幕間 ウィリアム・シクラメン
このページには、ヒーローが魔法を使ってヒロインを盗撮するシーンがあります。
苦手な方は次の話に進んでください。
ああ、やっとだ。
やっと、手に入れたーーーーーーー
あの女のショボい魅了に強化を付与した後、俺は定期的に状況を観察しているが、登校日にリアルタイムで観察するのは難しい。
だから今日も、夕食後自分の部屋に戻って録画しておいた映像を表示して状況を確認している所だ。
王太子の魅了は早々にレベルMAXまで到達し、今や講義をサボってまであの女とヤっている始末。
順調だな。
だがこの女はそれだけでは飽き足らず、暇さえあれば近くを通っただけの男に手当たり次第話しかけ、あわよくば関係を持とうと誘っている。
勘違いも甚だしい。見苦しいな。
あーらら。
やっと捕まえた男子生徒に怖がられた挙句、全力疾走で逃げられてやんの。
ザマァ。
………ん?
今逃げたのはベロニカの弟じゃなかったか?
創立祭の屋台に家族総出で来てたのを見たから間違いない。
その時の様子を見た限りだが、あの弟は家族全員に可愛がられている印象を受けた。
ベロニカは味方になれば心強いが、敵に回すと厄介だ。
伯爵とベロニカの兄貴も同類に見えたな。
…いや、ベロニカ以上に厄介なタイプか。
……………この女、終わったな。
あー、この女を見ていたら気分が悪くなった。
こんな時は綺麗なクロエを見て癒されるに限る。
俺は録画していた映像のモニターを消し、新たにリアルタイムでの観察映像のモニターを表示させた。
モニターにはクロエが映っていて、勉強机に座っている。
ちょうど勉強が終わったようだ。
『ん〜〜〜!』
伸びしてる。可愛い♡
あ、立ち上がった。
キッチンに向かうのか?
『まだ9時か…
お風呂に入るには早いし、クッキーでも作ろうかな…』
クッキー……だと?
『そうと決まれば〜♪』
そう言いながらクロエは手早く材料と道具を準備し、クッキーを作り始めた。
ああ…癒される…
さっきまでの汚れが全て浄化されていくようだ。
モニターにはクロエがボウルに入れた材料をヘラで混ぜている所が映っている。
クロエが作るクッキーか…絶対その辺のとは違うよな。
クロエが作るものは全部美味いし間違いない。
味はもちろん、作る時にクロエが魔法を使っているから魔力も入ってんだよ。それが一番美味いの。
前にクロエが作った料理や菓子を食ったけど、全部美味かった。特にカレー。
クロエの魔力が多く入っていたから格別だった。
最初に別の奴が作ったカレー食った時、あからさまな差に驚いたもんな。
俺はクロエの運命だから、クロエの魔力は格別に美味く感じるのよ。つまりご馳走ってわけ。
他の奴らには全く分かんねぇだろうけど。
『[生地を冷凍、1時間早送り]』
棒状にした生地とやらを凍らせたようだ。
魔力使ってるからこれもまた格別に美味いんだろうな。
『よしっ!良い感じ!』
本人は気づいていないが、クロエは楽しそうに料理する。
今も満面の笑みでさっき凍らせた棒状の生地っつーのを同じ厚さに切って並べているしな。
可愛すぎんだろ。
『よしっ綺麗に並べられた!まんまるでかわいい♡』
いや、可愛いのはお前だがな。
『焼成〜。[オーブンの中を17分早送り]』
ガタッ…
おっできたか?
『完成〜♪オレンジピールと紅茶の良い香り〜♪』
ゴクッ…
何だあれ?
あんなクッキー見た事ないぞ?
くっ…食いたい……!
『焼きたて熱々をいただきまーす♪』
サクッ…ホロッ…
『ん〜美味しくできた!
遅い時間に背徳的だけれど…ティータイムにしよっかな…』
食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい食いたい!!!
はっ!ダメだ!落ち着け俺!
『つい暇な時間にクッキー作っちゃうから亜空間収納の中にクッキーが増えて来ちゃった…
今度ウィリアムに差し入れしてみようかな…』
何だって!?くれ!全部くれ!!
『ウィリアムはいつも美味しそうにたくさん食べてくれるから作り甲斐があるんだよね。
亜空間収納も持っているから量多くても大丈夫かな?』
勿論良いぞ!むしろ全部くれ!!
クロエの言葉にテンションが上がった俺は、思わず腰掛けていたベッドから立ち上がって画面を凝視していた。
『この前作ったココアアーモンドもいっぱいあるし、それも一緒にあげてみよっかな。』
それもくれ!全部美味しく食べるぞ!!
『あ、でも…
恋人でもないのに1人だけあげるのは違うよね…
ウィリアムはカッコいいからモテそうだし、素敵な人だから婚約者がいるかもしれないし……
やっぱりやめておこう…』
そっ…そんな……!!!
俺はショックでベッドに倒れ、気を失ってしまった。
気づいた時には朝だった。
その後は観察で状況の確認をしつつ、クロエへのアピールを少しずつ強めていった。
ベロニカに婚約者について聞かれたから、いない事と自分で決められる事も言っておく。これは事実だしな。
伴侶は自分で見つけるのが家の方針でもあり、俺らの運命。
他の誰かに決められても従うような者はうちの家系には誰1人いねぇんだよ。
ベロニカは特にクロエの事を気に入っている節があるから、誠実さをアピールしておくに越したことはない。
これでベロニカからも信頼されて動きやすくなるだろう。
勉強合宿の夜は皆が寝静まった後にクロエのベッドに行きそうになる自分を諌めるのが大変だったが、何とか耐えきった。
ここで変な動きをすれば、今までの努力が水の泡になってしまうからな。
合宿の最終日、クロエからベロニカの家に泊まりに行く話を聞き、当日心配で観察したら両思いだった事が発覚した。
あの時はクロエに会いに行きたい衝動を抑えるのが大変だったわ。
ベロニカに婚約者の件を言っておいたのも功を奏した。
クロエの誤解も解けて、益々俺を意識してくれた様子だったしな。
そして、無事に試験を終え進級も決まり、陽の月のパーティーでようやくクロエと思いを通じ合わせる事が出来た。
クロエの嬉し涙が綺麗で、泣いてる姿の可愛さに思わず抱きしめてしまったが、クロエが安心してくれて嬉しかった。
今後俺の番に誰も手出し出来ないように、【魂の誓約】を使った。
クロエは自分の左手薬指の付け根にだけリング状の模様が入ったと思っているが、実は俺の同じ場所にも全く同じ模様が刻まれている。
これは俺の家に伝わる、番の誓いだ。
俺の家系は執着心や独占欲が強い者が多くて、その思いは今生だけにとどまらない。
よく結婚式で死が2人を分つ時なんて言ってやがるが、俺らからすればそんなのクソ喰らえだ。
死んでも離れる気なんてねぇし、生まれ変わっても離す気なんてねぇんだよ。
俺は一族の中でも特にその思いが強いってだけ。
これでクロエの身に危険が及んでもすぐに察知出来るし、クロエの居場所もわかるようになったって訳。
いや本当、最高の気分だ。
その後、相談したい事があるってクロエがあの女への強化した奴について相談してきたから、あっさり白状した。
勝手に強化を付与してクロエに余計な事をしたって叱られるかと思ったが、むしろ感謝された。
俺のクロエは女神だな。
俺がクロエを差し置いてあんな女の味方になるなんて天地がひっくり返っても有り得ない話だ。
当たり前の事を聞かれたから間髪入れずに答えたら、俺の女神は笑って許してくれた。
それをきっかけに俺の魔法について話したが、興味を持って聞いてくれた上にさらに頼ってくれて…
あーーーもう可愛すぎる。
クロエが可愛すぎて俺、どうにかなりそう。
クロエ♡やっと捕まえた♡
これで俺とクロエはこれからずーっと一緒だよ♡
今世でも死んでも来世でもずっとずーっと一緒だよ♡
クロエを幸せに出来るように俺、全力で頑張るね♡
だから、俺から逃げようなんて思わないでね。
もし俺から逃げようとしたら…
俺、何するか分かんないから。
こんばんは。めいです。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
更新が開いてしまいました…
もし楽しみにお待ち頂いている読者様がいらっしゃるならば、お待たせして申し訳ございません。
今回はヒーロー視点第2弾でした。
バレているかもしれないと思いながらも第1弾は伏字タイトルで悪あがきしてみましたが、本編でウィリアムがあっさり白状しやがりましたので今回は伏字にしませんでした。←
今回は前回に比べてヤバい奴指数マシマシでお届けする事になってしまいました…
それに伴い、あらすじ欄にも注意書きを追加しました。
まったくもって手のかかるヒーローです。
でも、ヒーローは良い奴ですよ。(希望的観測)
次回は通常本編に戻ります。
引き続き、皆様が少しでもお楽しみいただけますよう頑張ってぽちぽちしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。




