第66話
ごきげんよう。
クロエ・カサブランカでございます。
本日は土の月18日。
Cクラスのミーティングの日でございます。
本日は創立祭の打ち上げパーティーのため、会場であるダンデライオン邸の大広間には昨年同様、各々が持ち寄った食べ物や、ダンデライオン商会がご提供してくださったカレー、クレープ、パンケーキのブースも所狭しと並んでいて、美味しそうな香りで満たされています。
良い香りに食欲をそそられますわ。
わたくしはもちろんモモのパフェをお持ちしました。
………えぇ、そうでなければ命の危機でしたもの。
わたくし、自分の命を守るために頑張りましたわ……!
創立祭の最終日。
あのご迷惑な御一行様が退店なさった後、束の間の平穏を経て怒涛のご来店ラッシュを迎えました。
前半組の皆んなも昼食を挟んだ後、もう少しだからと最後まで一緒にお店に出てくださったため、急遽テーブル席を増設し、クラス全員で団結して最後のお客様まで対応することができましたわ。
閉店後は、ケイト先生、ペチュニア先生、マグオート先生がパンケーキを召し上がっているのを横目に、わたくし達は飲み物だけで簡単に打ち上げをし、解散となりました。
パンケーキ屋は翌6日にダンデライオン商会により正式に開店予定でしたので、わたくしはお店を丸ごと亜空間収納に収め、ピーターと一緒にダンデライオン商会の馬車にてパンケーキ屋建設予定地へ向かい、そちらで会頭や商会の皆様と合流し、お店の設置までお手伝いをいたしました。
もう公爵邸に行く必要性を感じないため、その後は転移で自宅に帰りましたわ。
それから2週間、今はベロニカと一緒に通学しております。
実は打ち上げの際、ベロニカに通学の際どうするのかを聞かれまして…
直接学園に転移すると答えましたら、それならラナンキュラス家を経由して一緒に通学しないかと提案されましたの。
確かにベロニカとご一緒に馬車で通学すれば自然ですし、変な噂が立つ危険性がありません。
それに、奇跡的にベロニカとは受講時間が全て同じですので、お互いに時間を合わせる等、気を違う必要もございませんわ。
実質あと4ヶ月程で卒業ですし、お言葉に甘えることにいたしました。
そうそう。
先週の安息日、王妃様に呼ばれたため王城へ参りましたら、嬉しいお言葉を頂戴いたしました。
バカ王子は廃太子とし、新たに第二王子殿下を立太子なさることが正式に決定したそうです。
学園から王城に戻られた後、王妃様が設けた王家の話し合いの席にて、バカ王子は激昂し、早々に退席したようで……。
王太子教育を受けていたはずなのに、まるで幼子のような態度をとったバカ王子に王妃様はひどく失望し、陛下に強く進言なさったのだとか。
その後、宰相を始めとした国王夫妻の周りを固める優秀な『人財』と呼べる方々お一人お一人に国王夫妻が意見を求めたところ、皆様口を揃えて第二王子殿下の立太子を勧められたため、陛下もようやっと重い腰を上げ、ご決断に至ったようです。
正式な発表はもう少し先になりそうですが、決定事項のため覆ることはないとのことでした。
バカ王子を担当なさっていた王太子教育の家庭教師はバカ王子の担当から外れ、新たに第二王子殿下の教育担当となられたため、第二王子殿下は王子教育から王太子教育へと教育内容が変わったそうですわ。
それでも、第二王子殿下…いいえ、王太子殿下は毎日積極的に勉強に取り組み、努力を重ねていらっしゃるのだとか。
それに伴い、わたくしとバカ王子の婚約も王家側の過失にて解消の運びとなりました!
こちらも、発表は王太子のものと合わせて行うため、もう少し先になるそうですが、正式に決定したことが嬉しくて仕方ありませんわ!
やっと……やっとですわ……!
あの顔合わせからおよそ12年…
やっと…わたくしの願いが叶いますのね……!
そして王妃様より、自分達の勝手で婚約を結び、辛い思いをさせて申し訳なかったと謝罪されました。
これからは、王太子となられる第二王子殿下の婚約者であるバルバロッサ公爵家のアメリア様が王太子妃教育を受けることになります。
アメリア様も王太子殿下同様、謙虚で努力家と評判のご令嬢のため、心配は無用でしょう。
何より、お二人はお互いを思い合っていらっしゃいますから、苦難があったとしても力を合わせて乗り越えていけると信じておりますわ。
閑話休題。
「それでは皆んな、グラスを持ちまして?」
気づけばベロニカが声かけをなさっていました。
皆んなが飲み物のグラスを持ったことを確認したベロニカは、そのままお話を続けます。
「それでは、今年も創立祭お疲れ様でした!
今年のパンケーキ屋は、昨年のクレープ屋台以上の学園創立以来過去最高売上額を更新したそうです!
パンケーキを提案してくださったクロエを始め、店舗の建設や材料、設備を提供してくださったピーターとダンデライオン商会の皆様、衣装の製作にご協力いただいたミアとラバンディン・オートクチュールの皆様、そして何より、準備も当日も頑張ってくださった皆んなに、心から感謝いたします。
皆んな、お忙しい中協力してくださって、本当にありがとう。
今日はたくさん美味しい物を頂いて、楽しい時間を過ごしましょう!乾杯!」
「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」
パチパチパチパチ
ベロニカの乾杯の挨拶を受けて、皆んなの温かい拍手でパーティーは始まりました。
各々パーティーを楽しんでいる中、わたくしはウィリアムと一緒のソファに腰掛け、ウィリアムがとってきてくださったお食事やデザートを頂きながら楽しくお話しをしておりました。
すると、ベロニカとピーターがこちらへいらして、テーブルを挟んで向かい側のソファにかけられました。
お2人がパフェの感想を仰った後、ベロニカが徐に話を切り出しました。
「クロエ。
改めて、殿下との婚約解消おめでとう。
貴女の願いが叶ってわたくしも嬉しいわ。」
「えっ!本当かい!?
クロエ、おめでとう!」
「2人ともありがとう。
公爵家からも解放されましたし、王家からも解放され、これで柵は無くなりましたわ。
2人のおかげよ。
心から感謝しておりますわ。」
わたくしが心からの感謝をお伝えすると、2人とも嬉しそうに微笑んでくださいましたわ。
「これで一件落着…ってところかな?」
「えぇ、一応は。」
「一応…というのはどういうことですの?」
ピーターの言葉を受け、わたくしが申し上げた言葉に、ベロニカが疑問を呈しました。
「わたくしの婚約解消につきましては確実なものとなりましたが、正式な発表は来年の社交会シーズンの到来に合わせて発表なさる予定だとか。」
「婚約の解消だけならば、早いうちに発表なさった方がよろしいのではなくて?」
「婚約の解消だけならばそうですが、王太子の件と合わせて発表されるとのことですので…」
「「…まさか!」」
察しの良いお2人で助かりますわ。
「えぇ、お察しの通り、第二王子殿下の立太子が正式に決定いたしましたわ。」
わたくしが頷くと、2人は安堵の表情へと変わりました。
ベロニカには王妃様とお会いした翌日、登校時に馬車の中でわたくしの婚約解消が正式に決定したことのみを報告しておりましたの。
(ちなみにウィリアムにはすべてお話しいたしましたわ。)
本当は国家機密に値することですので王太子の件は安易に言うべきではありませんが、ベロニカとピーターは察しがよろしいので、下手に隠してもどのみちバレそうですもの。
それに、わたくしからお伝えすれば誓約魔法により他言はできません。
ここでお伝えしても問題ありませんわ。
「それにしましても…第一王子殿下はお気の毒ですわね……。流石に落ち込んでいらっしゃるのではなくて?」
ベロニカが悪いお顔で仰いました。
美人のベロニカがそのような表情をなさると、とても妖艶ですわ。
「残念ながら彼の方はご存知ありませんわ。
ご家族での話し合いの席にて激昂し、真っ先にお部屋から出ていかれたそうですの。
そういう意味ではお気の毒……ですわね?」
「まぁ!驚きましたわ!
優秀な殿下がまさかそのような……まるで幼子のような態度をとられるなんて……!」
「えぇ、その通りですわ。
まったく……王太子教育を受けられた10年以上の月日は一体なんだったのでしょう?」
「「おほほほほほほほ。」」
「2人とも、ご令嬢モードが怖すぎるよ……」
ベロニカとふざけ合っていたら、なぜかピーターが苦笑いで仰いましたわ。
「冗談はさておき。
王子殿下はご自分の婚約が解消されたことも、ご自分のお立場が危ういものになってしまったこともご存知ありません。
学園の卒業まであと少しと迫ってまいりましたが、当の本人は卒業すればそのまま王太子としての公務が始まると思っていらっしゃるようですわ。
……公務どころか、王太子教育すら修めることができていませんのに、困った方ですわね?」
「えっ!そうなのかい!?」
「まぁ……呆れましたわ。」
わたくしの暴露にピーターは驚き、ベロニカは呆れています。
ウィリアムは周知の事実だからか、終始興味がなさそうにお食事を召し上がっていました。
今はデザートのモモのパフェを笑顔で召し上がっていますわ。
「これからあの方々がどうなさるのか、見ものですわね?」
こんばんは。めいです。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
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作者が涙を流して拝みます。(土下座)
さて。
ここで1つお知らせをいたします。
活動報告にて、本編でカットしたお話をIFストーリーの番外編として1つ上げてみました。
本編とは全く関係ないお話ですが、もしよろしければ覗いてみてくださいませ。
これからもぽちぽち頑張りますので、どうか温かく見守ってくださると嬉しいです。




