第33話
ごきげんよう。
クロエ・カサブランカでございます。
わたくしは今、Cクラスの冬季休暇勉強合宿に参加しておりまして、話の流れで皆んなの夕食を作る事になりましたため、調理台で夕食を作っております。
先程、野菜のテリーヌを作りまして、即席冷蔵庫(空間魔法で調理台の一部を5℃に保ったスペースを作っただけですが)に入れ、コンソメスープに入れたゼラチンを固めて冷やしている所です。
専用の型を持っていませんので、パウンドケーキの型を使用いたしました。
一応6本作りましたので、余ったらわたくしが頂きます。
ドレッシングはレモン汁、リンゴ酢、砂糖、塩をボウルに入れ、オリーブオイルとサラダ油を1対1の割合で入れながら乳化するまで混ぜ合わせました。
こちらも簡易冷蔵庫スペースに置いておきましょう。
あとはオニオンスープと、ハンバーグですわね。
さすがは国内最大手のダンデライオン商会。
魔導コンロが6口もありますわ…
通常の大きさのコンロが5口に、一際大きいコンロが1口…
どこの業者なのでしょう…
わたくしは素人ですので、2口か3口程使わせていただければ十分ですわ…
そして一際大きい台には、30人分は入ろうかという大きな寸胴鍋が用意されておりますわ…
しかし、驚いてばかりはいられません。
調理に戻りましょう。
先にオニオンスープから。
タマネギの皮を剥き、縦半分に切って、薄くスライスします。
寸胴鍋にバターを熱し、スライスしたタマネギを投入します。
火加減は中火。
出てくる水分を飛ばすように手早く混ぜながら炒めます。
量が多いのでムラが出ないように、底からしっかりと混ぜます。
本当はこれで10分炒める所ですが…
([10分…早送り])
【鍋の中のタマネギを10分炒めた状態にしました。】
よしっ!良い感じですわ!
そうしましたら、追加のバターと、みじん切りにしたニンニクを加えます。
火加減を弱火に落とし、タマネギが飴色になるまでゆっくり炒めます。
が。目安としては40分かかるんですよねぇ…
([たまねぎが飴色になるまで…早送り])
【鍋の中のタマネギを飴色になるまで炒めた状態にしました。】
おぉ!すごいですわ!
きちんと飴色になっております!
この魔法、本当に便利ですわ!
ロディのおかげですわね。本当にありがとう!
次に、先程こっそりと用意しておいたコンソメスープ(固形コンソメをお湯で溶いたものです。テリーヌ分もここから使いましたの。)を鍋いっぱいに入れて火加減を強火に。
アクが出てきましたら綺麗に取り除いてまた火加減を中火にします。
少し煮て、塩と胡椒で味を整えたら完成です。
今はほんの少し味を薄めにしております。
食べる前に温めるので、水分が蒸発して味が濃くなるかもしれませんので。
味が変わらなければその時はまた塩と胡椒を足しても良いかもしれません。
さて。
メインのハンバーグの調理に取りかかりましょう。
先日、インターネットでとても美味しそうなハンバーグを見かけまして…
作ってみたかったんですよねぇ。
いきなり30人分作る事になるとは思いもしませんでしたが。
実はこのレシピ、ハンバーグ本体の材料はお肉、塩、胡椒のみなんです!
すごくないですか!?
すごくないですか!?
大事な事なので2回言いました。
しかし…ボウルは良くともフライパンは普通の大きさのフライパンしかありませんわね…
1つのフライパンで6人分ずつ作れそうですので、ちょうど5口ございますので、一度で作れそうですわ。
まずは、付け合わせのポテトを準備しましょう。
ジャガイモを5ミリ幅の輪切りにします。
端の方はそのままでも良いですが、真ん中の方は少し大きいので、さらに半分に切っておきましょう。
切ったジャガイモは水にさらして、清潔な布巾(と風魔法と火魔法で生み出した温かい風)で水気をしっかりと拭き取ります。
ペパータオルを使用したい所ですが、この世界には存在しませんので、今回はこの方法で水気を拭き取りますわ。
フライパンの底から0.5センチ程の深さまで油を入れて弱火で熱し、水気を切ったジャガイモを入れて両面こんがりするまで揚げ焼きにします。
もちろん全ての量は入りませんので、フライパン5つに分けて入れます。
少し多めに作りましたので、余ったらわたくしが頂きますわ。(2回目)
ジャガイモがカリッとしましたら塩少々、みじん切りにしたニンニクとパセリを入れ、さっと絡めて出来上がりです。
ふぅ…30人分出来ましたわね…
「良い匂いだな…」
ビクッ!!!
「ウィリアム…いきなり後ろから話しかけないでくださいまし。
驚いてしまいましたわ。
いつからいましたの?」
わたくしがちょうど一息ついた瞬間、突然後ろから声をかけられ、驚いてしまいましたわ。
振り返るとウィリアムが立っていらっしゃいました。
わたくしは思わず、拗ねたような言い方になってしまいましたわ。
「驚かせてすまない。
今来た所だ。
それより、それが夕飯か?
良い匂いだな。」
ウィリアムは申し訳なさそうに謝罪してくださった後、出来立てのポテトに視線を移します。
謝ってくださったので、良しとしましょう。
「これは付け合わせですわ。
メインはこれから作りますの。」
「そうか。
カウンターに座って見ていても良いか?」
「えぇ。それは構いませんが、勉強の方はよろしいんですの?」
「あぁ、今は皆んな良い匂いに釣られて気もそぞろだし、身が入らないんじゃないか?」
「………………」
ウィリアムに言われて勉強スペースの方に視線を移しますと、皆んながこちらを凝視していましたわ…
せっかくの勉強会ですのに、皆んなの邪魔をしてはいけませんわね。
「皆んなの集中力を欠いてしまうのは良くありませんわね。
[結界]」
ふわっ…
わたくしは調理台の周りに結界を展開します。
「これで匂いは遮断されましたわね。」
「すごいな…」
「あら。お褒めに預かり光栄ですわ。
出来立てのポテト、味見してみませんこと?」
「頂こう。」
ウィリアムに魔法を褒められ、気分を良くしたわたくしは、ポテトの味見をお勧めします。
若干食い気味のお返事ではございましたが、笑顔で応じてくださるお姿になんだか嬉しくなりましたわ。
味見用のポテトを5枚程小皿に取り、あとは冷めないように亜空間収納へ。
カリッ…
「美味い…」
「ふふっ。お口に合ったようで何よりですわ。」
ポテトを一口召し上がったウィリアムは、驚いたように感想を呟かれました。
そのままどんどん食べ進めています。
「…もう終わりか?」
「えぇ。後は夕食の分ですので。
楽しみにしていてくださいまし。」
「………分かった。」
味見用のポテトを全て食べ終えた後、上目遣いでおかわりを要求なさいましたが…
うっ…何故かかわいいと感じてしまいましたわ…
わたくしより体格の良い、立派な男性だと言うのに…
ちょっと悔しいですわ…
しかし、わたくしがご理解を求めると、若干拗ねたような、叱られた子供のような表情をされながらも、了承してくださいましたわ。
普段はクールな印象が強いウィリアムですが、こういう時は子供っぽい表情をなさるのね。
イケメンのこのような表情も、眼福ですわぁ。




