幕間 ??????????
ーーーーーー見つけた。
俺の…俺だけの番ーーーーーーー
クロエに出会ったのは王立学園の入学セレモニーでの事。
初めて見た時、雷が全身を駆け抜けたのかと思った。
クロエは容姿だけではなく、存在そのものが美しい。
ーーーーーー魂が美しいからだろう。
早く俺のものにしたい。
ーーーーーいや、まだダメだ。
俺は正体を隠しているし、何より、クロエはこの国の王太子の婚約者だ。
強引に奪えばクロエを傷つけてしまう。
何より、クロエに嫌われてしまう。
それだけは嫌だ!!!
クロエに嫌われてしまっては、俺は生きていけない!
クロエは俺の全てだ!
クロエがいない世界では生きている意味がない!
ではどうすればいい?
まずはクラスメイトとして親しくなる事から始めた方が良いだろう。
親しくなった後は、クロエの気持ちを聞かなければ。
王太子をどう思っているか…
王太子が嫌いだというならば、喜んで婚約破棄に協力しよう。
しかし、王太子が好きだったらどうする?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
クロエは俺の唯一だ!
絶対に認めない!!!
ーーーーー冷静になれ、まだそうと決まったわけじゃない。
とにかく今は、クラスメイトの1人として、クロエと親しくなり、他の男共を牽制するとしよう。
ーーーーーーこれは長期戦を覚悟しなければな。
月日は流れ、俺達は2学年に進級した。
相変わらずクロエは美しく、男共がハエの様に寄ってくる。
クロエに近づく男共を、俺は風魔法でそれとなく距離を取らせる日々を送っていた。
だがついに、俺にチャンスが巡ってきた。
風の月のクラスミーティングで、ようやくクロエの気持ちを聞く事ができた。
クロエが涙を流す姿は何物にも変え難い程に美しく、抱きしめて独占したかったが、皆んなの手前そうはいかない。
まだ正体を明かすべきではないからな。
それでも、話の内容は俺にとって喜ばしいものだった。
クロエは王太子を好きではなかった!
その上、婚約を破棄したいと強く願っている!
しかし、今すぐに婚約を破棄する事は難しく、おそらく卒業パーティーで決着がつくだろうと踏んでいるそうだ。
ーーーーーーー卒業パーティーでなければならない理由は何だ?
今すぐにでも婚約破棄をすれば良いんじゃないか?
そう思いクロエに理由を聞いてみると、現在王太子をはじめとした生徒会メンバーと行動を共にしているマリナとかいう女が、ゆくゆくは王太子と恋仲になり、王太子と共に卒業パーティーで婚約破棄を突きつけてくると予想しているそうだ。
それは予想だよな?
確定した未来ではない。
だが、クロエは確信した様な眼差しで自信を持って言い切った。
ーーーーーーじゃあ、俺がそれを叶えてやらないとな?
俺のクロエの願いは、俺が叶えるしかないだろう?
滅多に願いを口にしない健気なクロエ。
かわいいかわいい俺のクロエ。
クロエの願いを叶えられるのは俺だけの特権だ。
クロエに喜んでもらえるように、俺、全力で頑張るからね♡
クロエが落ち着いた後、翌月の勉強会に向けての話し合いをしてミーティングは散会した。
俺は自宅に帰り、自室で敵情を視察する事にした。
「[観察]」
ヴォン
音と共に、モニターが出現する。
観察はクロエが使っていた便利な魔法だ。
使用するには、光属性と風属性に適性がなければならない。
あくまで俺の予想だが、光属性で映像を、風属性で音を拾い、こちらに反映するんだろう。
どっちも元素だから、空気も光も、俺らの周りに当たり前に存在しているしな。
こんなに真正面から見ているのに、画面に映っているコイツらには何ら気付かれていないから、強ち間違ってはいないんじゃないか?
俺は全属性の魔法に適性があるが、得意なのは水と風と光。
まさにうってつけだな。
ただし、いくら適性があっても相当魔力が高くないと使いこなせないから、実質俺とクロエ専用の魔法だ。
本当に、俺のクロエは天才だよな。
ますます惚れ直したのは言うまでもないが。
観察をなぜ俺が知っているかって?
ーーー教えてあげない。
世の中には、知らない方が幸せな事だってあるんだぜ?
今モニターに映っているのは…メインストリートか?
王太子と…ピンクの髪の女が腕を組んで歩いている。
王太子の顔は若干引き攣っているが、クロエという最高の婚約者がいながら、変装もせずこんな女と人目につく場所で腕を組んで歩くとは…馬鹿だな。
このピンク髪が、クロエが言っていた女か?
「[鑑定]」
ヴォン
この女が何者なのか、とりあえず鑑定してみる事にした。
モニターの隣に鑑定結果の画面が表示される。
名前 マリナ・アンスリウム
職業 伯爵令嬢 王立学園2学年Sクラス
年齢 17歳
体力 3,200
魔力 11
魔法属性 聖
固有スキル 魅了
称号 前世の記憶を持つ者
………何だこの女。
能力が低すぎないか?
よくこんなので生活できているな?
ーーーーーしかし、興味深い項目が2つ。
1つ目。魅了持ちという事。
クロエが自信を持っていた理由はこれか。
そういえば、クロエもこの女を鑑定していたもんな。
なぜ知っているかなんて、野暮な事は聞かない方が良い。
だが、モニターの様子を見る限り、今の所王太子は魅了にかかっていない様だな。
それならば、王太子の心中を覗いてみるか。
「[読心]」
俺はモニターに映っている王太子に手をかざし、詠唱した。
『(クソッ!何でだ!
何でいつも上手くいかないんだ!
本当はクロエをデートに誘って、今日こそは1日中2人きりになれるはずだったのに!
朝から公爵邸にクロエを迎えに行ったはずなのに、クロエは留守で、使用人も行き先がわからないなんておかしいだろ!!
結局追い返されて仕方がないから帰ろうとしたらなぜかマリナがいて、仕方なくデートする羽目になってしまった…
今日こそは上手くいくはずだったのに!
今日こそ、クロエを手籠にするはずだったのに!)』
プチッ
ーーーーーー今、何て言った?
手籠?誰が?誰を?
お前如きが俺のクロエを?手籠に?
ふざけるな!!!!!
クロエは俺のだ!!!
決してお前のものではない!!!
俺の…っ!俺だけの番だ!!!
ヒョォォォォォォォ!!!
ーーーーーーはっ!
落ち着け…腹立たしいが今冷静さを失えば事を上手く運べなくなるぞ!
スゥッ…
俺は何とか気持ちを落ち着け、漏れ出ていた魔力で凍った部屋を元に戻した。
『ねぇレオン、次はどこ行くー?』
女が王太子に腕を絡めながらその腕に懸命にしがみ付き、胸を押し当てている。
これは使えそうだ。
今度はモニターに映る女に手をかざし、詠唱する。
「[魅了強化]」
スゥッ…
『……そうだな。あそこはどうだ?』
王太子が指したのは休憩所。
だが、あれは恋人達の密会場所として使われる逢瀬宿だ。
『良いね!行こ行こー♡』
女は王太子が指した休憩所の意味を知っていたのか、喜色満面で同意した。
そのまま2人はその休憩所へと入って行った。
………上手くいったな。
思わず顔がニヤついてしまう。
これでコイツらには既成事実が出来た。
今の映像はしっかりと録画させてもらったから言い逃れは出来ないだろう。
ま、これは最終手段だがな。
この女は、魂は汚れているが、良い仕事をした。
ーーーこの女といえば、もう1つ利用出来そうな部分があったな。
この女は、前世の記憶持ちだ。
たしか…1学年の学年末試験のトーナメント決勝後に訳の分からない事を言っていたな…
まるで物語をなぞる様な言い分だった。
思い通りに再現はできなかった様だが。
あの時は騎士団長の息子だったが、王太子にもちょっかい出してるよな?
ダンスの試験の時は王太子がパートナーだった。
そうすると、この女はその物語とやらに準えてこれからも王太子に仕掛けるって事じゃないか?
それなら、この女の魅了を最大限に強化しておこう。
その度に王太子にはクロエに対する憎しみを募らせてもらわないとな。
俺はモニターに映る2人に向けてそれぞれ強化を施し、モニターを消した。
首尾は上々だ。
あとは定期的に様子を観察して調整していく事にしよう。
ーーーーークロエ。卒業パーティーが楽しみだね。
俺がクロエの望みを最高の形で叶えてみせるからね♡
こんばんは。めいです。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
皆様お楽しみいただけていますでしょうか?
今回はヒーロー視点でお届けいたしました。
タイトルは?で伏せましたが、恐らく皆様にはバレてしまっている事でしょう…
ヤバめな奴にしか見えないのでは…と思いながらぽちぽちしていましたが、ヒーローは良い奴ですよ。(きっと)
次回は通常本編に戻ります。
引き続き、皆様が少しでもお楽しみいただけますよう頑張ってぽちぽちしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。




