだったらと思うとモヤモヤした。



「すげぇな」

「すごく、恥ずかしいのですが」

「元嫁、この頃はまだ、可愛い気あるのな」

「それ、全部じゃないから言うけど、かなり際どいシーンもあったのよ」

「どんな?」

「いや、言っても良いけど、嘉くんが怖いよ」



 嘉くん、ぽかりと、丸めた雑誌で遥くんに叩かれた。嘉くん、怒ってない、って言っても信じられない。「怒ってるんじゃねーか」ぼそりと、遥くんが呟く。なんのことかと聞くと、「元嫁にな」って返って来た。嘉くん、綾香さんに怒っていたのだ。



「麻衣に、俺より早く会ってたと思うとずるい」

「私じゃくて、まさかの綾香さんへの嫉妬!」

「ねぇ、あのシーン俺が再現してもいい?」



 嘉くん、更に遥くんに叩かれた。あ、ゲンコツなので、今度はごつんと良い音した。それ、本気だ。あの、シーンの再現なんて、絶対に無理です。もう、やりません。恥ずかしすぎる。

 雑誌の中で、私は綾香さんと対談する特集がある。その中の綾香さんは、とても可愛い人で、嘉くんの元嫁と結びつかなかった。この雑誌の発売当時は私は二十五歳、綾香さんは二十四歳になる。対談の中で口説かれた。

 私の返事は、「きっと、僕よりもずっと、素敵な人に出会えるよ」だった。覚えていないけれど、雑誌にはそう書いてある。なので、事実なのだろう。



「僕よりもずっと、素敵な人か」

「麻衣?」

「なんでもない」



 私のせいか? 私があんな事言わなければ、嘉くんは、綾香さんと結婚する事なかったのか。また、私が考え込んでいるのに気付いて、今度は私が遥くんに叩かれた。雑誌でもゲンコツでもない、痛くはない、手刀だ。なんで、考え読めるの。



「表情見れば、分かる」

「嘉くん、素敵な人だよね」

「人によるんじゃねぇの。それに、元嫁は、そんな事、絶対に、気にしていないと思う」

「そうなの?」



 そして、お前もな、と嘉くん、遥くんに突っ込まれていた。何故かな、と思うと私の素敵な人、発言が嬉しかったようだ。遥くん、人の心読むのうま過ぎ。というか、不思議なのは、遥くんだからだ、他の人だと、嘉くんの考えは読みにくいらしい。ほら、影のあるさわやかイケメンだから。


 そう言うと、お前らのが読みやすいだけだと返された。そして、嘉くん、機嫌直るのも早いな。雑誌は結局、そのまま残される事になりました。そんなに多い冊数じゃなかった。誰かと一緒って言うのは、綾香さんと一緒ののみだけだった。

 他は私が一人で撮ってもらったものばかり、そっちは、嘉くん見てくれた。頭の上に王冠乗せて、豪華な椅子に座る王様スタイルとか、金髪なので、王子様の様な、服が似合うとか、でも、恥ずかしい。それと、打ち合わせどうなった。



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