君のきらきらした笑顔が素敵、それぞれのうたい文句とは
雑誌に取り上げられた、文字を拾って、私は首を傾げた。その音楽雑誌にはレーゲンボーゲンの二人が取り上げられている。すごく、かっこいいビジュアルで、インタビューを受けている特集だ。
表紙も二人だ、黒を基調とした、衣装がとてもよく似合っている。そのうたい文句っていうの? それが、大きく書かれていた。女子受けしそうだ。
「影のあるさわやかイケメン」
「それって、嘉くん?」
「そうらしいけれど、俺から見たら、どこに影要素あるのかって、感じだけどな、影つうか、何考えてるか分からないから、って言う理由だけど、嘉が考えてる事って言ったら、音楽か、料理か、麻衣ちゃんかだな、んで、最後のは、簡単で分かりやすい」
遥くん、容赦ない攻撃で、その例えをばっさり切り捨てた。影のある人、どこにそんな要素があるの? 理由は、何を考えているか分からない、言葉を選ぶ時の無言が、そう呼ばれているらしいのだが、まぁ、確かに昔のソロ活動時期なら、そう言われて納得なんだけど、最近の彼は何ていうんだろう、人懐こいわんこにしか、見えない。
それは、私だけ、そう見えているわけではない、と言い切れる。雰囲気が、休止前と再開後では、随分変わったと話題になっていた。多分、自惚れじゃなければ、それは私が要因だ。
「遥くんの、孤高のイケメンは、合ってると思う」
「孤高ってなんだって、思う。嘉に比べると人当たり良いって言われるし、あっちの方が、周りに気を使うのが下手で、群がる女子を無視する事多いよな」
「人に興味ないっていうのが、すごくよく分かる」
「目の前に好きなものぶら下げとくと、全力で尻尾振る。あれは、初めてみたときは、驚いたな」
「それって、もしかして、私?!」
「他に誰がいるんだよ」
確かにそうかもしれないけれど恥ずかしすぎる。この場に、嘉くん居なくて良かったよ。今日は、打ち合わせの時間の合間の休憩中だ。莉子さんは、私にコーヒー、遥くんに紅茶、緑茶しかなかったんだけど、遥くんが来る事が増えたので、スタッフが気を利かせて、紅茶もレパートリーに入れてくれた。遥くんには、紅茶と緑茶交互に出される事が多い。それと、甘いものが好きなので、お茶菓子の量も増えた。
莉子さん、纏めていた資料を取りに行ったり、必要な書類を集めてくれたりしている。今日の嘉くんは、単独の仕事の打ち合わせ中で、自分の事務所にいる。遥くんが居るのは私の事務所だ。
「きらきらイケメン」
資料を持って戻って来た、莉子さんが私たちの会話を聞いていたのだろう、通りすがりにぼそりと呟いた。誰の事を言っているのか、聞かなくても分かる。デビュー当時は、顔出しが無かったので、それから、数年後に顔出しする様になってから、付けられた、キャッチフレーズのようなもので、約十五年の付き合いになる。
「それは、納得せざるおえないな」
「それ、もう、取り消すか、違うキャッチフレーズになりませんか」
「その格好している間は無理な話なんじゃないか?」
相変わらず、遥くんにばっさり切られた。莉子さんは言葉を続けると、「更に、甘さが増えたかしら」と呟いた。遥くんも納得している。嘉にもな、と更に付け加えた。『甘いきらきらイケメン』と『甘い影のあるさわやかイケメン』にグレードアップしたようです。不本意な!
実はもう一つ気付いた事がある。遥くんは、嘉くんと一緒の時にしか声を掛けられない。なので、ほとんど、変装なんかもしない。普通に、電車に乗って、普通に出掛ける。イケメンだけど、かっこいいけれど、黒髪に短髪、少しだけ近寄り難い風貌で、それが、声を掛けられない要因だと思われる。
私と嘉くんは、変装必須、というか私はしてるつもりないんだけどね。なので、遥くんが一緒だと、変装していてもすぐにバレる。
遥くんはそのままなのですが、活動再開後の嘉隆くんはかなり、ファンに分かるほどにイメージが変わっています。




