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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第34話





さて。やっとハンバーグに辿り着きましたわね。


イケメンウィリアムに見られながらというのは緊張しますが、皆んな待ってくださっている事ですし、早速作りましょう。


まずはボウルにワイバーンのひき肉、塩、胡椒を入れます。

左手で冷却(クーリング)を使ってボウルを冷やしながら、右手で体重をかけるように強く練って、粘りが出てきたら等分に分けて成形します。


ブラックペッパーの粒は布巾で包み、空のワインボトルの底の部分をトントンと当てながら軽く砕きます。

ブラックペッパーは粒が大きいとふわっと風味が香る位で辛さも感じにくいですが、細かくすり潰してしまいますと辛みもダイレクトにやってきますので、力加減に気をつけます。


次に、バターと小麦粉を1対1の割合で混ぜ、ソースのルーを作ります。


そうしましたら、タマネギをみじん切りにし、6人分ずつに分けてフライパンに入れます。

後程移すので、小さめのフライパンにしておきましょう。


白ワイン、先程砕いたブラックペッパー、タイムを加えて煮詰め、生クリームとコンソメを加えます。

コンソメは先程個包装を剥いておいて正解でしたわ…

そこに先程作ったルーを加え、とろみをつけます。


いよいよお肉を焼いていきますが…

コンロが足りませんので、急遽調理台の一部に空間魔法を展開し、内側を80℃に保たせ、即席の保温庫を用意します。

そこにフライパンの持ち手以外の部分が入るようにして置きます。

持ち手も入ってしまうと、取り出す時に熱くて持てなくなってしまいますもの。


それにしても…

誰ですか。コンロは2口か3口で十分と言ったのは。

………えぇ。わたくしでしたわ。

普段はそれで十分ですが、30人分を一度に調理するとなると5口でも足りませんのね…

勉強になりましたわ。



大きめのフライパンを5つ、それぞれコンロの上に乗せ、油を入れ熱し、成形したお肉を焼きます。


焼いている間にお皿を調理台の上に30枚並べて、両面に焼き色がついたお肉をお皿に盛り付けて、即席保温庫で冷めないように囲います。


お肉を取り出した後のフライパンは、余分な油を軽く拭き取り、残った茶色い旨みの部分はソースと合わせるため、白ワインを少量入れてこそげ取り、そこに先程作ったソースを入れて合わせます。


ちなみに、この世界は中世ヨーロッパ『風』乙女ゲームとだけあって、ワインは赤と白、両方存在しておりました。

ワインはそれなりに高級品ですので、貴族の嗜好品ですけれども。

平民の方や冒険者の方等はエールを好まれる方が多いようです。


食材やスパイスもこんなに豊富に揃っているというのに、食事面が発達していないのは何故なのか……

いいえ。考えても無駄な気がいたしますので、やめておきましょう…



即席保温庫を解除し、お皿に盛り付けた焼いたお肉の上からソースをかけて、空いたスペースに先程のポテトを乗せれば完成ですわ。



「美味そうだな。」


ウィリアムが思わずと言ったように呟かれましたので、顔を上げましたらーーーーー


えっ!? 


皆んなカウンターの前で整列していましたわ…


勉強会とは。


「…出来ましたので、夕食にしましょう。

配膳を手伝ってくださいまし。」


「「「「「「「はーーい!!!」」」」」」」


皆んなの良いお返事に笑いを堪えつつ、わたくしはテリーヌを型から取り出し、切り分けてお皿に盛り付けます。

ドレッシングをかけて…


「はい。ではこちらをお持ちになって、席に置いていってくださいまし。

スープは…うん。温めたらちょうど良い塩加減になりましたわね。

こちらもお願いしますわ。」


オニオンスープは温め直しましたら少し水分が蒸発したのか良い塩梅になっておりました。

スープカップに注いで、皆んなに配膳をお願いします。


「メインはこちらに置いておりますので、こちらもお願いしますわ。」


ちなみにパンはわたくしがネットショッピングで購入してバック(の中の亜空間収納)に入れておりましたので、そちらを使用します。


バゲットも食べやすい大きさに切り分けて、カゴに入れます。


「パンとカトラリーもお願いします。」


あとは…

飲み物はアイスティーでしょうか。

グラスに氷を入れて…


カランカラン


「クロエ、すごーい!

氷魔法使えるの!?」


あ。

クレアが見ていらっしゃいましたわ…


「えぇ。でもこの事は内密にお願いしますわね。」


「もちろん!絶対に言わないよ!」


わたくしは苦笑いでクレアに口止めをお願いし、人数分の氷の入ったグラスにアイスティーを注いで、皆んなに配膳をお願いします。



「皆んな、席に着きましたかしら。

それでは。豪華な夕食とそれを作ってくれたクロエに感謝して…

頂きます!」


「「「「「「「頂きます!!!」」」」」」」


皆んなが席に着いたのを確認なさって、いつものようにベロニカの号令で食べ始めます。



パクッ…



「「「「「「「美味い!!!」」」」」」」

「「「「「「「美味しい(ですわ)!!!」」」」」」」


ホッ。お口に合ったようで何よりですわ。



「なんだこの肉の塊!?美味いぞ!」

「お肉にかかっているソースもコクと旨味があって美味しいですわ!

胡椒も入っているのに、辛くないなんて不思議ですわ…」

「この野菜も美味しいよ!野菜なのに甘い!」

「野菜にかかってるソースが爽やかでとろっとしていて美味しいです!野菜にもとてもよく合ってますよ!」

「このスープ…甘くて旨味もあってコクもあるのにくどくない…何だこれ!?美味すぎる!!」

「このじゃがいも、カリッとしていて美味いぞ!初めて食べる味だ!!」


………何だか皆んな、食リポが激しいですわ。


でも、作ったのはわたくしですが、レシピはプロが考えた物なのでしょう。

とても美味しいですわ。

上手く作れて良かったです。


「クロエ。本当に美味しいわ。

こんなに美味しい食事は生まれて初めてよ。

本当にありがとう。」


向かいの席に座っていたベロニカが素敵な笑顔と共に嬉しい言葉をくれました。

わたくし、頑張った甲斐がありましたわ。


「ベロニカ。こちらこそ嬉しい言葉をありがとう。

その言葉だけで、頑張って作った甲斐がありましたわ。」


嬉しくてつい、笑顔で応えておりました。


今世ではずっと1人で食事を摂っておりますが、こうして皆んなで食べる食事は、何倍も美味しく感じるものですよね。



「クロエ。」


「ウィリアム?」


右隣に座っていたウィリアムは、ずっと夢中で食事をしていたのですが、急に名前を呼ばれました。


「どれも全部美味い。

クロエが作る料理は全部美味くて好みだ。」


微笑みながらそんな事を言われると…

なんだかドキドキしますわね…

イケメンの微笑み…恐るべし……


「それは嬉しいですわ。

頑張って作った甲斐がございました。」


気持ちを何とか立て直して笑顔で応えます。


…自然な笑顔、出来ていますわよね!?

イケメン攻撃は調子が狂ってしまいますわ…


その後、いち早く食べ終わった数名が足りないとおかわりを要求してきまして、残った分がじゃんけんで争奪戦になり、ウィリアム、ピーター、ベロニカ、ジョン、ベンジャミン、ナタリー、ルークがおかわりをゲットしておりましたわ。


この世界にもじゃんけんが存在しておりましたわ…

ほほほ。もう何も言いませんわ。



騎士を目指して体づくりをしているウィリアム、ベンジャミン、ルークは分かりますが、ピーターは細身でてっきり食が細いと思っておりましたのに…

それにベロニカやナタリー…意外と良く食べますのね…わたくし、知りませんでしたわ…

ベロニカもナタリーも、スレンダー体型ですのに…

一体どこに入るのやら…

あ、今更ですがナタリーは創立祭でカレーの食リポをなさっていたポインセチア様のお名前ですわ。

赤いウェーブがかったロングヘアに緑色の瞳が特徴的な可愛らしいお顔の方です。



「悔しい…負けちゃった…」


「だいぶ白熱した争奪戦だったねー。

どんまい。」


争奪戦で敗れてしまったクレアが涙目で悔しがっていた所をミア(ラバンディン様のお名前ですわ。)が慰めておりましたわ…

クレアも、意外と良く食べますのね…



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