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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
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幕間・嘉隆とミュージカルの裏側(side主催者側)

 


 出演者は、監督の意向でオーディションで選ばれた子以外は、告知会当日まで伏せられていた。出演者さえも知らない。当日、顔合わせとその後の告知会が行われる予定だ。その情報は一部のスタッフしか知らされておらず、各事務所で知っているのは、社長とマネージャー、スタイリストのみだった。



 rip(リップ) tide(タイド)から側頼まれたのは、浅生(あそう)嘉隆(よしたか)と川村麻衣の共演を見合わせてほしいというものだった。しかし、どうしてもそれはだけは避けたく無い、と監督が頼み込んだ。今回のミュージカルには、どうしてもイメージに合う二人が必要だった。川村麻衣の役は序盤で命を落とすことになっているので、一緒に出る出番はそれほど無いと説明してようやく許可を得ることができた。


 なぜ、rip tide側が二人の共演を見合わせてほしいと言ってきたのか、それには心当たりがあった。最近、浅生義隆と川村麻衣の間の離婚疑惑が浮上しているからだ。このまま、二人が共演することで、仲良しをアピールしているのではないか、それは、マスコミを煽ることに繋がると思っているのかもしれない。


 そう言った事情もあって、告知会で一斉に出演者公表に踏み切った。どこのマスコミにも漏らしてはならない極秘情報としてそれは徹底された。そのために、出演者には、戸惑いと驚き、不安視を植え付けることになったが、それでも構わないようだ。



 * * *



 告知会では、麻衣と嘉隆、二人の離婚疑惑が話題にはのぼらなかったのは、それよりも嘉隆のミュージカル出演の発表があったからだ。今まで、役者を頑なに拒否し続けていた嘉隆がミュージカルに出演する。それも、普段とは違う衣装に身を包んでいる。綺麗よりな顔をしているので、メイクと長髪姿に誰もが驚いた。名乗らなければ、分からなかったほどだ。名乗らせない案もあったが、どこかでバレるのでその案は却下された。それを、見た監督はとても満足げだ。


 まず、第一段階の試みは成功と言って良いだろう。



 嘉隆の役は川村麻衣とは敵対関係にある役どころだ。夫婦での絡みは、戦闘シーンのみとなっているので、rip tide側への配慮も問題無いだろう。さらに言うと今回の川村麻衣の役は男性だ。一緒に並んだ、オーディション出身の的場(まとば)りらと一緒に並ぶと身長差もあって更に男性に見えた。


 嘉隆と違って、麻衣は、ミュージカルや舞台に何度か出演しているのもあり、そこまで大きな話題にはならなかったようだ。服装もそれほど、凝ったものでは無く、今回は獣人族側が目立っている。


 最後に、茂木(もぎ)幹也(みきや)が、麻衣に、先日一緒に出演した音楽番組の話題を振って、麻衣がその場にいることを認識して、その存在にマスコミが気付いた一幕もあった。嘉隆と二人並んでの出演では無かったのも大きい。そのために、夫婦揃っての出演も後から気付かれた。



* * *



 rip tide側から、頼まれたこともあったが、今回のミュージカル監督はそれを逆手に取ることにした。出演者にも知らせずに告知会当日に顔合わせをする。渡した台本も仮のものだ。内容は、実は後から新しいものを渡して、驚かせるつもりだ。仮に渡された台本は黒い背表紙に役柄と台詞しか書かれておらず、淡々と言葉が綴られているだけだ。それが、不穏視させて、疑心暗鬼に陥らせる。誰もが、不可解なミュージカルと称した。

 監督はその反応に満足げだった。しかし、裏切ることはしない。rip tide側から打診された嘉隆と麻衣の絡みに変更はない。


 逐一転々と変わるミュージカルの情報、錯綜するのもわざとだ。情報をかき混ぜて、本来の情報はその中に包み隠す。このミュージカルには、どんでん返しが待っている。


 今回のミュージカルの監督、成沢(なるさわ)シュウゴロウは、出演者を見回しながら笑みを浮かべた。これは、きっと大きな話題を生み出して、そして、必ず評判を呼ぶ。



 これから、ショーの始まりだ━━━━━。



 不穏な終わり方をしています。少し、日を置いて、種明かしをしていきたいと思います。

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