第17話
ごきげんよう。
クロエ・カサブランカでございます。
本日は花の月4日。
わたくしは今、マイハウスのリビングにて、学園の授業を見学しております。
わたくし達2学年の生徒は、これから履修する授業を選択する期間中のため、2日から本日までは自由登校となっております。
わたくし以外の方は、直接興味をお持ちの授業が行われている教室へ赴き見学なさっておいでですが、わたくしは観察がございますので、マイハウスで見学しておりますの。
観察って、便利ですわよねぇ…
先程まで魔法生物学の授業を見学しておりまして、今は魔法薬学の授業を見学している所です。
どちらもとても興味深く、楽しそうな授業ですわ。
1学年では基礎を学んでおりましたが、2学年以降は実技を交えたより専門的な授業へとステップアップし、内容もより難しくなっていきますが、魔法生物学も魔法薬学も、楽しく受講できそうです。
わたくしは将来この家で暮らし、喫茶店をオープンする事が夢ですので、正直に申し上げますと、将来の為に選択する科目は店舗経営学くらいだと思っておりますの。
ですので、あとの9科目は興味深い科目を選択しようと考えております。
先程見学した魔法生物学は決定ですわね。
用紙に記入しておきましょう。
現在モニターに映っている魔法薬学の授業では、3学年の先輩方が楽しそうにポーションを作成なさっています。
作成しているのは中級の体力回復ポーションのようで、材料となる薬草を下処理し、聖水と一緒に専用の鍋に入れ、弱火にかけながら専用の棒でかき混ぜています。
かき混ぜながら魔力を少しずつ流し込むのがポイントのようです。
ボンッ!!
『わっ!!!』
ん?今のは何の音ですの?
『おや。それは失敗じゃな。
魔力を一気に流してしまったのではないかな?』
『うう…すみません……
加減を誤ってしまい、一度に大量に魔力を流してしまいました…』
なるほど。
どうやら、先程の音はお鍋の中身が爆発した音だった様ですわ。
視線を移しますと、先程の先輩の鍋からは黒い煙がもくもくと立ち上り、鍋の中はまるで焦げたように薬草が真っ黒になっております。
先生のご指摘通り、先輩は魔力を流す加減を誤ってしまわれたようです。
ぽぁぁぁぁっ!
『出来た!』
『私も出来ました!』
『僕もです!』
おぉっ!
完成すると、お鍋の中が光り、水色の液体に変化していました。
これが中級の体力回復ポーションですのね。
とても綺麗ですわ。
無事に作成し終えた先輩方から完成のご報告が続きます。
『ほっほ。皆、上出来じゃ。』
先生は満足げに先輩方を褒めます。
先程失敗なさった先輩が、落ち込んでしまわれました。
しかし先生がすぐさま先輩の様子に気づかれ、先輩を励まされます。
『気にするでない。
失敗は誰にでもある事じゃ。
この失敗を糧に、次からは気を引き締めて取り組めば、大丈夫じゃろて。
怪我がなくて何よりじゃ。』
『……っはい!
先生、ありがとうございます!』
『ほっほ。では、次にーーーーーーー』
先生の一言で、先輩の表情が一気に明るいものへと変わりました。
先生は、そんな先輩を暖かい眼差しで見守られた後、振り返り、教室にいる皆様に向けて次の指示を出されました。
その後は中級魔力回復ポーション、中級ダメージ回復ポーションも作成し、授業は終了しました。
スッ…
授業が終了したため、モニターを消します。
魔法薬学のサンダルウッド先生は、いつも冷静で穏やか、その上優しいおじいちゃん先生です。
紫色の瞳は常に優しく生徒を見守っていらっしゃいます。
腰ほどまである見事な白い髪は背中辺りで一つに結んでいらっしゃって、長いお髭も白くて立派です。
とんがり帽子にローブを身に纏った、一目見ただけで魔法使いと分かる見た目をなさっています。
知識も豊富で、王立学園の生き字引の様な存在であり、数学のマグオート先生同様、生徒からの人気も人望もある先生です。
また、他の先生方からも尊敬の念を向けられている素晴らしい先生ですわ。
魔法薬学を専門となさっていますので、担当クラスも持っていらっしゃいませんし、授業を受ける事ができるのは魔法薬学を選択するしかございません。
このような素晴らしい先生に師事していただける機会はそうそうございませんわ。
魔法薬学もぜひ選択いたしましょう。
1日の説明会では、魔法薬学の授業では実際に薬草を育てたり、ポーション作りをなさるとの事でしたから、今から受講が楽しみです。
魔法生物学も魔物や魔獣の生体等を学んだり研究したりする授業の様で、ファンタジーならではですわよね。
これは選択しないなんて選択はあり得ませんわ。
それから、錬金術も選択しましょう。
子供の頃に抱いた疑問、化粧水の存在についてですが、調べた結果、この世界には存在しておりませんでした。
当然ながら、洗顔料やクレンジング、シャンプー、コンディショナー、日焼け止めなど…挙げればキリがありませんが。
どうやらこの世界の方は、全身香油を塗ってお手入れなさっているようです。
わたくしはネットショッピングで購入した物を使用しておりますが、ひとりだけそういった物を使用していると目立ってしまいます。
マイハウスにはネットショッピングで購入した物を堂々と置いていますけれども。
ちなみに公爵邸の自室に私物は一切置いておりません。
あるのは最低限の家具だけ。
全てマイハウスで支度した後、公爵邸の自室へ転移しますので、今や待機場所でしかありませんもの。
錬金術を履修し、シャンプーや化粧水を始め、必要なケア用品をこの世界で作ってしまえば市民権を得られて、堂々と使う事ができるのではないでしょうか?
上手く出来たらしれっと売っちゃいましょう。
…安易な考えかもしれませんが、やれるだけやってみたいと思います。
あとはそうですわねぇ…
数学は、店舗経営学で計算も入ってきますので正直取らなくても良いと思いますの。
図形の計算も一応は前世で習いましたし。
歴史も王国史は王太子妃教育で散々受けましたし、もう受けなくても十分かと思っております。
あ、地理は取りたいですわね。
[花盛りの君に愛を捧ぐ]のファンブックには掲載されていなかったこの世界の美しい景色をたくさん見たいと思っておりますので。
この世界の地理を把握しておけば、よりたくさんの景色を見に行けるのではないかと思いますわ。
その時はネットショッピングでカメラを購入して、自分だけのフロンティア絶景写真集を作っても良いかもしれません。
夢が膨らみますわ!
魔法薬学と錬金術、地理も用紙に記入し、次に見学する授業を考えます。
「[観察]」
ヴォン…
シュッ…シュッ…
再度モニターを表示させ、スライドでザッピングをしながら次に見学する授業を決めようとしましたらーー
『レオンが魔法実技を取るなら私も取ろうっと!
色々教えてね!!』
『あぁ、機会があればな。』
『マリナ!僕、魔法得意だから色々教えてあげるよ!』
ーーヒロインと攻略対象御一行様が廊下を移動している所に遭遇しましたわ。
あちらはわたくしの事は見えていませんが。
と、いうより…
ヒロインの一人称が『私』になっていましたわね?
先日の学年末試験の結果発表の際は『あたし』と言っていたはずですが?
……推察でしかございませんが、『私』を使用している時は猫を被っているのでしょうか?
本性が現れると『あたし』になる…とか?
まぁ、どうでも良いですわね。
会話の内容として、ヒロイン、王太子、魔法師団長令息は魔法実技を取る様子。
残念ながら魔法実技は無しですわね。
正直に言いますと、一番ファンタジー感がありますので、選択しようか迷っておりましたが…目標のために魔法は使えない設定を貫いている最中ですし、ここは我慢して選択はせず、どのような授業なのか観察をさせていただくだけに留めましょう。
まぁ、習わなくともロディや創造神様の恩恵でどんな魔法でも失敗せずきちんと行使できますので、問題ありませんわ。
乗馬も取ってみたかったのですが、騎士志望ではありませんし、学年末試験でも体術は最低限の成績しか残しませんでしたので、こちらは選択できません、
乗馬はご縁があれば挑戦することにいたしましょう。
その後、様々な授業を同時に観察し、悩みながらも何とかあとの5科目も決め、提出用紙を書き終えました。
ふぉっ!?
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たくさんの方にご覧いただいて嬉しいです!
嬉しすぎてつい小躍りしちゃいました…(汗)
これからも皆様に楽しく読んでいただけますようポチポチ頑張りますので、暖かく見守っていただけますと嬉しいです。




