麻衣の料理教室(パブリカ編)*
夏に遥くんのセカンドアルバムが出る少し前のお話です。
パプリカって、宮城が都道府県で生産高が一位なんだよね。実家でも作っていて、赤やオレンジ、黄色の色鮮やかな綺麗なパプリカが送られてくる。でも、規格外でちょっと形は悪いけどね。大きすぎると売れないらしいので、近所に配ったりするそうだ。今日は、実家から色んな夏野菜が送られてきた。シーズンなので、トマト、ピーマン、ナス、ズッキーニもある。
「え」
「ん?」
美味しそうなので、パプリカに齧り付いたら、ちょっと嫌そうに顔を顰められた。うちで、パプリカは買って来ないし、実家から送られてきてもピーマンの代わりに使われる。ツヤツヤしているし、嘉くんはピーマン苦手なので、私が食べちゃっても良いよね?
「食べちゃダメだった?」
「いや、驚いただけ。それ、美味しいんだよね」
「うん、甘くて美味しい。これが、今日の晩御飯じゃダメ?」
「ダメに決まってるでしょ。これ、肉詰めにしたら美味しいかな」
「おお、パプリカの肉詰め!」
ピーマンは、苦味が苦手なようなので、パプリカはいけるんじゃないかな。いつもは、サラダに入れるんだけどね。苦手なことを知らなかったころは気にしていなかったんだけど、無表情で食べていたような気がする。大きいのは、サラダかな。大きすぎて、肉詰めには向かない。ハンバーグみたいな肉詰めになりそうだ。
「食べる?」
「…うん」
「あは、間があった!」
そう言いながらも食べてくれたんだけど、その後に微妙な顔をされた。赤いピーマンだと思うと、甘いので違和感があるようだ。見た目と味のギャップのあるものは食べてくれないんだよね。
「美味しいのに。ピーマンだと思うからダメなんだよ。パプリカだと思わないと」
「それが、想像付かないんだけどね」
これ、パプリカは肉厚で型崩れしにくいので、煮込んでも美味しいだ。暑い夏に煮込み料理? って思うけど、少し辛めの味付けにしてニンニクとか入れて鶏肉やトマトなどと一緒に煮込む。それを、粗熱を取って、冷蔵庫で冷やして食べると味が染みて美味しいんだ。
「麻衣、作らないだけで、色々と料理知っているよね」
「うん、母に色々と教わったからね。高校の頃は、家庭科の授業以外でも農業科の授業でもやった」
「手の込んだものじゃ無いのが多いのはお義母さんかな」
「あは、確かにそうだね! 肉じゃがなどはおばあちゃんからだよ」
「うん、そうかなと思った」
肉じゃが以外にも鯖の味噌煮とか、お煮しめとかきんぴらこぼうとかはおばちゃんから教えてもらった。前に何度か莉子さんに作ったらおばあちゃんみたいだわね、って言われたことがある。
「肉詰めも良いけど、パプリカと鶏肉の煮込みにしようか」
「それじゃあ、遥呼ぼうか」
「そうだね、遥くん鶏使うから、好きそうだ。なんか、忙しそうだから少し労おうか」
「ん、そうしよう」
遥くんに少しでも、スタミナを付けてもらおうと、パプリカと鶏肉の煮込み冷やしにしようと思う。きっと、そう言ったら、これ熱いの、冷たいのどっとなんだと突っ込まれそうだね。
麻衣は、野菜を生で食べるのが好きです。




