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虹の架け橋  作者: 藤井桜
新婚編
71/714

遥先生の英会話講座(一時間目)



 その話題になったのは、レーゲンボーゲンが出した去年の十二月のシングルCDのタイトルが英語だったからだ。『build(ビルド) the() future(ヒューチャー)』未来を創る、って言う意味。うん、英語ってカッコいいよね。でも、難しい。


 今日は、会社近くの居酒屋ではなく、遥くんオススメのワインバーだ。ここも個室があって、すごく助かる。そして、色んなお店知っているんだな、といつも感心させられる。私が普段、出歩かないので知らないって言うのもあるんだけどね。今は二人だけだ、嘉くんは後から来る。手が離せない仕事があって、遅れるってメッセージが来ていた。


 他にも、レーゲンボーゲンの歌詞で、長い英語の歌詞の歌がある。きっと、日本語の歌詞よりも多い。もちろん、その作詞は遥くんだ。『catch(キャッチ) the ()rainbow(レインボー)』って付けられたこの曲、私には歌える自信がありません。これ、歌詞の方では日本語で『虹を掴もう』って歌ってるんだけど、それ以外は英語なのだ。



「麻衣ちゃんと、(よし)、放課後の居残り組になりそうだよな」

「失礼な、私、赤点取った事、高校時代二回しかありません」

「二回もあるのかよ、それ、英語なのか?」

「違う、一年生の時の理科と、二年生の時の保健体育」

「理科は分かるとして、何で、点数稼ぎ出来る保健体育で赤点取ってるんだよ」

「内容が頭に入りませんでした」



 元々、専門教科が多い高校なので、そっちに時間を取られるので、一般教科は疎かになる節がある。理科はそれでも頑張ったんだよ? それも、体育の方じゃなくて、保健の方がダメだったというと、目を逸らされた。やっぱり、保健はしっかり、勉強しておけば良かったの?



「中学時代の先生には気仙沼(けせんぬま)の高校だって行けるって、言われていた成績だったんだよ。偏ってたかもしれないけれどさ。遠いし、もっと寝ていたいから、やめたけど」

「理数系のイメージないよな」

「お分かりの通りで。得意な音楽が一年生の時の美術との選択制だった時は。泣きました」

「それで、点数稼ごうとしたのか?」

「成績は悪くなかった。クラスで飛び抜けてその教科だけ、成績いい人がいたから、各教科の順位はそれほどでもなかったんだよね。それよりも、すごく悔しい思い出があるのよ。クラス順位万年二位で、万年一位の男子に対して、なんで、この高校受験したのよーって、本人の前では言えないから、絵美に愚痴ったら、あんたもよ、って突っ込まれた。絵美だって、日本史得意で、クラス一位取ってるのに」

「その、絵美ちゃんて、修学旅行の?」

「嘉くんから聞いた?」



 あんな偶然、嬉しくて、きっと私でも遥くんに言ってたと思う。修学旅行で、選んだ岡山、広島方面は絵美が行きたいって言ったからだ。あの時は、嬉々とした笑顔の普通科クラスの日本史教師の高倉港先生が引率してくれた。私たちと、違うグループの女子が普通科クラスに固まっていて、そっちの引率っていうのが、主な目的らしいんだけど、あれは絶対に自分が行きたいからだったと思う。ちなみに絵美はあの場に嘉くんが居た事は気付いていない。かっこいいイケメンいるな、ぐらいの認識だ。私も嘉くんに指摘されるまで知らなかったのだ。



「いつもの嘉からは想像がつかないほどのテンションだった」

「そっかぁ」

「それで、その高校やめたのは、やっぱり、面倒いから?」

「よくお分かりで。嘉くんの言葉借りるとたいぎぃ?」

「もう、遠慮なしに広島弁でしゃべってるんだな」

「うん」

「それな、安心してるから、家族の前とかでしか言わない」

「うん、知ってる。嘉くんの広島弁は、慌てた時とか、機嫌が悪い時とか、怒っている時とか、咄嗟に出る事あるけれど安心する時にも出るって知った。じゃあ、遥くんも大事な家族だね」

「不本意だけどな」



 最近更に知った事がある。遥くんは、遠慮がなくなったんだけど、それが、嫌な事に対するものでも、最初は表情で嫌そうな顔をしていたんだけど、態度や口でも示すようになった。遥くんも、安心出来ているのかな。



「なぁ、麻衣ちゃん、ビートルズ以外の洋楽は歌えないの?」

「スタンドバイミー歌えるよ?」

城咲広大(しろさきこうだい)と、ビートルズや洋楽で盛り上がって、って言う話だったじゃない、あれって、洋楽=スタンドバイミーだけの事だよな」

「誰に聞いたの?!」

「嘉しかいないでしょ」

「さっき、あんな事言ったけれど、嘉くんは、英語苦手じゃないよね」

「勉強の英語はあまり、得意ではないって、言ってたな、洋楽は、聞くから、覚えた、って感じなんじゃないか。相変わらず、興味のある事だけだよ」



 そして、冒頭の話に戻ってくる。嘉くん、遥くんの作った曲に対して、すごく微妙な表情だったらしい。その時の遥くんは楽しそうだったらしい。情景が思い浮かぶ。でも、頑張ったみたいです。頑張って歌えるようになるってすごいな。私には無理かもしれない。私、作詞は自分でする。遥くんに、曲付けて欲しい時だけ、頼む事にしようと決めた。


 ちなみに、三人の中で一番頭が良いのが遥くん、次いで嘉くん、私。遥くんは中学受験して、大学まで卒業している。嘉くんは、普通高校の卒業、で、私は田舎の農業高校の出身で、一般教科は、嘉くんより、学んでいない、だから、学力はどうしても、下がってしまう。野菜の育て方とかなら、教えられるよ? あ、最近は、ベランダで家庭菜園も始めました。嘉くんが、美味しく調理してくれるからね。



『catch the rainbow』は好きなアーティストさんの曲から拝借。被っても良いタイトルですよね。それと、遥先生の英会話教室って言ってるけれど、勉強はしていない事実。ただ、麻衣が英語が苦手と言う話。

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