Thirteen episode
短いです。
誕生日というのは特別なことをしたくなる。
私もそうだ。今日という私の誕生日、わざわざ外出届を取って後宮を出る予定だ。
お供として護衛が付くのでひとまず部屋で待つ。すると早々にノックが聞こえるので急いで開ける。
しかしそこにはここ数週間毎日のように見ているアヴァン王子の姿があった。
私はそっと戸を閉め「人違いでした。」と告げた。
「いや、人違いも何も私が部屋に来たんだが…」
「いや、護衛の人かと思って…今日、町へ外出するので王子に構ってあげられません。申し訳ないです。」
「私がその護衛だと言ったら?」
「あ、チェンジでお願いします。」
ドアに力が込められ、無理やり開けられる。
「チェンジなどあるか!安心しろ、私は強い。かなり強い。公務のことも安心しろ今日はお前の外出届が出されたと同時に休暇届を出してきた。今日はお休みだ。」
何も心配などしていないというのに王子はフフンと鼻を鳴らす。
どうせ何を言おうがついてくるのだろうと思い、私はあきらめてアヴァン王子を護衛に町へ繰り出した。
王子の服はそれ相応の町人の恰好。
私も家で着ていたようなエプロンドレス姿で町へ出た。
これで誰も王子とその後宮の女だとは思わないはずだ。
町、と言っても下町に出たので大勢の人々でにぎわっていた。
大声を出す野菜売りや魚売り、出店も出ている。
「なんだ、今日は祭りなのか?」
「違いますよアヴァン。これが普通なのです。」
「アヴァン!?今、俺のことをアヴァンって!!」
今日が祭りではないという事実よりも先にそう興奮気味に言うアヴァンに「この人は本当に残念だ…」というような目でアヴァンを見るムム。
「貴方が下町にいるって知れたら大変ですよね?だから呼び捨てです。許してください。嫌ならアヴァンさんと呼びますが?」
「いい!いいぞ!!これから先も呼び捨てで呼んでくれ!!ほら、君と私は友人だしな!!」
「は、はぁ…。」
自身でムムとは友人ということを口に出し、アヴァンは自分のやるべきことを思い出した。
___そうだ…俺は…ムムに近づき、ムムの両親を説得するという任務がある…。忘れてはいけない。彼女と仲良くしているのはただの仕事のため、忘れてはいけない。
「…その口ぶりだと町へ来たことがあるのか?貴族なのにか?」
「私は元々庶民ですからね。アヴァンとは違います。」
呼び捨てにされるとなぜか胸がチクりと痛んだ。
「そういえばアヴァンはなぜ、私の護衛を買って出たのですか?特別面白いものでもないのに…。」
「え?ああ…そりゃ、おまえ…祝いたかったからな…。ムムの誕生日を…隣で。」
「…アヴァン様。」
無自覚にも顔を赤く染めているアヴァンを見てムムも頬を染める。
暫く無言で歩いているとムムはアクセサリーの露天商の前で立ち止まる。
「なんだ?アクセが欲しいのか?どれ、私が買ってやろう。」
「いえ、そのくらい自分で買えますし私、アクセサリーには興味がありません。私が見ていたのはあれです。」
指をさした先には”わたあめ”があった。




