表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/31

第5話



おはようございます。

クロエ・カサブランカです。


今日はわたくしの6歳の誕生日です。


あれからもう1年経つんですね〜。

月日が経つのは早いわぁ。


この1年間、公爵令嬢として恥ずかしくない教養を身につけるために、授業の日々を過ごしていました。

異世界の知識を身につけるのはとても楽しく、充実した日々を送っています。

ちなみに、マナーの先生に一人称は私ではなく、わたくしが望ましいと言われました。

別にどっちでm…げふんげふん…それからは一人称をわたくしと言っています。

心の声も当分はわたくしとしておかないとボロが出そうなので、改めておりますの。ほほほ。


今はまだ基本的な読み書き、マナー、魔法などを学んでいますが、そこで分かったことは、この世界の数学は思ったよりかなり簡単なもの(というか日本で言うと小学生レベルくらい?)で、四則演算は王立学園で習うレベル、図形などの面積を求めるものに至っては大学レベルだそうです…


暦は地球と少し変わって、1年が360日、1ヶ月が30日で12ヶ月、1日が24時間で、1時間が60分、1分が60秒だそうです。

時間に関しては地球と同じですね。


ちなみに週6日、5週で1ヶ月です。

週の初めから、導入日、黎明日、成長日、成熟日、休前日、安息日といいます。

安息日がお休みの日なので、日曜日といったところでしょうか?


あ、そうそう、月の呼び方も違いました。

1月→氷の月

2月→光の月

3月→陽の月

4月→花の月

5月→緑の月

6月→水の月

7月→星の月

8月→炎の月

9月→宵の月

10月→土の月

11月→風の月

12月→雪の月

と、こんな感じです。


雪の月と氷の月が冬、光の月でだんだん暖かくなってきて陽の月から緑の月が春、水の月で多く雨が降って、星の月で雨が落ち着き、だんだん暑くなってきます。炎の月が名前の通り暑い夏で、宵の月で暑さが落ち着き、秋に入っていきます。土の月は恵みの季節で、たくさんの作物が収穫の時期に入ります。風の月になると涼しい風から冷たい風に変わっていって、また冬を迎えるのです。


季節は日本と同じで四季がありますが期間が微妙に違い、季節の移行期間が長めだと個人的には感じました。


閑話休題。



今日はこれから王宮に向かい、件の王太子との初顔合わせです。

むしろこの世界の両親とも実質初顔合わせなんですけどねー。


服装は、淡い水色のふわっとしたシフォン素材の可愛らしいデザインに、淡い黄色のリボンでアクセントをつけたワンピースと、小ぶりのイヤリングとネックレスを身につけています。

靴は子供なのでヒールが低いストラップパンプスです。

靴下は足首丈で履き口にフリルを付けてもらいました。


ちなみに、今身につけているものは全て自分で準備したものです。

毎月お小遣いだけはたんまり寄越されるので、公爵令嬢の権限を使って自分で業者を手配し、半年前からデザインの打ち合わせ、採寸、仮縫い、注文をしておりまして、2週間前に出来上がってきた物を試着、最終確認をし、納品してもらいました。


イヤリングとネックレスには、銀色のチェーンにそれぞれ小ぶりのシトリンがあしらわれていて、子供が身につけても違和感がない、可愛らしくもあり、でも貴族令嬢が身につけても恥ずかしくない上品にも見える素敵なデザインです。


髪型はサイドを編み込んだハーフアップです。

アクアマリン色のリボンで可愛らしくまとめております。


準備が整ったので、玄関ホールに向かうと、父と母が既にいました。


「クロエ。私の可愛い姫。とても愛らしいよ。」

「クロエ。とても似合っているわ。素敵よ。」


この、顔に笑顔を貼り付けて上っ面の褒め言葉を吐いているのが今世の両親です。

銀髪紫眼の父、リチャードは外務大臣を務めていて、普段は家にいません。

ちなみにわたくしは実質初対面です。

黒髪青眼の母エレーナは国内貴族との社交やお茶会に大忙し。大体家にいません。

ちなみにわたくしは実質初対面です。


今日はクロエの誕生日なんだから、お祝いの一言くらいかけてあげたら良いのに。

まぁ、言わないけど。


「ありがとうございます。お父様、お母様。

お待たせいたしまして、申し訳ございません。」


わたくしも両親に倣って顔に笑顔を貼り付けて御礼の言葉とお待たせしてしまったことの謝罪の言葉を述べます。


「では、行こうか。」


そう言って、馬車寄せに横付けされた公爵家の紋章入りの馬車に乗り込む両親。

わたくしもそれに続きます。



(あー…早くも顔が筋肉痛になりそう…)


王宮に向かう馬車の中、顔に笑顔を貼り付けたままその場をやり過ごしているわたくしは、それだけを思って車窓から外を眺めておりました。



退屈な馬車に揺られる事およそ10分。

王宮に到着しました。

カサブランカ公爵家は比較的王宮に近いのですよ。

なんせ公爵家ですしね。

ちなみに領地もございますが、こちらは叔父が代官を務めており、叔父一家が領主館で暮らしています。



馬車を降りると、国王陛下の侍従が待機しており、応接室にドナド…げふんげふん…案内されました。


応接室の扉の両側にそれぞれ護衛の方が立っていて、侍従さんが目配せで合図を送ります。

護衛の1人が頷き、室内に向かってわたくし達の到着を告げます。


「カサブランカ公爵、並びにカサブランカ公爵夫人、カサブランカ公爵令嬢、ご到着されました。」


「入れ。」


ガチャッ


「失礼いたします。」


護衛の呼びかけに国王陛下が入室の許可を出し、開けられた扉からお父様、お母様、わたくしの順で入室します。


応接室といえどさすがは一国の王宮。

庶民には到底想像できないような豪華さで、広い部屋の中はベル◯イユ宮殿もかくやの豪奢な応接セットに壁にはご立派な額縁に入っている王族の皆様の肖像画、壁紙も豪華なものだしシャンデリアもスワロ◯スキーかって思うくらいの見事なものが吊り下がっています。

壁際には何人もの侍従や侍女、護衛が控えており、一角には一人用の簡易的なテーブルと椅子。

お毒見役まで控えているんですねー。

ワゴンの上にはティーセットが人数分きちんと整列しております。

そして上座には国王陛下、王妃殿下、王太子殿下が既にいらっしゃいました。

国王陛下と王太子殿下は王家伝統の色彩、見事な金髪に碧眼の持ち主、王妃殿下は少し色素が薄めの金髪に紫眼の持ち主です。


「国の太陽にご挨拶申し上げます。

カサブランカ公爵リチャード、カサブランカ公爵が妻エレーナ、カサブランカ公爵が娘クロエ、御前に参上いたしました。」


「よい。リチャード。私とお前の仲だろう。

今日は身内の集まりなのだからそう堅い挨拶はよせ。」


「あぁ、わかったよ。フレデリック。」


「エレーナ、久しぶりね。」


「ロゼッタ、お久しぶりです。」


父がお決まりの口上での挨拶をすると国王陛下がそれを制しました。

どうやら父と陛下。母と王妃様は名前で呼び合う程の仲みたいですね。

年も一緒ですし、もしかしたら学園の同級てしょうか?

知らんけど。


「クロエ。ご挨拶なさい。」


おっと。

邪推していたら母から挨拶を促されました。


「国の太陽であられる国王陛下、並びに王妃殿下、王太子殿下にご挨拶申し上げます。

お初にお目にかかります。

カサブランカ公爵が長女、クロエ・カサブランカと申します。

以後、お見知り置きを。」


マナーの先生から習ったお決まりの口上とカーテシーでご挨拶してーーーーー


「お前、気に食わないな。」


いたら、王太子にガン飛ばされました。


「レオン!そんな事を言うんじゃありません!」


慌てて王妃殿下が窘められますが、当の本人は改める気ゼロのようで、ふんぞり返ったままです。


「気に食わない…とは具体的にどのような所が、でございましょうか?」


とりあえず理由を聞いてみます。


「知らねーよ!バーカ!!

ブスでバカは誰だって嫌いだろ!?

俺の色のドレスとアクセサリーをつけてきやがって!

計算づくなのが見え見えで可愛げがねーんだよ!」


「レオンっ!なんて事を!!」


「まぁ…クスクス」


おっと、失笑してしまいました。


「何がおかしいんだよ。」


そして再度ガン飛ばされました。


「失礼いたしました。

ですが、この色のどこが王太子殿下の御色なのでしょう?

リボンやワンピースの青は碧ではなく、どちらかと言うと海を思わせる水色に見えませんか?」


「うるさい!青は青だろ!

お前にそんな事を言われる筋合いはねーよ!」


尚も食ってかかってきますので、訂正だけしておきましょう。


「本日のコーディネートはわたくしの瞳の色で合わせたものでございます。

王太子殿下におかれましては、少々…自意識…が…過剰でいらっしゃいますのね…?」


とっても失礼な物言いをしましたが、この色を貶されるのだけは許せません。

わたくしはわざとらしく困ったように微笑み、右頬に手を添えながら言葉だけはこのバカ王太子にも伝わるようにストレートに言いました。


「〜〜〜〜〜!!!

もういい!!!」


「レオンっ!!!」


そう言って、王妃様の制止も聞かず、王太子は部屋から出て行きました。

あれ、今やっと自分の勘違いに気づいたんだなー。あいつバカだなー。おっと失礼。


「あんの…クソガキ…!!」


へぇ…父が怒っている所、初めて見ました。

あ、今日が初対面てすから当たり前ですね。


「すまない。クロエ嬢。息子にはよく言い聞かせておくから、どうか許してやってくれ。」


王妃様は頭を抱えているからか、国王陛下が苦笑いで謝ってきました。

一応、頭は下げてますが、子供相手だからと思われているのか、あまり本気度は伝わってきません。



……………うーん


これ、一生このパターンなのでは?


レオンハルトは一生クロエが気に食わない。

だからクロエに暴言を吐く。

国王陛下や王妃殿下、周りの人間は甘やかすばかりで本気で怒ったりせず、クロエに形だけの謝罪をする。

(ちなみに先程王妃殿下が慌てて窘めていたのは、婚約の初顔合わせのこのタイミングで王太子殿下の失態をそのまま容認すれば、母としての立場もなく、最悪この婚約が無かったことになれば、次を探すにもこの態度では決まるものも決まらなくなり困るため、何としてもここで婚約を確たるものにしたいと焦っただけだと推察する)

そして王太子は何も反省せず、同じ事を繰り返す。

結果、クロエは一生我慢し続けることになる。

今は暴言だけだけど、後々様々な嫌がらせにも発展しかねない。

その時、クロエの味方になってくれるような人は存在するのか。

例え命を狙われたとしても、今みたいに息子にはよく言い聞かせておくから許してやってくれって言われるだけで済まされるなんて…たまったものではない。


この年で立太子しているからてっきり原作と違って優秀なのかと思いきやそうではなさそう。

むしろ原作のレオンハルトは俺様な性格の王子様キャラだったと思うけど…

あれって…俺様?

傲慢に見えたけど?

それにきちんと勉強していればこの場での振る舞いの大切さだって認識しているはずだよね?

勉強嫌いで怠惰な性格もありそうだな。


というか、あれはダメだ。

絶対にクロエを大切にしない。

どころか原作通り裏切る予感しかない。



よし。決めた。



「国王陛下、どうか頭をお上げください。」


「しかし…」


「そうですわね…もし本当に申し訳ないと思ってくださっているのなら、こちらの書類にサインと、魔力を少し流していただけますか?」


わたくしは一枚の紙を取り出します。

もしものことを考えて、婚約解消の魔法契約書を用意しておきました。

魔法契約書にしたのは、一度サインをすれば約束を反故にできないからです。

魔力を少し流すのは魔力証明といい、日本で言う捺印のようなものです。

サインと合わせれば契約内容の約束がさらに強固なものになります。


ちなみに今日のわたくしのワンピース。

左ポケットの中は亜空間と繋げてあります。


公爵家の屋敷に置いておけば誰かに盗まれる可能性も考えられましたので、誰にも見つからない、自分だけの無限収納を作っちゃいました。

今日はワンピースのポケットにしましたが、自分が念じた所に入り口を繋げたり消したり出来ますので、常にココってわけではないのですが。


「なっ…!魔法契約書!?

しかも婚約解消についてだと!?」


「はい。左様でございます。」


「クロエ。待ちなさい。

いくら何でも時期尚早ではないのかな?」


「いいえお父様。これは『保険』でございます。」


驚く国王陛下に対し頷くわたくしに、父が待ったをかけてきます。

ですので、理由をお伝えします。


「保険?」


「えぇ、いざという時に備えるための保険、この書類はそのためのお守りでございます。」


「なぜ、そのお守りの中にクロエ嬢が公爵家から除籍される旨が記載されておるのだ?」


国王陛下が内容を確認しながら疑問点を挙げます。


「王家と公爵家が結んだ契約を反故にするのです。

公爵家に貢献できない人間は除籍されるのが妥当かと存じます。」


「待ちなさい。それなら尚更同意しかねる。

お前は私達の娘だ。婚約は解消したとしても、公爵家からの除籍は認められない。」


父がなおも言い募ってきますが…

今日初めてお会いしましたよね?


「なぜでしょう?

公爵家はお兄様お二人がいらっしゃるので既に安泰です。

わたくし1人いなくなったところで何も不具合など生じませんわ。」


「「「「………………………」」」」


国王陛下と父からの問いに笑顔で答えて、心からの言葉をお伝えしたら、皆様黙ってしまわれました。

ここは都合よく、賛同頂けたということで勢いでサインしてもらっちゃいましょう。


「ご賛同いただき、とても嬉しく思います。

それでは、こちらにサインと、魔力をお願いいたします。」


呆然としている国王陛下と父に無理矢理サインと魔力を流してもらい、目的を果たせました。

これで、いつでもこの国から出る大義名分を得ることができました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ