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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
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一緒にいるから楽しいこと、君への初恋①(side絵美)*

 絵美が悠一を好きだった話。



 絵美は、冗談で、悠一にうちの子に、なれば良いのに。と言われたことがある。この場合のうちの子は、嫁に来い、と言った類のものでは無く、単純に絵美が川村家に毎日入り浸っているからだ。


 もちろん、幼馴染みの麻衣と一緒に遊ぶのも楽しかった。しかし、絵美の目的はもう一つあった。麻衣の兄の悠一は絵美や麻衣よりも五つ年上でカッコよかった。弟や妹の面倒もよく見てくれて、中学生の敬也と一緒にキャッチボールをして遊んでくれたし、困ったことがあると助けてくれた。

 麻衣は中学に上がると、ほとんど部屋から出なくなったそうだ。たまに、絵美は身体を動かしたいのと、悠一と一緒に遊びたいからと言って、キャッチボールに混じっていた。麻衣は、縁側で本を読みながら、外を眺めている。前は、部屋から出なかったのだが、やっと、縁側まで引っ張り出すことに成功した。



「麻衣ー! 麻衣もキャッチボールやろうよ」

「え、私は『こえぇ』からやらなくてもいい」

「もう、身体なまっちゃうよ」

「さっき、家の手伝いしたよ。ちゃんと、身体動かして来たから良いんだよ」

「悠兄も草刈りしていたよね」



 畑で、一仕事してきて、庭先でキャッチボールが出来る元気がある悠一がすごいと思うが、一緒にやっている敬也も疲れた様子は見せていない。更に言うと、午前中に部活で練習して来たと言う話だ。敬也は今日は部活は休みで、家の手伝いを麻衣と一緒にしていたようだ。いつものように、家には両親が共働きなので、一人なので、絵美は川村家に入り浸っている。最近は、母が食堂で忙しいので、川村家でご飯をご馳走になっていた。



「絵美、午後から図書館行こう」

「え、何。その本読み終わったの?」

「うん」

「面白かった?」

「普通」

「普通か」



 昔から、麻衣は読書家ではあったが、特にこだわりは無いようで、目についたものを借りて来て読んでいる。普段、漫画しか読まない絵美は、最近、悠一に貸してもらった海賊漫画がお気に入りだ。



「うん、良いけど」

「なんか、用事ある?」

「自転車パンクしたんだよね」

「ああ、なる」



 それじゃ、図書館までは徒歩になってしまう。徒歩だとかなり遠い。すると、悠一が「俺直しに行くよ」と言ってくれた。神がいると思った。やっぱり、優しくて、頼りになる。



「悠兄、直せるの?」

「ああ、お昼食べたら、直しに行くよ」

「わーい、悠兄カッコいい! ありがとー!」

「おう」



 満更でもない表情をする悠兄は、それでもちょっと照れているようだった。それにしても、自転車のパンクまで直せるなんてすごい。これから、パンクしたら悠兄に頼もうと思う。


 どんどん、悠兄の株が上がっていると思う。絵美は一人っ子で兄弟がいない。いとこは志津川にいるし、父母は仕事が忙しくて、志津川に行くのは、ひと月に一度ぐらいだ。なので、兄弟が出来たようで嬉しい。



 * * *



 中学を卒業して、絵美と麻衣は、お隣りの高校に進学した。特に、中高一貫校というわけではなかったが、学校は隣り合っていた。二つ上の麻衣の兄は、高校は水産高校なので、気仙沼の高校を選んだ。悠一は、同じ高校のOBで、悠一の担任の先生は、麻衣が入学してくると分かってたようだ。



「絵美」

「なに?」

「なんて言えば良いのかな」

「珍しくはっきりしないね。何かあったの?」

「うん、んとさ、絵美って悠兄好き?」

「うん、好きだけど、それがどうしたの?」

「ケセラセラの広大(こうだい)くんとどっちが好き?」

「ちょっと待って。なにその選択肢」



 ケセラセラの城咲(しろさき)広大は、絵美が好きなアイドルで、何故か麻衣は、言いにくそうにそう言った。身長は、悠一と同じくらいある。見た目は、悠一と広大は違ったタイプだった。似ているのは、身長ぐらいだ。



「悠兄、彼女出来たって昨夜、嬉しそうに帰って来たんだよね」

「ああ、なる。どんな子?」

「聞いてない。出来たってしか言ってない」

「あはは、そっかー。高校の頃は彼女いないから、油断したな」

「だって、高校では、農家の跡取り息子って、みんな理解していたからね」

「だよね。悠兄、長男だし」



 絵美は、悠一が好きだが、一緒に遊んでいるだけで良いタイプだ。自分も好きなことをやって、悠一のことが頭にないことも多々ある。なので、今の麻衣のその言葉を聞いてもショックは少ない。きっと、広大が同じように誰かと付き合っていると知ってもそこまでショックは大きくないだろう。



「麻衣、なんかごめん」

「なんで、謝るの?」

「麻衣に心配させている。悠兄のことは好きだけど、憧れとかそんなところだから。ほんと、麻衣は真面目だね」

「もしかして、そこまで好きじゃない?」

「いや、好きだよ。でもね、悠兄と付き合いたいとか思ってない。だって、広大くんだって、ゾロだって、同じくらい好きだよ」



 ゾロって、誰だ? と麻衣は首を傾げている。悠一に借りた海賊漫画に出てくるキャラなので、麻衣は知らないだろう。



「そっか」

「麻衣?」

「私こそごめん。なんか、早とちりしたようだ」

「ううん、でも、心配してくれてありがとう」

「いや」



 あとで、彼女のことを聞いておこうと思った。絵美は、麻衣の優しさに、嬉しそうに笑った。あとで、悠一に、おめでとうと言っておこうと思った。



 これは、本編の初期の方で、話していたのですが、ようやく掘り下げることが出来ました。ちなみに、絵美は、アニメや漫画の登場人物も好きですが、アイドルも好きです。そして、悠兄が好きでした。でも、一番好きなのは、小早川隆景公かもしれません。

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