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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第74話




ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。



本日は雪の月17日。

勉強合宿もとうとう5日目となりました。


実は、昨夜皆んなが寝静まった後転移(テレポート)にて屋根の上に移動し、待ち合わせをしていたウィリアムと2人で天体観測をいたしましたの。


雪は降っておらずお天気もよろしかったのですが、気温が低かったため、防寒やその他諸々の対策で結界(バリア)を展開し、屋根に座って空を見上げましたら……息をのむほど美しく瞬く満天の星空が広がっておりました。

2人でお菓子とお茶を頂きながらロマンティックな星空を眺めてたくさんお話しして……一生忘れることのない素敵な思い出を作ることができましたわ。

誘ってくださったウィリアムには心から感謝しております。



閑話休題。



本日も引き続き、ピーター、エヴァと一緒に新しいお店について話し合いをしております。


昨日は、お店の名前、テーマやコンセプト、メニュー、内装のイメージなどが決定しました。


先程、制服の話題に移りましたらーーーーー


「制服!?クロエ、どんなデザインにするの!?

もちろん、制作はラバンディン・(う)オートクチュール(ち)がさせていただくわ!」


ーーーーーと、ミアが勢いよく現れ、わたくし達が座っているソファセットに同席してきましたの……。

こうなりますと、いつもの優しいミアはどこへやら…まるで別人のように変わりますのよ……。


「ラバンディン・オートクチュールにご協力いただけるのであれば、ぜひマダム・ラバンディンにデザインをお願いした……「いいえ!!ママも私も!貴女のデザインを知りたいの!!ぜひ聞かせて頂戴!!」……。」


圧が……ミアの後ろに炎のエフェクトが見えているのはわたくしだけでしょうか……。


「クロエ、諦めてデザインを発表した方が良いんじゃないかな……。」

「わたくしもピーターと同意見ですわ。」


ミアの圧に押され、苦笑いのピーターとエヴァにもデザインの提案を促されてしまいましたわ……。

あぁー……今回こそはマダムのデザインを賜われると思ったのに……いいえ、わたくしの意見をお伝えするだけですわ。

きっとマダムからのご意見をいただけ……たことはございませんでした……。

二度あることは三度ある……ことにならないよう祈るばかりですわ……。


「これはあくまでわたくしの素人考えですので、皆んなのご意見もぜひ聞かせてくださいまし。」


「きゃー!待ってました!」


頬を紅潮させたミアが、身を乗り出しながら拍手をしています。

……ご期待に添えるかは分かりませんが、言うだけ言ってみましょう。


「……まず、ベースとなる制服は、お店のイメージカラーに合わせて、白いワンピースがよろしいかと考えました。

襟元はスタンドカラーフリルにして、前開きタイプに。ゴールドのシャンクボタンでアクセントを。

袖は五分丈のパフスリーブに。メレンゲのふんわりとしたイメージの表現と、作業中に袖口が邪魔にならないようにするためですわ。

スカートはAラインがよろしいかと。

丈はくるぶしより少し上辺りにして靴が見えるようにすれば、足元も見えますし歩きやすいかと思いますの。

そこにアクセントカラーである薄いラベンダー色で仕立てた膝丈のギャザーサロンエプロンを合わせて、白いワンピースとのコントラストを持たせつつ、スカートのふわりとしたシルエットを際立たせたいですわ。

出来れば紐の部分は幅を広く取って、後ろで結んだ時に大きなリボンがアクセントとなるようにすれば、後ろ姿も可愛いですわよね。」


「素敵……!!それでそれでっ!?

足元は何を合わせるのっ!?」


……ミアは自分のデザインノートに驚異的な速さでメモを取りながら、興奮を隠しきれないといった様子で続きを促してきました……。

スイッチが入った時のマダムに似てきましたわね……。


「クロエ、早く教えてあげた方が良いんじゃないかな。」


勢いに圧倒され、思わず遠い目をしかけていましたが、ピーターの一言で現実に引き戻されました。


「ありがとう、ピーター。

……足元は、白のアンクルブーツで、レースアップタイプがよろしいかと思いますの。

これでしたら普段から履き慣れていますし、少し厚みはありますが底はフラットで安定していますわ。

長時間立ちっぱなしになったとしても足が疲れにくいのではなくて?

靴下は薄いラベンダー色のメローソックス、襟元と揃えたフリルの部分がブーツの裾から覗けば、可愛らしいアクセントになると思いますわ。」


「きゃーーーーー!想像しただけで素敵だわ!!

髪飾りはどうするのっ!?

ここは王道でヘッドドレスかしらっ!?」


「それも間違いなく素敵ですわね。

ただ、わたくしは白いベレー帽の方が、よりメレンゲのふわふわとしたイメージに近いと思いましたの。」


「………べれーぼう?」

「べれーぼう?とは…?初めて耳にする言葉ですわ……。」


ピーターとエヴァが不思議そうに呟いた瞬間、ミアの瞳がギラリと光りました。

一瞬、ビームが出たのかと思いましたわ……。


「何それ何それ何それ何それっ!!?

またしてもクロエ発信の新しいおしゃれアイテムの予感っっっ!!!」


ミア……どうか落ち着いてくださいまし……。

貴女興奮しすぎて目がキマ…げふんげふん…イッ…げーっふんげっふん!

あら。昨夜の防寒対策が甘かったのかしら……。

今日は暖かくして寝なければいけませんわね。ほほほ。


「ミア、少し落ち着いてくださいまし。

ベレー帽は、このような形の帽子ですわ。」


そういえばこの世界でベレー帽は見たことがございませんでしたわ……。

わたくしとしたことが…うっかりしておりました。


気を取り直して(ついでにミアにも気を取りなおすように促しつつ)、説明をしながら手元の紙にベレー帽のイラストを描いていきます。


「このような形がスタンダードですの。

これでも可愛いとは思いますが、白1色ですとシンプルすぎますので、被り口に薄いラベンダー色で1センチ程の細いパイピングを入れ、同じ幅の同色のリボンを1つ、パイピングのラインに添わせてちょこんと付けますの。」


「ひゃあああああああああああああ!!!」


……ミアが興奮のあまりすごい悲鳴を上げています。

まだ説明は終わっていませんが…大丈夫かしら……。

多少心配ではございますが、あと少しですし、わたくしは説明を続けることにいたしました。


「被る時は少し斜めに被っていただいて…この左耳の上辺りに……お店のロゴマークをラインデザインで模したゴールドのバッチを付けるとポイントになるかと思いますわ。」


「最っっっ高!!!素敵すぎるわっっっ!!!

はぁ……素敵が溢れて昇天しそう……。」


ふらっ……トサッ……。


そう言い残し、ミアは掛けていたソファの背もたれに寄り掛かり、ぐったりとなさいました。

………お顔が笑っていますので、放っておきましょう。

直に復活なさいますわ。


……こういうところが、親子そっくりですのよね。

ちょっと微笑ましいですわ……マダムはこの何倍も圧がすごいため、もはや悪m……んっ!んんっ!

……失礼。なんでもございませんことよ。ほほほ。

さぁ、気を取り直して。


「今お伝えしたことをイラストにすると、このようなイメージですわ。

2人はどう思われます?」


わたくしは、先程お伝えした内容を踏まえて描いたイラストをピーターとエヴァへ差し出しながら、2人の意見を伺います。


「クロエ、素晴らしいよ。僕は大賛成だ。

この制服なら一目見ただけで、街の……いや、国中の女の子が憧れるんじゃないかな?

この制服を着たいがために、ダンデライオン商会(うち)の門戸を叩いてくれる子が増えそうだ。」


ピーターは快く賛成してくださいました。

その言葉に胸を撫で下ろしつつエヴァに視線を向けると……わたくしが差し出したイラストをジッとご覧になっています。

センスの良い彼女のことですから、きっと気になる点や他に良いご意見があるのでは?

わたくしはエヴァの率直なご意見を伺うべく、問いかけてみることにいたしました。


「エヴァはいかがかしら?

貴女の意見もぜひ聞かせてくださいまし。」


「……………わ…。」


「「ん?」」


エヴァが何かを仰いましたが聞き取れず、わたくしとピーターが首を傾げた次の瞬間ーーーーー


「わたくし……!このお店で働きたいですわ!!」


「「ええっ!!?」」


エヴァが突然勢いよく立ち上がったかと思いきや、大広間中に響く声量で驚きの発言をなさいました。

わたくしとピーターは図らずも同時に声を上げてしまいましたわ。


「エ…エヴァ、本当に良いのかい?

優秀な君が来てくれるならダンデライオン商会(うち)としては大いに助かるけれど……。」


あまりに突然の出来事に、ピーターは慌ててエヴァに確認をとっています。

しかしエヴァの決意は固いようで、真っ直ぐな目(と後ろに見える炎のエフェクト(圧))をもってピーターを見据えました。


「ピーター、当たり前ですわ!

心ときめく甘味のメニュー達に、夢のように素敵なお店の内装……そして何より!!こんなに可愛くて素晴らしい制服を身に纏って働けるなんて!!ここは天国ではなくて!?」


エヴァは興奮のあまりピーターにお店の魅力を語った後、間髪入れずに勢いよくわたくしの方へと向き直りました。

進路に悩んで元気を失っていたエヴァはどこへやら。

すさまじい熱量を持って、さらなる熱弁を振るってかました。


「クロエ、わたくし、心からやりたいことが見つかりましたわ!

このお店で働くことこそが、わたくしの幸せです!!

わたくしは、このお店で働くために生まれてきたと言っても過言ではございませんわ!!!」


ここにもいたーーーーーー!!

先程のミアとまったく同じ目をしているエヴァは、興奮のあまり一気に捲し立てました。

3日前のエヴァと別人すぎて、思わず前世のテレビで見た美容家さんのあのセリフが頭の中でよぎりましたわ……。



まぁ……これでエヴァのお悩みが解決しましたので、良かっ…た……の…ですわよね??


それにしましても…打ち明けていただいて3日も経たぬうちにそのお悩みが解決するとは……2時間で事件解決の(サスペンス)ドラマもビックリのスピード解決となりましたわね……。ほほほ。



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