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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第4話

ここからは主人公視点でお送りします。



おはようございます。

松岡杏改め、クロエ・カサブランカです。

今日、5歳の誕生日を迎えました。


あの後、ロディこと女神アフロディーテから転生後の希望を聞かれまくって、記憶の引継ぎもしてもらって、私は今クロエ・カサブランカとして生きてます。


見た目は緩やかなウェーブがかった銀色のロングヘアに陶器のような滑らかなお肌、整った鼻筋に形の良い唇は何も付けていないのにプルプルとしていて艶やか。

目はぱっちりと大きく二重で、銀色の長いまつ毛が縁取っています。右目はシトリンを思わせる瞳で、左目がアクアマリンを思わせる瞳の、将来有望すぎる美少女になりました。

原作のクロエは黒髪青眼の猫目美女だったので、だいぶ仕様が変わりましたが、ロディが自分と同じ色にしたいと譲らなかったのでこの色になりました。

私は猫目ではなくどちらかと言うとたれ目に近いです。

これもロディの希望。前世の私もたれ目に近い目だったからだそうです。



原作では誰からも愛情を受けることなく育ったクロエ。

両親同士の約束で、生まれる前から王太子レオンハルトと婚約を結ぶこととなり、6歳の誕生日の初顔合わせにて王子様然とした見た目のレオンハルトに一目惚れします。

しかし、家族をはじめ誰からも愛情をもらったことがないクロエは愛情表現が極端で、レオンハルトには自分が会いたいからと必要以上に押しかけ…げふんげふん…会いに行き、レオンハルトとちょっとでも話す女性には威嚇したり暴言を吐いたりという…なかなか激しいタイプの女の子です。

しかし、王太子妃教育はやる気を持って一生懸命取り組み、学園入学前には王妃から太鼓判を貰い、教育はほとんど終了します。学園入学後には王太子妃の公務のみでならず、レオンハルトの書類仕事まで引き受けてしまい、レオンハルトに良いように使われているだけなのに、頼られていると勘違いしてしまう始末。

挙げ句の果てには、自分が王太子の書類仕事に忙殺されている間にレオンハルトとヒロインが真実の愛に目覚め、ヒロインを排除しようと様々ないじめを行い、最終的には階段からヒロインを突き落とし、学園の卒業パーティーで断罪、国外追放されます。

もちろん邪魔者クロエが退場した後、ヒロインとレオンハルトはめでたく結ばれてハッピーエンド。


国外追放を言い渡されたクロエは公爵家に戻り、家族に事の顛末を報告しますが、その際に勘当を言い渡され絶望。隣国アクアシャイン皇国に向かう道中の崖から飛び降り自殺をしてしまう…


正直、最初にレオンハルトのハッピーエンドルートをプレイした時は、クロエが可哀想で涙が止まりませんでした。

確かに、家庭環境も相まって愛情表現は下手でしたが、一途にレオンハルトを想い、一生懸命彼の役に立とうと努力していたのに、当の本人からは都合よく扱われ、邪魔になったからと国外追放されてしまい捨てられてしまうなんて…信じていた未来が消えてしまっただけでなく、周りの人達は誰も助けてはくれないばかりか味方にもなってくれず、自分だけがいなければ皆んな幸せになるという現実を認識してしまったことは、大好きな人と結婚して、王太子妃になると信じて疑わなかったクロエにとって、そして、追放されて平民として暮らさなければならないことは、貴族の暮らししか経験したことのないクロエにとって、絶望を感じるには十分だったのかもしれません。


もう少し視野を広げ周りを見ていれば。

もう少し色んな人と会話して見聞を広めていれば。

誰か一人でもクロエに手を差し伸べる人がいれば…

クロエは幸せになれたんじゃないか。

クロエが追放されることなんて無かったんじゃないか…

追放されてしまっても絶望を感じることなんて無かったんじゃないか…


色んな考えが浮かんでは消えて、未だに考えがまとまりません。


閑話休題。




実際経験してみて、やはり生まれた時からクロエの扱いはなかなか酷いものでした。


クロエ・カサブランカはカサブランカ家の第三子、長女として生を受けました。

しかし、兄二人とは微妙に年が離れており、尚且つ公爵家の者としての教養を幼少の頃から身につけるべく、兄二人は毎日みっちり家庭教師による授業が入っています。

さらに、外務大臣を務める父親と、国内貴族との社交やお茶会などで忙しい母親は共にほとんど家を空けており、生まれてこの方乳母と使用人しか見たことがありません。

あ、産まれた時だけ両親を見ました。

産まれたてでしたので、ぼんやりとですが。

それと、飾ってある肖像画でも顔を見たことはありましたね。


さらに、王太子レオンハルト・フローレンとの婚約は、生まれる前から国王陛下とうちの父親…もとい公爵閣下が決めていたため、事前に回避するという選択肢はありませんでした。


そして今年も例年同様、私クロエの誕生日はカサブランカ家にとっては平日のようです。

長兄と次兄の誕生日は屋敷をあげてのお祝いとなり、忙しい両親もこの日は休みを取り、文字通り盛大にお祝いしているんですけどねー。


けれどその輪の中に私はいません。空気か。


普通、家族や使用人…誰かしらが呼びに来るとは思うのですが、使用人も家族も、誰も呼びに来たことはありません。

自分で行くべきなのかと部屋を出ようとしても、やんわりと止められます。


これじゃあ、ゲーム通りのクロエ・カサブランカが出来あがっちゃうよねー。


え?だったらそこから変えて貰えば良かったんじゃないかと?

それも思ったんですが…私がロディにクロエの境遇自体は原作通りでとお願いしたんです。

実際にクロエがどんな扱いを受けてきたのかを経験してみないことには、他人事でしかないから何とも言えないよなーと思いまして。

それと、後々この国を出るにしても都合が良いかなーという期待もあります。

そして、実際に経験してやっぱり思いました。


クロエ、かわいそうすぎる…と。


だがしかし!


今は『私』がクロエとして生きています。

ロディからチート能力ももらいました。

固有スキルも。

ついでに、愛し子という何だか小っ恥ずかしい称号も。


そして、松岡家と親友からもらった愛情や思い出も、たくさん持っています。


転生したとしても忘れない、暖かい記憶。


だから、今生の家族は所詮戸籍上のみで、赤の他人。同居人。(実質会ったことありませんが)

公爵令嬢という肩書きを存分に利用させてもらって、今世ではまず、最高の教育を受けさせてもらいましょう。

平民だったら受けることすら出来ない授業、いっぱい受けられるでしょうし。

前世で学生だった時は、こんなの大人になったら使わないよね?って思ってあんまり勉強しなかったけど、いざ大人になった時、あの時ちゃんと勉強しとけば良かったって後悔したもん。

せっかくの機会ですから。

やれるだけやってみたいと思います!

異世界…というか乙女ゲームの知識だからどこまで前世と共通してるのかは分からないけど。



ちなみに、今の私のステータスはこちらです。


名前 クロエ・カサブランカ

職業 公爵令嬢

年齢 5歳

体力 100

魔力 ♾️

魔法属性 水・火・土・風・光・闇・聖

固有魔法 転移・空間・隠蔽・浮遊・鑑定など

     イメージしたものなら何でも使用可

固有スキル インターネット

      ネットショッピング

称号 創造神の加護

   女神アフロディーテの愛し子

   前世の記憶を持つ者

   フローレン王国王太子の婚約者



創造神様のご加護を最初に見た時、何かの間違いでは?とロディに確認したら、創造神様がいつの間にか加えていたみたいで、間違いではありませんでした…恐れ多すぎる…


ちなみにロディとは会話ができます。

ステータス画面の「女神アフロディーテの愛し子」の文字を触ると、神界にいるロディと通話できる仕組みです。すごいよね。


そして私自身、どうしたいのかを考えたのですが、王太子には会ったことないので今の所何とも言えません。

ですが、この家族に関しては正直何も感情が湧かないというか…なので、王太子と会ってから身の振り方を考えたいかなーと思います。

ゲームの展開的には来年、私が6歳の誕生日を迎えた日に初顔合わせがあるので。

もし王太子が良い人で仲良くなれそうなら、この国に留まって文官なり魔法師なりで生計を立てても良いかもしれません。

違ったら、この国を出て自由気ままに暮らしたいですね。

せっかくチート能力をもらいましたので。


あ、ちなみに婚約解消は決定事項です。

王太子の見た目はかっこいいのですが、正直に言うと私のタイプではありませんし、何より前世はおひとりさまを満喫中の28歳一人暮らしの会社員でしたので、まだ結婚は考えられません。

とりあえず今は自分がやりたいように、自由に生きたいです。


ちなみに、婚約解消は決めているのでステータスは隠蔽しているんです。

他の人にはこのステータスしか認識できません。

それがこちら。


名前 クロエ・カサブランカ

職業 公爵令嬢

年齢 5歳

体力 100

魔力 100

魔法属性 水

称号 フローレン王国王太子の婚約者


もし、王太子が嫌なやつだったり、乙女ゲームのストーリー展開で国外追放になったのなら、遠慮なくこの国を出て行きます。


むしろそっちの方があり寄りのありですね。


ただ、このチート能力がバレると国に捕まって飼い殺しされる可能性がありそうなので、水魔法を使うのがやっと…くらいのステータスにしておきました。

これで相手も気兼ねなく国外追放できるでしょう?


さて。来年が楽しみですね。




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