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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第6話



ごきけんよう。

クロエ・カサブランカです。


今日の王太子との顔合わせにて、半ば無理矢理ではありましたが、婚約解消魔法契約書(つなげただけなのになんだか仰々しくなっちゃいました。以下書類と呼びましょう。)への国王陛下と父それぞれののサインと魔力証明をゲットすることができたため、わたくし、ご機嫌です。


さて、今わたくしは王宮から公爵家へと帰る馬車に乗っています。


あの後、国王陛下と王妃殿下に、涙ながらに本気で謝られまして、表面上は許す旨をお伝えしました。

書類はなにがなんでも返しませんでしたけれど。



案の定気まずい雰囲氣になり、会はお開きとなりました。

目的を達成したわたくしはもうその場に用は無くなりましたので、ありがたく御前を退きました。



父と母はあれからずっと黙ってしまいまして、もちろんこの馬車の中でも無言のままです。

行きの馬車とは打って変わって、2人とも無表情ですけれども。


「クロエ。」


おっと。

今日の振り返りをしていたら、父に呼ばれました。


「何でございましょう?お父様。」


わたくしは顔に笑顔を貼り付けて応対します。


「…クロエは……その……」


何だか言い淀みながら、こちらに気まずい視線を寄越す父。

母も揃って気まずそうにこちらを見ています。


「私達家族が…嫌いなのかい…?」



……………はい?



「お父様、急にどうなさったのですか?」


「さっきは急な事で驚いて言われるがままに契約書にサインをしてしまったが…

クロエ。おまえは私達の娘だ。

何があっても公爵家からの除名は受け入れられない。

確かに、私達はほとんど家を空けていておまえと過ごす時間をなかなか取れていない。

親としてはまだまだ未熟だ。

だが、おまえに何があっても味方であるし、守ってやれる力もある。

もしあのクソガキ…レオンハルトと婚約解消したとしても、おまえにふさわしい新たな婚約者を探す事だってできる。

だから…」


いや、驚いて言われるがままに契約書にサインしてしまったって…こんな人が外務大臣でよくこの国は平和ですね?


まぁ、その隙をついてサインさせたわたくしが言うことでは無いかもしれませんが。




「お父様。」


「クロエ…」


「申し訳ございません。

残念ながら、先程の書類は魔法契約書でございますので内容は変更できませんし、破棄することもできないのです。」


わたくしは顔に笑みを貼り付けたまま、困ったように父に言いました。


外務大臣をされているなら、次からは同じ轍を踏まないように気をつけましょうねー。

まぁ、言いませんけど。


本当の事を言いますと、今更そんな事を言われても困ります。

わたくしはもう、将来自分がどうありたいかを決めていますし。

それに…会ったこともない人達に対して、好きとか嫌いとか、分からないでしょう?

父と母には今日初めて会ったも同然なのですが。


わたくしは前世の松岡家が本当の家族だと思っています。

今世のカサブランカ家はただの同居人です。

冷たいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、これがわたくしの正直な気持ちです。

王太子と婚約解消した後は、わたくしはひとりで、自分が思うままに生きていきたいのです。

そこに口出しされる謂れはありません。

その後の事まで口出ししようとお考えのようなので、魔法契約書に認めておいて本当に正解でしたわね。


「そうか…」


そう言って、父は口をつぐみ、車内はまた沈黙に包まれました。


ふぅ…

てっきり魔法契約書の出所を聞かれるのかと思い身構えておりましたが、聞かれなくて安心しました。

6歳の子供が自分で作っただなんてバレれば、どうなるかわかったものではありません。

まぁ聞かれたとしてものらりくらりとかわすか、最悪の場合、隠蔽魔法で…とも考えていますが。



ほどなくして馬車は公爵家に到着しました。

物言いたげな父と母にカーテシーでご挨拶をして、わたくしは足早に自分の部屋へと戻りました。



いつも通り夕食を部屋で摂り、湯浴みも終え、侍女に寝る旨を伝え下がらせて、部屋にはわたくしひとりきりです。


部屋のソファに座り、今日あった事を思い返します。


(今日の王太子の振る舞いは最初から酷かったなー…

まぁそのおかけで保険の書類への国王と公爵それぞれのサインと魔力証明がもらえたから良しとしよう。


でもあの態度から見るに、ゲームスタートの学園に入学する年齢になっても大した成長は見込めなさそう…

仲良くしたいとも思えなかったし、できる限り関わらないようにしたいかな。

あとは…乙女ゲームか……今まで異世界転生ジャンルの小説を何作品か読んでみたけれど…

その時の主人公達の行動としては、


1.攻略対象者とはなるべく関わらないようにして徹底的に避け、ゲームから離脱。

2.攻略対象と仲良くなり、ヒロインをざまぁする。

3.攻略対象とヒロイン両方にざまぁをする。


大きく分けるとこのパターンが多かったかな?

まぁわたくしが読んだ限りだから、もっと色々なパターンがあると思うけれど…

うーん…2は無いかなー。

1も3もいまいちしっくりと来ない…

そもそも、ヒロインは苦手なタイプだし、攻略対象者である王太子、宰相令息、騎士団長令息、魔法師団長令息には興味無いし…

元々は蘭姉と蓮に勧められたから始めたけれど、わたくしがこのゲームをプレイし続けたのは、クロエを何とか幸せに出来ないか試行錯誤していたからっていうのと、イラストが綺麗で人物はもちろん、建物や風景がとても綺麗だったからっていう理由が大きかったんだよなぁ…

だからヒロインや攻略対象者に関しては必要最低限の知識しか無いし(クロエを幸せにするために何とか味方になってくれそうな人を探していたので)。


おっと、話が逸れた。



今この家を出ても個人的には何も問題は無いけれど、いかんせん今のわたくしは6歳児。

成人まであと12年もある。

この状態で家を出てもひとりで生きていくのは難しいだろうなぁ…


それなら、乙女ゲームに関しては何もしないことにしよう。


もし、ヒロインが転生者でなければゲームそのままにわたくしは断罪、婚約破棄のち国外追放。

ヒロインが転生者でこのゲームのプレイ経験があり、且つ王太子狙いであれば、多少の違いはあれど悪役令嬢であるわたくしを貶めてでも断罪してくるだろうし、そうなれば婚約破棄のち国外追放。

転生者であってもゲームのプレイ記憶が無い、あるいは他の攻略対象ルートを目指した場合は先の手が使えないから、強引にでも魔法契約書を履行して自ら出て行こう。


まぁ、最初の2つのどちらかの方がわたくしは大手を振ってこの国から出ていけるけれど。

最終的な着地点は変わらないから大きな問題では無いよね?


そのために今は将来暮らす家を建てたいかな。

ひと月後には今受けている教育から王太子妃教育に切り替わる予定だから、今より自由時間が減りそうだし。

その間に場所を決めて…

建てるのも自分でやるしかないよね。

誰かに建ててもらったら場所が知られてしまうもの。

建て方も[インターネット]で調べて、資材も揃えておかなくちゃ。


資金は、実は前世の貯金をロディが何百万倍にもして[ネットショッピング]のチャージに入れてくれたんだよね。

これも愛し子の特典だそうです。

そんなの聞いたことなかったけれど…

だから心配なし!


で、必要なのは時間なのよね。

とにかく隙間時間で転移して、少しずつ作業を進めるしかなさそう。

建設予定地に決めた場所は強力な結界を張らないとなぁ…


明日は全ての教育が休みの日だから一日中空いてるし、場所を決めてしまおう。

よし!そうと決まれば寝ますか!)


こうして、わたくしが将来を決めた6歳の誕生日が終わりました。



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