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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第21話



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。


本日は土の月1日。

王立学園創立祭1日目ですわ。


わたくし達Cクラスの面々は今、クラスの教室で着替えや準備をしている所です。



土の月は、ここフローレン王国では重要な月のひとつで、別名、恵みの月ともいわれております。

多くの植物が実を結び、収穫の季節を迎えるためです。

収穫が終わる月末。つまり土の月30日(第5安息日)には、国を挙げて収穫祭が行われます。


ここ王立学園では、毎年土の月1日から5日までの計5日間創立祭が行われ、収穫の季節をこれから迎える風物詩としてフローレン王国では認識されております。

在校生や保護者はもちろん、卒業生やこれから入学を希望している方等、身分を問わず様々な方がいらっしゃいます。



わたくし達2学年Cクラスは、中庭に出店スペースを設ける許可をもぎ取りましたので(持つべきものは頭の切れる委員長ですわ。絶対に敵に回したくありません。)、そちらで屋台を設置し、クレープを販売します。


中庭は元々テーブルセットも置いてありますし、ガゼボもございます。

創立祭の期間中は休憩スペースとしても開放されておりますので、クレープや飲み物を召し上がりながらゆっくりと過ごして頂けるかと思いますわ。

場所も食堂のすぐそばにありますので、生地やクリーム、フルーツのカット等食材の準備はそちらの調理スペースを使わせて頂く事になっておりますの。



花の月の最初のミーティングから月に一度、第3安息日のミーティングに加え、夏季休暇中は毎週安息日にダンデライオン様の邸宅にお邪魔して、クラス皆んなで練習と準備に取り組んで参りました。

最初は皆んな生地を焼くのに苦労なさっていましたが、練習を重ねるうちにコツを掴み、上手く焼けるようになりましたの。

おかげさまで全員が全ての工程を熟す事ができる様になりましたので、手が足りない所に誰が加勢しても問題ありませんし、休憩を取る際も組み合わせを考える必要がありません。


屋台の装飾や衣装、メニュー等も皆んなで決めて、屋台や調理器具はダンデライオン商会が用意してくださいました。

この創立祭での出店が終了する翌日には、ダンデライオン商会でクレープ屋台を開業予定ですので、会頭が無償で快く引き受けてくださいましたの。

屋台は創立祭終了後、ダンデライオン商会のクレープ屋台第2号として第二の人生(?)を歩む予定ですわ。



衣装につきましては、有名デザイナーにご協力いただきました。

実は、クラスメイトのラバンディン様のお母様がここフローレン王国で有名なデザイナーでして、優秀なお針子を200名も抱える国内最大手のオートクチュール店を経営なさっていますの。

衣装の準備期間が丁度繁忙期を外れ、ご協力いただいたとしてもお針子さんのお仕事に支障が出ない時期でしたので、こちらも快く引き受けてくださいました。


水の月のクラスミーティング時に、ダンデライオン様の邸宅にお針子さん達とご一緒にお越しくださいまして、クラス全員の採寸を行い、デザインを皆んなと一緒に考えてくださいましたの。


そして、出来上がったのがこちらの衣装ですわ。

トップスはインディゴブルーのデニムシャツ。

長袖ですので、袖が邪魔にならない様にわたくしは肘位まで捲っております。

ボトムスは、男性は紺色のスラックス、女性は紺色のナロースカートを選択した方が多いですわね。(好きな方を選択できるようにしましたわ。)

エプロンは腰で巻くアイボリーのギャルソンエプロン。

丈は脛位までのロング丈でお願いしました。

足元はスラックスを選択した方は黒のレースアップシューズ。ナロースカートを選択した方は黒のタイツに黒のアンクルブーツ。

で統一しております。


本当は靴も安全靴かスニーカーが楽で良かったのですが、この世界にはどちらも存在しませんので、靴に関しましてはこちらで落ち着きました。

…といっても、デニムシャツもそうですが、ギャルソンエプロンもナロースカートもレースアップシューズもこの世界には存在しないものですので、わたくしの意見を発表した際にマダム・ラバンディン(ラバンディン様のお母様ですわ。)にものすごい勢いで質問攻めに遭いまして、結局わたくしの意見が採用されてしまいました。

せっかくマダム・ラバンディンにデザインして頂いていましたのに…

ラバンディン様に謝罪しましたら、苦笑いされながら「アトリエに戻った後、新しい素材やデザインに出会えて良い刺激をもらったって生き生きしながら仕事してるから気にしないで。」と言われました…


閑話休題。



わたくしは教室の一角にある更衣室にて制服から衣装に着替えた後、席に着き、髪型を変更します。


机の上に卓上用の鏡を置き、バームとスカーフも鏡の隣に置きます。


髪型はハーフアップにしていたため、それをほどき、バームを少量指先に取って髪全体に揉み込み、低めの位置でお団子にします。

ラフな毛束感も作って、前髪はセンターで分け、サイドに流します。

元の髪が緩やかにウェーブがかっていますので、柔らかい印象になると思いますの。

そこにスカーフをヘアバンドの様に巻いて結べば…完成です!!


うん!良い感じですわ!



「うわぁ!カサブランカ様の髪型、とても素敵です!!!」


ん?

突然、後ろから話しかけられましたので振り向きましたら、ポピー様と委員長がいらっしゃいました。



「ポピー様、委員長。」


「カサブランカ様、その髪型とても素敵ですわ。

わたくし達にも結い方をお教え頂けませんこと?」


自分でアレンジしたヘアスタイルを褒めて頂けるのはとても嬉しいことですわ。


「お二人共、ありがとうございます。

スカーフをお持ちでしたら、僭越ながらわたくしが髪型を変更させて頂きますわ。」


「よろしいんですの!?嬉しい!

スカーフは持っておりますわ。」


「私…大きめのハンカチしか持っていません…」


委員長は笑顔で喜びを表現なさった後、お手持ちのスカーフを見せてくださいました。

ポピー様は本日はスカーフではなく大きめのハンカチをお持ちの様で、肩を落とされてしまわれましたわ…


……それならば。



「ポピー様、その大きさのハンカチであれば十分ですわ。

お二人のヘアアレンジを一度には出来ませんので、お一人ずつしましょう。

では、委員長から。

ごちらにおかけくださいまし。」


わたくしは席から退き、委員長にわたくしの席を勧めます。


「えぇ。お願いします。」


委員長は笑顔で着席してくださいました。

お預かりしたスカーフを机に置いて、鞄(に、仕込んだ亜空間収納)から追加で髪紐とコテを取り出し、スカーフの横に置きます。


このコテは、錬金術の授業にて作成した物で、動力源は魔石のため、コードレス仕様ですわ。

持ち手の中に光属性の魔石を入れておりまして、それを電力代わりにコテ部分の温度を上げ、髪の毛を巻く事が出来ます。

雷魔法は光属性ですので、もしかしたら電力としても使用出来るのではないかと思って作ってみましたら、ビンゴでしたわ。

コテを使用する際に持ち手を握りますが、その時に魔力を流せばコテ部分の温度を上げる事ができます。

流す魔力の量によって、温度の上昇も変わる仕様にしております。

魔力を流すのを止めると、温度が下がり、電源を切った状態になりますの。


失礼。脱線してしまいましたわ。



この学園に通う女性の髪型といえば、ハーフアップ。

別に校則で髪型が決まっているわけではございませんが、ハーフアップや編み込み等が貴族令嬢の間で流行しているため、平民の生徒も自ずとハーフアップになるのかもしれません。


委員長は落ち着いた雰囲気の優しく芯の通った女性ですし、美しいストレートロングヘアの持ち主ですので、わたくしと同じ髪型にするよりも、真ん中辺りの高さでひとつ結びをして、そこにスカーフを巻き付けて半分ほど毛先が見える様に結びましょう。

前髪は…顎くらいまであったのですね…

いつもオールバックにされていたので長いだろうとは思っておりましたが…

でしたら、わたくしと同じようにセンター分けにして、ゆるく巻いてニュアンスを出して、オイルとバームを混ぜたものを少量馴染ませれば…完成ですわ。



「委員長、いかがでしょうか?

委員長の清楚な雰囲気と、美しいストレートヘアを活かす髪型にしてみましたが…」


委員長に髪型の仕上がりを確認してもらいます。


「これが…わたくしですか?

なんだか見違えるようです…

カサブランカ様、ありがとう。」


おぉ…!

クレバー美人の微笑み、ゲットしましたわ!

気に入って頂けてなによりです。


委員長は仕上がりに満足してくださった様で、最初は驚いていましたが、やがて笑顔で御礼を仰ってくださいました。


「どういたしまして。

気に入って頂けたのであれば、嬉しいですわ。」


わたくしも嬉しくなって思わず微笑み返してしまいましたわ。



「あの…カサブランカ様……

私もお願い出来ますか…?」


委員長と微笑みあっていましたら、ポピー様がおずおずと話しかけてこられました。

なんてこと。

ポピー様、大変失礼いたしました。

わたくしはポピー様に向き直って、笑顔で席へ誘導いたします。



「ポピー様、お待たせいたしました。

どうぞ、こちらにおかけくださいまし。」


「はい!お願いします!」


ポピー様は笑顔で元気いっぱいに頷きながら着席なさいました。

委員長は笑顔で隣の席に移動し、着席なさいます。


ポピー様はセミロングのふわふわヘアの持ち主で、いつも元気いっぱいな可愛らしい方ですし…ポニーテールが似合うのではないでしょうか?

まずは少量のバームを髪の毛全体に馴染ませて、少し高めの位置でひとつに結び、結び目の上から髪紐を隠すように大きめのハンカチを巻いて…最後はうさぎの耳のようにピンと立たせて可愛らしさを演出します。

前髪は、いつもと印象を少し変えて、落ち着いた雰囲気にしてみましょう。

要するに、わたくし達と同じ前髪ですわ。

これならいつもの元気で可愛らしい雰囲気もあり、でも子供っぽすぎないバランスになると思いますの。


「ポピー様、いかがでしょう?

いつも元気で可愛らしいポピー様をイメージした髪型にしてみましたが…」


ポピー様にアレンジの出来栄えを確認していただきます。



「わぁ!すごーい!

ハンカチを巻くだけでこんなに可愛くなれるんですね!

前髪もお二人とお揃いでとても嬉しいです!

カサブランカ様、ありがとうございます!!」



ポピー様は笑顔で感嘆の声を上げられた後、元気いっぱいに御礼を仰ってくださいました。

隣でご覧になっている委員長も感想を述べられます。


「ポピー様の栗色の髪色に赤いハンカチのリボンがよく映えて素敵ですわ。」


「どういたしまして。喜んで頂けてわたくしも嬉しいですわ。」



わたくしも委員長に続き、笑顔で返します。


委員長にもポピー様にも喜んでいただけて、わたくし、とても満足ーーーーー



「「「「「あの…カサブランカ様…」」」」」


「はい?」


「「「「「わたくし達もお願いします!!!」」」」」


えぇーーー!!?

振り返ると、クラスメイトの女生徒全員が、わたくしの後ろに並んでおりました…




その後、クラスの女生徒全員分のヘアアレンジをせっせと頑張りましたわ…


楽しかったですし、皆さん喜んでくださったので嬉しいのですが…


12人分を一度にまとめてだなんて、多くありませんこと!?

わたくし、素人なんですけどーーーーー!!!




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