第22話
わたくし達Cクラスの面々は教室での準備を終え、食堂に移動して参りました。
食堂の厨房にて、300枚分のクレープ生地とカスタードクリーム、ホイップクリーム、キャラメルクリーム用のリボン状のキャラメル、リンゴのキャラメリゼを作り、フルーツのカット、バターの切り分け、飲み物の用意も行い、中庭に設置した屋台に、材料のセッティングとドリンクディスペンサーへのドリンクの充填も完了いたしました。
それにしても、屋台とはいえ、大きく作って頂いて助かりましたわ。
屋台はコの字に作られておりまして、わたくし達側から見まして左側に焼き台と作業スペースを2つずつ、正面左側に焼き台と作業スペースを1つずつ設けています。
焼き台の右斜め前に、生地を入れた容器を置いております。
この容器は、中の物の温度を常に10℃に保てる様に、魔石を練り込んだ特別なプレートを使用して作られております。
焼き台の下には、深めの引き出しを設置し、先程と同じ容器に入れた生地のストックと、お砂糖が入った容器を入れています。
焼き台の左隣にある作業スペースも先程のプレートを敷いているため、10℃に保たれており、左前方にはお砂糖、左側にはワックスペーパーとお皿、前方には、こちらも中が10℃に冷やされたケーキ屋さんのショーケースの様な透明の箱を設置し、カットしたフルーツとバター、キャラメリゼしたリンゴをそれぞれ容器に入れて置き、固定してある透明な筒状の部分にさした状態の、絞り袋に入ったクリーム達を入れています。
作業スペース下には冷蔵庫(といっても、この世界に存在しませんので、先程のプレートを使用して作ったもどきですが。)を設置し、フルーツやバター、クリーム等、先程のショーケースの中に入れている材料のストックを保管しております。
後方から補充する際は冷蔵庫に入れ、ショーケース分が無くなりそうになったらここから移します。
残りの正面部分はご注文とお会計、商品をお渡しする接客スペース。
台の上には絵を付けたメニュー表を置き、お客様がご注文なさる際、商品をイメージしやすいように工夫しております。
こちら側から見て、メニュー表の左隣には注文伝票を置き、お客様がご注文なさった商品を記入し、会計の際に使用します。
ご注文頂いた商品をお渡しし終えましたら、こちら側から見て右側に置いた伝票差しに刺していきます。
お金が合わない等のトラブル防止に役立つと考えご提案しました所、会頭にしつこく尋問されたのは記憶に新しいですわ…
台の下には2段の引き出しを2組設置し、上の段の引き出しはわたくし達Cクラスの者しか開けることができないように誓約魔法をかけております。
ここにはお金を入れ、レジのキャッシュドロアの様に使用します。
レジもどきですわね。
創業祭終了後はダンデライオン商会の方しか開けることができない様に誓約者の名前を変更する予定ですが。
下の段は誰でも開けることができます。
こちらにはシュガーバター用のナイフとフォーク、クレープのスタンド、トレーを入れ、必要に応じて使用する予定です。
屋台右側はドリンクディスペンサーを6台置いています。
このディスペンサーも先程の特別なプレートを使用しておりますので、中身は10℃に保たれ、いつでも冷たい飲み物を提供できる優れ物ですの。
こちらも台の下に引き出しを設置し、コップとストローのストックを入れております。
……実は、このコップとストローは、プラの木というこれまたご都合主義万歳な木の樹液から作られた物です。
あ、先程のショーケースと絞り袋を立てておく透明な筒もそうでしたわ……
グラスですと、誤って倒してしまった際に割れてしまう危険性がございましたので、手軽に使える物を調べていた所、プラの木というぴったりの木を見つけました。
魔法薬学のサンダルウッド先生にご相談しましたら、とても貴重な植物図鑑をご紹介してくださいましたの。
サンダルウッド先生様々ですわ。
その後、ダンデライオン会頭にご相談しまして、あっさりとこのプラの木の樹液を使った軽くて強度のあるコップと、適度に柔軟性のあるストローが出来上がりました。
植物性ですから、環境にも優しい代物ですわ。
閑話休題。
焼き台と作業スペースを3つずつにしたのは、1つずつしか設置しなかった場合、もしもお客様が多くご来店されれば調理係の負担が大きくなり、パニックになりかねないと考えたためですわ。
皆んな練習を重ねたとはいえ、プロではございません。
常に冷静さを失わずに接客を行うことが出来ますよう、クラスミーティングで屋台のデザインを話し合った際に、こちらからの希望として会頭にお願いいたしました。
接客スペースも広く取っておりますので、同時に2組ご対応出来ます。
お客様をお待たせする時間を少しでも減らせるよう、出来る限りの工夫はしたつもりですわ。
接客やクレープ作り、ドリンクの担当は合計9名ですが、お客様が多くなると注文間違いや伝達ミス、作り間違い等も考えられましたので、全体を把握し、ミスを極力減らすために、9名の少し後ろにフォロー役を2名付ける様に配置しております。
残りの19名で、できる限り材料を作り、足りなくなった物を屋台まで運ぶ裏方の役目を担います。
その後、休憩を5名ずつ取りますので、その際は裏方は14名ずつで運営する予定ですわ。
こちらの屋台で提供するメニューは以下の通りです。
クレープ
・シュガーバター 400フロール
・キャラメルとクリーム 500フロール
・イチゴとクリーム 700フロール
・モモとクリーム 700フロール
・モモとカスタード 700フロール
・キャラメルリンゴカスタード 800フロール
・クレープブリュレ 800フロール
ドリンク
・アイスティー 200フロール
・レモネード 200フロール
・ジンジャーエール 200フロール
ちなみにフロールというのはこの国の通貨単位ですわ。
日本円の1円=1フロールと認識して頂いて大丈夫だと思います。
この世界に紙幣は存在せず、硬貨のみとなります。
1フロール=鉄貨1枚
10フロール=銅貨1枚
100フロール=大銅貨1枚
1,000フロール=銀貨1枚
10,000フロール=大銀貨1枚
100,000フロール=金貨1枚
1,000,000フロール=大金貨1枚
10,000,000フロール=白金貨1枚
100,000,000フロール=大白金貨1枚
金種は、この様な感じですわ。
実際に貴族であっても白金貨以上はそうそうお目にかかれない代物ですけれど。
ミーティングで値段を決める際、この価格は安すぎるとダンデライオン会頭に猛反対されましたが、学園の創立祭ですし、プレオープン的な意味合いも兼ねていると申しましたら渋々ですが納得してくださいました。
材料費はダンデライオン商会様が大量に仕入れてくださっていますので、かなりお安く済んでおりますし、十分に利益は発生します。
屋台で売るものですし、あまり値段を高くしすぎても逆に客足が遠のくのではないかと一言添えましたら、ものすごく納得してくださいましたわ。
「「「「「「「カサブランカ嬢(様)〜!」」」」」」」
おっと。
皆さんもう集合なさってましたのね。
わたくしは皆んなの元へ急ぎます。
「お待たせして申し訳ございません。」
「いいえ。そんなに待っておりませんわ。
それでは、去年同様、円陣を組みましょう。」
委員長の号令で、全員で円陣を組みます。
クラス皆んなでこれから5日間頑張りますので、気合いを入れ、士気を高めるためです。
去年、これを提案してクラス全員でやってみました所、皆んな気に入ってくださったようで、何かとこの円陣を組むのがCクラスの恒例となりました。
「ではカサブランカ様、掛け声をお願いします。」
「え〜委員長からご指名をいただきましたので、掛け声をかけたいと思います!」
今までおよそ半年間、それぞれ忙しい中欠かさずミーティングを行い、この日のために準備をして参りました。
絶対に、成功させますわ!
わたくしは一人一人の顔を見て、掛け声をかけます。
「皆さん、今日は創立祭初日です。
これから5日間、体調に気をつけて、今年の創立祭を楽しみ、そして、このクレープ屋台を成功させましょう!
Cクラス!行くぞ!!!」
「「「「「「「おーーー!!!」」」」」」」
ポンッポンポンポンッ
「ちょうど開始の空砲が鳴りましたわね。」
「そのようですわね。」
委員長とハイタッチをしていましたら、丁度開始の合図の空砲がなりました。
さあ!クレープ屋台、頑張りましょう!!!




