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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第71話



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。 


本日は雪の月15日。

勉強合宿3日目、現在の時刻は午後1時30分。

……外は猛吹雪ですわ。


ここフローレン王国は四季があり、年間を通して比較的温暖な気候ではございますが、冬にあたる雪の月と氷の月は例外ですの。


気温は急降下し、摂氏温度で言えばマイナス10℃以下の日が圧倒的に多くなる印象です。

まぁ…こちらの世界に温度計はございませんので、あくまでも体感ではございますが。


以前、この時期はほとんどの国民が家の中で過ごし、めったに外出しない旨を申しましたが、多くの家には暖炉があるため、家の中にいれば快適に過ごせますの。

稀に、魔力が多い者は空間魔法を使って室温を適温にしたり、極端な例で言いますと、自分自身の周りに結界(バリア)を張り、外気温の影響を受けずに快適に過ごす方法もございます。

ちなみにですが、わたくしは常に家の敷地を囲うように結界(バリア)を張っておりますので、防犯に加えて気温も夏は涼しく冬は暖かく保っておりますわ。

外出の際は、自分の周りに結界(バリア)を張る方法をとっておりますので、どの季節でも快適に過ごすことができますの。

これもロディのおかげですわね。




そして、大広間(こちら)では、シャンデリアに空間魔法が付与されているようで、暖炉が無くとも隅々まで快適な室温が保たれています。


そんな中、お庭の方に視線を向ければ、ウィリアム、ベンジャミン、ルークが鍛錬に励んでいらっしゃいますわ……。


ウィリアムの結界(バリア)の中とはいえ、はたから見るととても寒そうにしか見えません……。


しかも、ベンジャミンとルークは相当扱かれているようで、肩で息をしているのが伺えます。

大丈夫なのかしら……。


とりあえず、温かいスープでも作っておきましょう。

軽食にもなりますから。


わたくしは勉強の手を止め、勉強道具一式を亜空間収納に収めた後、調理台へと移動しました。

昨年同様、今年も大広間の一角に調理台が設置されておりましたわ……。

まぁ…使いますのでよろしいのですが。


調理台の上に置かれたマジックバッグの中身をウィンドウ表示させると、食材のリストがずらりと並んでいます。

ふむ…材料は問題なさそうですわね。

せっかくですから、ちょっと贅沢に作ってみましょう。


今から作るのは、白菜とベーコンのクリームスープ…の贅沢バージョン、【ハクサイとレッドボアのクリームスープ】ですわ。

レッドボアのブロック肉の在庫がとんでもないことになっているため、少し使わせていただこうと思いますの。


準備を整え、調理開始です。

(もちろん、結界(バリア)も展開済みですわ。)


まず、具材の下拵えをしましょう。

レッドボアの塊肉は一口大に切り、塩コショウをしっかりめに振って揉み込み、下味をつけます。

ハクサイは十字の切り込みをずらして2回入れ、8等分に割いた後芯を取り、残りを2〜3センチ幅に切ります。

取った芯も入れるため、削ぎ切りにしておきましょう。

おひとり1人分では納得いただけないと思いますので、念のためおひとりあたり2人分でご用意しておりますが、これだけでも結構な量ですわね……。


かといってここでやめるわけにはまいりませんので、次の工程に進みましょう。


寸胴鍋にバターを入れ、弱めの中火で熱し、下拵えをしたレッドボアを入れ、お肉から脂を引き出すように、全体に焼き色が付くまで炒めます。

バターだとこってり感じる場合はオリーブオイルを使用してもよろしいと思いますわ。

わたくしはバターの風味やコクを少しプラスしたいので、分量より少なめのバターで作りますが。


ちなみにですが、今回も1つで30人分作れる寸胴鍋2つを使用して調理しておりますわ。ご参考までに。


お肉に焼き色が付きましたらハクサイを加え、さっと炒め合わせ、水とコンソメを加えます。

蓋をしたら一度強火にし、沸騰させます。

量が多いので沸騰するまでに少なくとも10分はかかりそうですわね。


まぁ、今日は急ぐ必要はございませんので、魔法は使用せずそのまま煮込みましょう。


……失礼いたしました。

さすがに2つの鍋を同時に混ぜておりますので、腕がつらくならないよう、身体強化魔法は最初から使用しておりますわ。

ごめんあそばせ。


しばらく待つと沸騰してきましたので、火力を弱めの中火まで落とし、そのまま5分程煮込みます。


蓋を開け、お肉をひとつ小皿に取って火の通りを確認しましょう。

……うん、良さそうですわね。


火力を一旦弱火に落とし、牛乳を加えます。

火加減を弱火に落とすのは、作る量が多いため牛乳を入れる量も多く、時間がかかるからですの。

火加減そのままに牛乳を入れれば、最初に入れた牛乳に火が通りすぎてしまい、分離してしまうリスクが高くなってしまいますわ。

それを避けるために一旦弱火にいたしますの。


牛乳を入れたら火力を再び弱めの中火にし、焦げつかないよう大きな木べらで鍋の底をこするようによく混ぜながら温めます。



どちらの鍋も縁がチリチリと泡立ってきました。

ここで火を止め、味見をします。

……どちらも塩加減もちょうど良く、美味しくできましたわ。

味の調整は不要でしょう。


結界(バリア)の外を見ますと、皆んなそれぞれ勉強に取り組んでいらっしゃいますわ。

お庭にいた3人も、鍛錬が終了したようで大広間へ戻ってきました。

………ベンジャミンとルークの息が絶え絶えなのが気になりますが。


全員揃いましたし、軽食とおやつの時間といたしましょう。


わたくしは結界(バリア)を解除し、皆んなに声をかけました。


「皆んな、温かいスープが出来ましたわ。

休憩になさいませんこと?」


「「「「「「「頂きます!!」」」」」」」


安定の即答ですわね……。ほほほ。

しかも全員調理台の前に整列していらっしゃいます……。


ベンジャミンもルークも、先程までの疲れ切った様子から一変し、元気にお返事し、列に並んでいますので、大丈夫そうですわね。


わたくしはネットショップで購入したスープカップを30人分亜空間収納から取り出し、出来上がったスープをよそい、一緒に購入した木のトレーの上に木のスプーンと一緒に置きました。

空いたスペースには白パンを1つ置いて完成ですわ。

皆んなに手渡しし終えた後、わたくしも近くの椅子に掛けたのを確認したベロニカの号令で、皆んな食べ始めましたわ。




スープの味は好評で、想定通り皆んなおかわりをしてくれました。


2杯目のスープを召し上がっている皆んなに、わたくしはおやつの提案をします。


「皆んな、おやつも用意しておりますが…「「「「「「「頂きます!」」」」」」」……。」


もはや勝手にお出ししても良い気がしてまいりましたわ……。


「本日のおやつは【カスタードプリン】と【ホワイトプリン】ですわ。」


わたくしは瓶に入れたそれぞれのプリンを1個ずつ皆んなに配りながら説明します。


「カスタードプリンは以前お持ちしたことがありますので皆んなご存知かと思いますわ。

今回は、その対となるホワイトプリンも一緒に作ってみましたの。

皆んなのお口に合うと嬉しいですわ。」


「「「「「「「頂きます!!」」」」」」」



パクッ…


「んー!やっぱりカスタード美味しい!」

「このホワイトプリンも美味しいよ!」

「どっちもなめらかな食感なんだ…すごいな…」

「ホワイトの方がすっきりしていて美味いな。」

「いやいや!カスタードだって濃厚で美味いよ!」

「そうですわ!濃厚で贅沢な味わいが良いんですのよ!」

「いやいや、ヘルシーなホワイトの方が………」


………何だか雲行きが怪しくなってまいりましたわね。


「「「「「カスタードの方が美味い!!」」」」」

「「「「「ホワイトの方が美味しい!!」」」」」

「「「「「ぐぬぬぬぬぬ…!!!」」」」」



何ということでしょう。

新たな火種が生まれてしまいましたわ……。



……わたくし、知ーらないっと。




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