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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
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聖良ちゃんのドイツ語講座+麻衣の和風月名講座*

 麻衣が一月がウルフムーンだと言っていた時に話題に登った和風月名なのですが、その後、気になったので調べていました。

 


 今日は、事務所で、午前中の打ち合わせが終わり、お昼休憩中で、みんなでご飯を食べている。面白いのは、やっぱり、美月さん以外は、お弁当を作ってもらっていることだろう。

 莉子さんは、沖さんに、聖良(せいら)ちゃんは、内田くんに、そして、私のお弁当は(よし)くんが作ってくれた。

『May』って、英語で五月のことだよね。ドイツ語だと、それが『Mai』になるようだ。日本だと、『皐月』だね。

 その話になったのは、美月さんのお姉さんが五月生まれなので、『さつき』と名付けられたって言う話になった。漢字は『彩月』、月を彩るって書いてすごく風流だね。



「麻衣さんは、五月生まれじゃ無くて、十一月生まれなんですよね」

「うん、そうだね。でも、どうして?」

「ドイツ語だと五月のことを『Mai』って言うんですよね」

「そうなんだ。うちの、おばあちゃんはドイツ語は知らないと思うんで、五月だったとしても、付けられなかったかなぁ」

「そうですよね」

「十一月だと霜月かな。名前には向かないね」

「確かに」



 それで、十一月はなんて言うの、って聞いたら綺麗な発音で教えてくれた。聖良(せいら)ちゃんは、日本語とドイツ語が出来る。英語も少しだけ、日本よりもドイツの方が英語に触れる機会があったらしいんだけど、小学校に入学する時に日本に来たので、その後の英語はそれほど、小学校で触れる機会はなかったようだ。触れるのは、中学に入ってからだって言ってた。ドイツ語は、お母さんが教えてくれたし、お父さんもしゃべれるので、家の中では、日本語とドイツ語が入れ乱れていたみたい。



Novemberノヴェンバーですね」

「おお、良い発音。流石だね」

「ありがとうございます。お父さんとお母さんがたまに喧嘩する時、日本語とドイツ語が混じって面白いです」

「あは、私と(よし)くん、たまに宮城弁と広島弁で会話するよ。それと、おんなじ感じだね」

「喧嘩はしませんよね」

「した事はないかな。たまに、嘉くんの機嫌が悪くなる事はあるけどね」



 聖良ちゃんも内田くんとは喧嘩したことはないけれど、咄嗟にドイツ語が出てくることはあると言う。そう言えば、たまにドイツ語で『はい』って言ったことあったね。それは、何度か聞いたことがある。



「でも、これは嘉くんには内緒で」

「どうしてですか」

「だって、このこと言うと、嘉くん、『Mai』って言う曲作りそうじゃない」

「あは、確かに、浅生(あそう)さんなら、やりそうですね」



 そんなの恥ずかし過ぎる。なので、嘉くんには言わないで、と念を推しておいた。そして、日本語の六月は水無月だね。六月は聖良ちゃんの誕生月なので話題にしてみた。



「水無月って、『水の月』って言う意味みたいだよ」

「ああ、梅雨なのに、なんで『水が無い』って書くんだと思っていました」

「漢字の『無』は、『の』って言う意味みたいだよ」



 農家にとって、田んぼに水を引く月なので、水の月だそうだ。私と嘉くんの霜月は、簡単だ。霜が降り始める時期だからだね。

 ちなみに莉子さんの四月は卯の花が盛りになる月からだ。また、田植えをするから『植月』という説もあるみたいだね。美月さんの十二月は知らない人はほとんどいないと思う。先生が忙しく走り回る月で、師走だ。



「莉子さんの、四月は、『アプリル』って言います。美月さんの十二月は『ディツェンバー』ですね」

「聖良ちゃんの、六月は?」

「私は、『ユーニ』です」

「不思議だね、英語と言葉似るんだと思っていたんだけど、違うんだ」

「いえ、どっちも『J』で始まるので、似てると思いますよ」

「そうなんだ」



 最後に私と聖良ちゃんは、何故か、遥くんの一月の話を同時に言って笑った。思わず、仲良いわね、と言って莉子さんに突っ込まれて、美月さんには笑われた。



「一月は、『ヤヌアール』です」

「一月は、『睦月』で、お正月に宴を開いて睦まじく過ごすことからって言う意味だね」



 これは、前に嘉くんとその話になったから、調べたのだ。中には、農家が関係する名前もあって、興味深かった。水無月とかそうだからね。聖良ちゃんに教えてもらったドイツの十二月の呼び方も面白かった。英語と近いんだけど、読み方が違っていて面白い。全然、違うと思っていたのもあるんだけど、最初のアルファベットが同じで、共通している言葉だと言うのが分かった。



「実は私、ドイツ語、少しは分かるのよね」

「え、莉子さん、なんで?」

「ほら、うち病院じゃない。カルテってドイツ語でしょ。患者さんのカルテを見せてもらったわけじゃないんだけど、父がドイツ語で書いたメモを見せてもらったことがあって、小学生ぐらいの頃かな、聞いたのよ」

「ああ、ああ! そっか、カルテってドイツ語だよね」

「そう言うわけで、ちょっと気になってその後に習ったのよ」



 莉子さん、お医者さんには、なりたくない、って言っていたらしいけど、ドイツ語は気になって勉強したのか。美月さんが笑うわけだ。



「莉子、病院関係のこと詳しいのよ。自分では、やりたく無いって言っているのにね」

「莉子さん、私のことがあるからなんですかね」

「あら、それは違うわよ。それよりも、前からだから」



 あは、そっか、私の体調管理を気にしてるからなのかと思っていたら、違っていた。そっか、家のことをしたく無いって思っていてもやっちゃうやつか。敬兄がそうだった。農家するつもりが無いって言って水産高校に行ったんだけど、家のことも手伝っていた。



「あれ、じゃあ」

「読めるけど、聖良と会話となると無理よ」

「そっか」



 あれ、私そんなに残念そうな顔してた? 美月さん、そこまで笑うことないじゃないですか。聖良ちゃん、莉子さんのドイツ語で話しかけている。困っている莉子さんは珍しい。



「聖良ちゃん、勉強になったよ」

「私もです。和風月名教えてくれてありがとうございます」



 いつも、遥くんの色んな講座は聞くけど、たまには他の人から聞くのも楽しいね。いつの間にか、お昼時間が終わっちゃった。聖良ちゃんも莉子さんも美月さんも楽しんでくれて嬉しいです。



 多分、歌詞のネタになるんじゃないかな、と言うのも思っています。

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