愛を伝えるその君の言葉(side遥)*
九月二日が愛夢ちゃんの誕生日で、その後に愛夢ちゃんのバースデーライブが都内でありました。特に、サポートメンバーが誰かは公表されていないので、遥くんが担当しても問題はありませんでした。ただし、突然現れた遥くんに、みんな驚いています。荘太郎くんの手伝いをすると、言ったので、早速お仕事をもらった遥くんでした。
愛夢の誕生日記念とデビュー年のお祝いを兼ねたライブが都内のホールで行われる。少し前に、荘太郎が良かったら、遥に出ないかと誘ってくれたのが、実現した。
荘太郎が言うには、これも、サポートメンバーらぶらぶ大作戦の一環らしい。来年の三月のレーゲンボーゲンのデビュー記念に向けて、少しずつ、サポートメンバーを面に出していくためのものだ。
「愛夢ちゃんの『愛』だけに、らぶらぶ大作戦か」
「今日、古川さんがらぶらぶするのは、私じゃなくて、荘太郎くんとでしょ」
「まぁ、細かいことは、気にするな」
「細かいことって。まぁ、いいか。今日は、古川さんと歌います!」
「ところで、近藤さん、今度はなにしたの」
「今回は、インフルとか怪我じゃないよ。他の仕事と被っただけ」
「なる」
冬に、インフルエンザに罹り、春には、自転車で転んで足を捻挫したそうだ。捻挫ぐらいで済んだが、その後の愛夢のライブは椅子に座ると言う少し情けない姿で参加をした。足は怪我をしたが、手は動かせるので問題無かったようだ。
「俺が言うことじゃないけど、少し気をつけた方がいいな」
「近藤さん、怒られてる。ほら、古川さん、体調管理ガチだから」
「普通だろ」
「古川さんは、ガチ過ぎるよ。だって、自分でご飯作らないけど、食べるものはちゃんと栄養バランス考えたもの食べてる」
「普通だろ」
「普通だったら、荘太郎くん、目を逸らさないよ」
大事なことなので、二回言った。後ろを振り向くと荘太郎は、椅子をくるりと後ろに向けて耳を塞いでいる。それには、お客さんも笑っている。近藤の方は、今日は欠席なので今頃、くじゃみをしているかもしれない。遥は近藤の代わりにギター弾くことになったのだが、遥も何曲か愛夢と一緒に歌うことになっている。
「浅生さんは、今日、どうしたんですか」
「嘉連れて来たら、喧嘩するだろ」
「喧嘩なんてしてませんって。私と浅生さんはいきなり、仲良しですからね!」
「いきなり、ってすごいだっけ。それ、どこがだよ、いつも、牽制し合っているじゃないか。今日は、別の仕事があるんだよ。それに、愛夢ちゃんのキーボードの桑畑さん、苦笑しているよ。嘉呼んだら、桑畑さんの仕事無くなるじゃん」
「そうだった、くわやん、ごめんなさい」
くわやん、と愛称で呼ばれた桑畑は気にしていないように、それを音で表現してくれた。嘉隆との掛け合い漫才は、相手が遥だけでは無く、愛夢でも、お互いに牽制し合っていると言って好評だ。何故か、麻衣を挟んで牽制し合っている。挟まれた麻衣はその度に苦笑している。
「と言うわけで、古川さんと二曲ほどデュエットします。いつも、荘太郎くんなんだけど、今日は古川さんと『星にささげるノクターン』とレーゲンボーゲンの『アステリズム』です」
今回は、愛夢が二十周年記念のアルバムで、トリビュートアルバムを出す。遥もレーゲンボーゲンとして参加予定なので、今回のライブに呼ばれた。レーゲンボーゲンが『星にささげるノクターン』を、歌うんですよね、と言われて、そんなわけねぇ、と突っ込まれた。流石にこの曲を男性デュオで歌うのは、聴く側も嫌だろう。今回、歌う『アステリズム』は愛夢が嘉隆のパートを歌う。
「そう言えば、レーゲンボーゲンが歌ってくれる歌の収録が終わっているんですけど、浅生さん、すごいですよ。どこがすごいかは、ぜひ買って聞いてみて下さいね!」
「購入意欲煽るのうまいな。俺も見習おう」
「古川さんは、そのままで大丈夫だと思います」
「なぁ、ソウ、愛夢ちゃんにぐりぐりしていい?」
「えー、私はアイドルなので、ダメですよー」
こめかみにぐるぐりしようとしたが、荘太郎の返事をもらう前に逃げられた。お客さんには、大受けだ。最後は、遥もギターに戻って、アンコールへと続いて、盛況のうちにバースデーライブは終わった。
遥くんと一緒でも、漫才をしています。愛夢ちゃんのトリビュートアルバムや、二十周年記念の愛夢ちゃん視点のお話もそのうち書きます。




