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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
690/730

君の瞳に恋をした(side理人)*

 麻衣の春の全国ツアーファイナルの東京公演の数日後のお話で、杏が数日の間東京に残ることになった時の話になります。

 


 地元の宮城から、(あん)が三月の麻衣のライブに来てくれた時に、絵美と学は帰ったが、その後、杏だけは、春休みを利用して、東京に数日残った。遥と六花(りっか)と一緒に、浅草花やしきに行く事になり、午前中に用事のあった遥は一度、浅生(あそう)家から杏と一緒に泊まった六花を預かる。麻衣も事務所に報告があったので部屋には誰もいなくなるからだ。そして、午後にまた来る、と言って遥は仕事に出掛けて言った。



「あ、お兄ちゃん」

「六花、お帰り。おじさんは?」

「仕事だって。後からまた来るって。あ、お姉さんは、川村杏さん。麻衣さんの姪っ子さん」



 今日は、理人(りひと)は、午後から出掛ける用事があるので、午前中は家にいた。車の音が聞こえたので、玄関に顔を出したようだ。しかし、遥は直ぐに戻って行ったので、会えなかった。



「おじさんに用事?」

「うん、でも、大したことじゃないから、後でで良いよ」

「そっか」



 理人は、六花に杏を紹介された。すらりと背の高い子で、長い黒髪を下ろしている。挨拶をしてくれた、笑顔の第一印象に理人は固まって、挨拶が一瞬遅れた。



「こんにちは! はじめまして、川村杏です。六花ちゃんのお兄さんだよね、宜しくお願いします」

「ああ、こんにちは、はじめまして。古川理人です。こちらこそ、宜しくお願いします」



 礼儀正しい子だった。そして、杏も同じように理人は礼儀正しい子だなと思った。二人を交互に見比べて、六花は兄のいつもと違った様子に驚いた。



「高校卒業したんだよね。おめでとう」

「ありがとうございます」

「気にしないで、タメ口でいいよー」

「いや、でも、先輩だよね」

「気にしなくて良いのに。理人くんって呼んでも良い?」

「うん、じゃあ、僕は杏さんで」



 流石に年上を呼び捨てにも『ちゃん付け』にもできないので、『さん付け』になった。くるくると表情が変わる。おばの麻衣とは似ていないように見えた。身長は六花よりも少しだけ高いが、麻衣のように高いわけではないようだった。



「お兄ちゃん?」

「ああ、なんでも無い。そう言えば、母さんがお菓子用意しているから取りに来てって言ってた。ケーキ焼いたって」

「わーい、お母さんのケーキ! 嬉しい、大好きなんだ」



 惚けていたことには気付かれていないようだった。黒髪なことや、挨拶もしっかり出来るので、真面目な子だと思ったが、口を開くと今時の女の子だった。そのギャップが可愛いと思った。理人はもう少し話をしたいと思ったが、流石に、六花と一緒に六花の部屋の居座るわけには行かない。何か、もう少し話す機会があれば、と思い咄嗟に声を掛けていた。



「いつまで、こっちにいるんですか」

「えっとね、明後日には、帰るよー」

「そうなんですね。じゃあ、また、来て下さい。六花もその方が嬉しいと思うので」

「うん、えへへ、古川家のお菓子が好きなので、お土産に買って帰るので、また来ます」

「待ってます」

「ありがとう」



 そう言って、杏はにっこりと笑ってくれた。不意打ちの笑顔に理人は、戸惑うが、六花がにまにまと理人を見上げているので、軽く咳払いして誤魔化した。



「じゃあ、僕は出掛ける準備してくる。ごゆっくり」

「うん、理人くんも頑張ってねー」



 午後からは、大学の授業があると気付いたのかもしれない。専門学校や高校と違って春休みの日程が違う。理人は大学が始まっていて、今日は午後からだ。手を振る、杏に理人は照れたように「ありがとうございます」と返した。


 そして理人は杏に一目惚れしたのだった。


 ここで、理人くんは杏に一目惚れしました。これは、もう一つ、そのうち、幸人くんと杏が会う話も書きたいろ思っているのですが、仙台と広島は遠くてどうしようか悩んでいます。

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