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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第28話



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。


本日は土の月18日、Cクラスの定期ミーティングの日ですわ。

わたくしは今、ダンデライオン様のお邸にお邪魔しております。



本日は、創立祭の打ち上げのため、皆んなで持ち寄った食事や菓子で立食パーティーをしますの。


いつもミーティングを行なっている大広間の一角にはビュッフェ台が設けられており、各々が持ち寄った食事や菓子が並び、クレープ屋台で使用した物と同様のドリンクサーバーも設置されております。



ダンデライオン様のお父様である、ダンデライオン会頭の御厚意により、カレーライスとクレープも、ビュッフェ台に用意されております。

どうやらクレープは、その場で作ってくださるライブキッチンスタイルのようです。



「カサブランカ嬢、貴女は本当にダンデライオン商会にとっての女神様です!

クレープ屋台とカレー屋台はまだ開店して2週間程ですが連日大盛況で、このペースでいけばひと月の売上もかなり期待できます!

このまま順調に店舗数が増えていけば、ダンデライオン商会の柱となる事業になる事は間違いありません!

本当にありがとうございます!!」


これは本日、ダンデライオン様が出迎えてくださった際、開口一番におっしゃった事でございます。


クレープはこの国では最新の菓子として、身分を問わず一大ブームを巻き起こしているそうです。

食べ歩きができる事や、見た目の斬新さ、もちろん味も受けているようで、平民でも手が届く価格設定がさらに人気に拍車をかけているそうですわ。


カレーライスは、厨房で作ったカレーと炊いたご飯を鍋ごと屋台に運搬し、屋台では注文を受けてから容器によそっているそうです。

その方が作りやすいですし、お客様をお待たせする時間も少なくすみ、より回転率が上がりますので、良い事づくしですわね。

ちなみに、今までこの世界にお米は存在していたのですが、悲しい事に家畜の餌扱いされておりました。

ですが、カレーに合う事が判明して、食べ物として認識されてきています。

まだまだご飯単体ではハードルが高いのか、「カレーと一緒に食べると美味しい物」という認識は続きそうですが…

兎にも角にも、このカレーライスを好んで召し上がる方が多いと聞きます。

前世でも、好きな給食メニュー上位を長年キープしていましたし、多くの国で愛されていた程、カレーは万国共通…いえ、異世界共通(?)で人気が高いメニューなのでしょう。

カレーライス様々ですわ。



カレーライスは屋台で購入後、容器ごとテイクアウトする事ができますので、安息日や、ちょっとご飯を作るのが面倒な時等にも重宝されているようですわ。

そして、カレーライスは1つ1,500フロールと少しお高めの価格設定なのですが、食べ終えた容器とスプーンは、きちんと洗った状態で購入後2日以内に屋台に返却すると、1組につき200フロール返金されるシステムとなっております。


なぜ日付が分かるのかをご説明いたしますと、まず、工場から製造された蓋付きの容器とスプーンが商会に納品されますが、(このために容器製造専用工場まで建てられていた事には驚きましたわ。)納品された容器達を屋台に運ぶ前に、専用の魔法スタンプでその日の日付を蓋と容器、スプーンそれぞれに刻印します。

あ、スタンプのインクは魔力ですし、大きさも直径5ミリと極小サイズです。

スプーンは柄の部分に、蓋は表側に、容器は裏側に押し、確認する際は魔力を翳せば拡大して見る事が可能ですので、衛生上問題はございませんわ。

あとはお客様から注文を受け、その容器にカレーライスを盛り付け、蓋をしてスプーンと一緒にお渡しします。

その日に使用されなかった容器達は、洗浄(クリーン)魔法をかけられた後、初期化(リセット)スタンプを刻印部分に押されます。

次の日の営業前に、その日の日付に変更した魔法スタンプで再度刻印し、優先的に使用される…という仕組みです。


返却された容器達に関しましては、衛生面を踏まえ、使い回しなどは一切しておりません。

きちんと洗って返却されているかを確認した上で、商会でも洗浄(クリーン)魔法をかけ、生産工場へ返却します。

生産工場にて再度洗浄(クリーン)魔法をかけられた後、初期化(リセット)専用の機械に入れられ、日付の刻印の消去と、原料のプラの木の樹液への還元をします。

そうしてまた、新たな容器やスプーンへと生まれ変わるのです。


ちなみに、クレープのワックスペーパーは1枚につき50フロール、コップとストローは1つにつき10フロールの返金です。


これはわたくしがゴミのポイ捨て対策として提案してみましたが、会頭がすんなり採用してくださいました。

回収後の対応も、ただ廃棄処分をしてしまえば環境に悪い影響が出る可能性も考えられましたので、衛生的に再利用出来る仕組みをご提案させていただきました。

その結果、多くの権利登録が発生し、短期間でとんでもない忙しさになってしまったのは仕方がありませんわ…


そしてやはりというか何というか、これらの容器回収は子供達の良いお小遣い稼ぎになっているようです。

まぁ…貴族とか、貴族とか、貴族とか…ご自分で返却する事などございませんものね…ほほほ。



「それでは皆さん、お飲み物はお持ちになりまして?」


委員長による打ち上げ開始のご挨拶が始まりますわ。


「皆さん、創立祭はお疲れ様でした。

わたくし達Cクラスのクレープ屋台は、王立学園創立祭の過去最高売上を記録したそうです!

これもひとえに、クレープを発案してくださったカサブランカ様と、準備に協力してくださった皆様、それに何より、練習に準備に、当日も頑張ってくださったCクラスの皆さんのおかげですわ!

本日はたくさん美味しいお食事やお飲み物を召し上がって、一緒に楽しみましょう!

乾杯!!!」


「「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」」


パチパチパチパチ


委員長のご挨拶を受けて、自然と拍手が起こります。


さぁ!このパーティーを楽しみましょう!

せっかくの立食パーティーですもの…何から頂きましょうか…


「カサブランカ嬢。」


「あら。シクラメン様。ごきげんよう。」



わたくしが何を頂こうか悩んでいますと、シクラメン様に声をかけられました。


「カサブランカ嬢は何を食べるんだ?」


「わたくしですか?

そうですねぇ…

あのお肉はどのようなお味なのでしょう?

頂いてみたいですわ。」


「そうか。では俺も頂こう。

ちなみに、カサブランカ嬢は何を持って来たんだ?」


「わたくしはカレーパンをお持ちしましたわ。

お肉を先日のロックバードではなく、レッドボアに変えて作ってみましたの。

シクラメン様は何をお持ちになられましたの?」


「カレーパン!?

それは先日のカレーのパンなのか!?」


「え…えぇ……

カレーをパン生地で包み、パン粉をつけて揚げたものでございます。」


シクラメン様、すごい勢いですわ…

一体どうなさったのでしょう…?

簡単にカレーパンについて説明してみましたが、カレーはご飯で楽しまれたい派でしたのかしら?


「はっ!すまない!

先日のカレーライスがとても美味だったのでつい…

ダンデライオン商会の屋台のカレーライスも頂いたんだが、どうも貴女が作ったカレーとは違う気がして、しっくり来なかったんだ…」


おや。珍しい。

シクラメン様、お顔が真っ赤ですわ。

なんだかかわいい…

あーではなくて、イケメンが照れた顔って破壊力がすごいですわねー。


カレーに関しましては、わたくしもインターネットで調べたレシピに全力で乗っかって作っただけですので、特にコツや隠し味などの違いは無いと思うのですが…?

まぁ、あんなに勢いよく召し上がっていましたものねぇ…

お気に召したようでなによりですわ。


「よろしければ本日お持ちしたカレーパンも召し上がってみてくださいまし。

たくさん作って参りましたので個数制限はございませんことよ?」


「ありがとう!早速頂こう!!!」


ちょっと意地悪っぽく言ってみましたが、シクラメン様は勢いよくカレーパンに向かって突進して行きました…


動きが素早すぎて一瞬転移したのかと思いましたわ…



「何だこれは!美味い!!!」


…そして声が大きいです。

それに、召し上がりながら大きい声は出す物ではございませんわ…


シクラメン様だけではなく、カレーパンは皆んなに好評の様で、気付けばお皿の上からもう無くなっております。


わたくしは慌ててバックの中(の亜空間収納)から、追加分のカレーパンをお皿の上に乗せました。



「カサブランカ様。」


「委員長、ごきげんよう。」


追加分のカレーパンをお皿の上に乗せ終え、ひと息ついたところで、後ろから委員長に声をかけられました。



「カレーパン、頂きました。

とても美味しかったですわ。

家族へのお土産に何個か持ち帰りたいと考えておりますが、よろしくて?」


「ええ、是非。

ご家族のお口に合えば幸いですわ。」


「ありがとう。

ですが、美味しすぎて、皆さんすごいペースで召し上がっていらっしゃるから、頂いて帰る分が確保できるかは分かりませんわ…」


カレーパンは委員長のお口にも合ったようで、ご家族へのお土産分を持ち帰るための許可を確認しにきてくださった様です。

しかし、皆んなカレーパンをお気に召してくださっているのか、カレーパンが減るペースが早すぎて、委員長もお土産分を確保する事を躊躇っていらっしゃるご様子ですわ。



「あら。それならこちらでお渡ししますわ。

皆んながどのくらい召し上がるか分かりませんでしたので、たくさん作って参りましたのよ。

何個お持ちになりますの?」


「まぁっ!ありがとう!

それでは、12個頂いてもよろしくて?

兄と弟が好きそうなので、少し多めに頂きたいの。」



美味しい物をお土産に持ち帰りたいと思われる委員長の優しさを感じますわ。

本当に、委員長のご家族は仲がよろしいのですね。

とても素敵ですわ。

わたくしも自然と顔が綻びます。


確かお兄様は今年から文官として出仕なさっていて、弟君は王立学園の1学年でしたわね。

創立祭ではご家族でクレープ屋台にいらっしゃいましたが、どちらも委員長に似て綺麗なお顔立ちのイケメンでしたねぇ。

そしてお2人共、委員長と同じオレンジがかった茶髪にアイスブルーの瞳で、ラナンキュラス伯爵と同じ色彩でしたわ。

伯爵夫人はオレンジ色の髪にアクアブルーの瞳でしたが。


お兄様と弟君は、背が高く細身で、見た目にはそんなにたくさん召し上がるようには思えませんでしたが…



「それでしたら、20個でいかがです?

もし余ったら使用人の方に回して頂いてもよろしいですし。」


確か、委員長がお持ちのマジックバックは、容量が多く、時間停止機能もついていたはずですわ。

授業の際も、バックの中から教材を取り出していらっしゃいましたし、昼食をご一緒する際も、バックからお食事を出されていらっしゃいましたもの。

カレーパン20個のお持ち帰りをご提案しても、ご迷惑にはならないはず…ですわ。

わたくしは委員長にカレーパン20個を乗せたお皿を差し出します。



「まぁ…そんなに頂いてもよろしいんですの?」


「えぇ。もちろん。

委員長にはいつもお世話になっておりますし。

こういう形でしかお返しができませんが。」


「カサブランカ様、本当にありがとう。

ではありがたく20個頂きますわ。

それと…以前から思っているのですが…」


委員長は、個数への配慮をしてくださいましたが、わたくしが問題ない旨をお伝えすると、笑顔でご家族へのお土産用のカレーパン20個を受け取り、お持ちのマジックバックへ仕舞われました。

そして、少し言いにくそうにお話を切り出されました。



「何でしょう?」


「クロエさん…と呼んでもよろしくて?

以前からずっとお友達になりたいと思っておりましたが、なかなか勇気が出なくて…

今更ではありますが…」


ええーーーーーー!?なにそれ!?

かーーわーーいーーいーーーー!!

普段の委員長からは想像できない程お顔を真っ赤になさって照れていらっしゃるお姿はとても庇護欲をそそりますわ!



「嬉しい!

わたくしも是非お友達になりたいですわ!

クロエでよろしくてよ。

わたくしもベロニカとお呼びしたいのですが、よろしくて?」


「嬉しい!是非!」


委員長…ではなくて、ベロニカがあまりにも可愛くて思わず抱きついてしまいましたが、抱きしめ返してくれてとても嬉しいですわ。



「えぇーーー!ずるーい!」


ん?

ベロニカと2人抱き合っていましたら、横から少し拗ねたようなお声がかかりました。

ベロニカと2人でそちらに視線を移しますと、ポピー様がいらっしゃいました。


「「ポピー様。」」


ベロニカと思わずハモってしまいましたわ。



「良いなー!私も入れて欲しい!!

私もお2人とお友達になりたいです!」


「あっ!ポピー様ずるいです!

私だってお友達になりたいです!」


「俺も。」


「俺も!!」

「僕も!!」

「わたくしも是非!」

「私もー!」



ポピー様のご要望に、パンジー様が素早く反応し、その後、皆んなが順々に賛同なさいました。

思わずベロニカと顔を見合わせ、お互いに笑みがこぼれてしまいましたわ。

ベロニカと抱き合っていた体勢から元に戻り、わたくしとベロニカは皆んなに笑顔を向けます。



「ふふっ。

えぇ。是非。わたくしも皆さんとお友達になりたいですわ。」


「わたくしもですわ。

よろしければわたくしの事は委員長ではなく、ベロニカと呼んでくださらない?」


「わたくしの事はクロエと。」


「「「「「「「もちろん!!!」」」」」」」



わたくし達のお願いに、クラスの皆んなが笑顔で頷いてくださいましたわ。

その後、クラス全員で、それぞれを名前で呼び合う事になり、今まで以上に打ち解けてお話する事が出来ましたし、とても楽しい時間を過ごす事が出来ました。

よくよくお伺いしてみた所、皆んな前々からわたくし達とお友達になりたいと思ってくださっていた様で、ベロニカとわたくしが友達になった所を見て、皆んながその思いを伝えてくださったそうですの。

こんなに嬉しい事はございませんわ!


クラスメイト全員とお友達になる事ができて、今日は素晴らしい日となりました。


わたくしは将来この国から出ていくとはいえ、学園生活を犠牲にする気なんてさらさらございません。

せっかく皆んなとお友達になれた事ですし、青春を謳歌しようではありませんこと?


学園を卒業した後も、皆んなとは気軽に会えるようにしたいですわね。




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