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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第16話



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。


本日は花の月1日、入学セレモニーの日です。


今年の新入生達が続々とメインホールへと向かっているのを横目に、わたくし達2学年の生徒は大講義室へ向かいます。


2学年、3学年での授業の説明会があるためですわ。


大講義室は、教壇が一番低く、後ろの席に行くに従って一段ずつ高くなっている階段教室です。

2名用の(と言いましても、幅としては3名でも着席は可能ですが。)木製の長机と座り心地が良い長椅子が8列、25段ずつあり、教壇の前と左右をぐるりと囲んでいる不思議な空間でございます。

収容人数は400名だそうですが…

王立学園の全校生徒は360名ですのに、そこまで大きくする必要はございましたのでしょうか?


何はともあれ、わたくしはCクラスの割り当てスペースに着席します。


着席スペースはクラス毎に割り振られており、教壇から見て左側2列がわたくし達Cクラス、右に向かうに連れて、Aクラス、Sクラス、最後に教壇から見て右側2列がBクラスとなっております。


わたくし達Cクラスの面々は何とか全員進級出来ましたが、Bクラスは2名、Aクラスは1名少ないようです。

Sクラスは…あら。

ヒロインの姿がございましたわ。

彼の方、進級出来ましたのね。

学年末試験では全科目再試験でしたのに…やはりやれば出来るのではなくて?

それならば普段からきちんと勉強に取り組んでおけば何の問題もなく攻略に専念出来そうなものを…

さすがに、生徒会メンバーの証である制服の右上腕部辺りに着ける腕章はございませんわね。

よりにもよって大事な学年末試験で全科目最下位を取ってしまわれたのですから、仕方ありませんわ。

むしろSクラスから落とされなかった事が奇跡的ではありませんこと?

どうかそのままSクラスをキープして、王太子を攻略してくださいませ。


閑話休題。



説明会では、各教師より担当の科目について説明を受け、5日までに希望する科目10科目を記入した用紙を各自クラスの担当教師に提出しなければなりません。

3年生は明日から授業が始まりますので、明日から3日間はそれぞれの科目の見学等も出来ます。

気になっている授業は見学し、選択の参考にいたします。


担当教師とクラスは3年間一緒ですので、ロッカーもクラスの教室にありますし、空き時間を過ごす事もあります。

わたくしは教材など必要な物は全て亜空間収納に入れているため、ロッカーは使用しておりませんが、マジックバックを持たない方はロッカーにたくさんの教材や手荷物を入れていらっしゃいますので、そのような方は教室を利用する頻度は高いかもしれません。


とにかく、わたくしも期限ギリギリまでできる限り多くの授業を見学して、興味ある科目を選択したいと思います。

騎士系の科目以外は選択するための条件は特にございませんので。



説明会が終わりクラスの教室へ移動した後、ホームルームでクラスの話し合いが行われました。

議題は、今年の王立学園創立祭でのクラスの出し物についてです。



王立学園創立祭でのクラスの出し物に関しましては、1学年では必須でしたが、2学年以降は選択した授業やクラブ活動での出し物をする事もございますので、クラスでの出し物は任意となります。

会う機会も減り、自然と繋がりが薄くなるため、出し物をしないクラスが大半を占めるそうですが、仲が良いクラスは出し物をする事もございますので、その際は自主的に集まり、準備もクラスの教室で行ったりするそうです。

創立祭は土の月に行われますが、2学年からはホームルームの回数もグッと減ってしまうため、今の内に話し合っておかなければなりませんの。



「今年の創立祭は、クラスでの出し物はいかがいたしましょうか?

昨年の屋台は好評でしたが、皆さんの意見をお聞かせくださいませ。」


教室の教壇に立ち、話し合いの進行のためにこう仰るのは、クラス委員長のベロニカ・ラナンキュラス伯爵令嬢です。

すごいですわよね。

お名前も家名もお花の名前ですわ。

その名の通りとてもお優しく、お美しい人格を持たれた、素晴らしいご令嬢です。


外見は、オレンジがかった茶色のさらさらストレートロングヘアにアイスブルーの瞳、整ったお顔立ちのスレンダー美女でございます。


頭もよろしいのに、なぜCクラスになったのかと申しますと、入学試験の日に風邪を召されてしまい、調子が出なかったそうです。

もし体調が万全であれば、委員長もSクラス入りは確実でしたのに。

中間試験も学年末試験も上位1桁台をキープなさぅていましたから。


でも、わたくしは幸運だったと思います。

元々Cクラスの皆様はお勉強が苦手な方が多いですが、穏やかで、親しみやすい方ばかりですの。

もちろん、委員長も。

委員長と同じクラスになれたからこそ、わたくしは委員長の素晴らしさを知る事ができたのです。

クラスが違っていれば、関わりが無いため委員長の良さを知る事はできなかったでしょう。


閑話休題。



「はいっ!」


「パンジー様、どうぞ。」



勢いよく挙手なさったのはパンジー様。

学年末試験の際はお世話になりました。


パンジー様は男爵家のご令嬢で、黄色のセミロングヘアに薄紫色の瞳が特徴的な、小柄で可愛らしいご令嬢です。


委員長に促されたパンジー様は、その薄紫色の瞳を輝かせながらご自分の意見を発言なさいます。



「昨年のレモネード屋台はとても好評でしたし、準備期間は少なかったですが、私はとても楽しかったです!

私は今年もクラスの皆さんと出し物をしたいです!」



「俺も!」

「わたくしもですわ!」


パンジー様のご意見に、クラスの皆さんが次々と賛同しています。


「カサブランカ様はいかがですか?」


おっと。

皆さんの様子を微笑ましく見ていたら、賛同の波に乗り遅れてしまいましたわ。


「もちろん、わたくしも賛成ですわ。」


思わずそのまま笑顔で答えてしまいました。


「では、今年も学園祭でクラスの出し物を行うという事でよろしいですね?」


「「「異論ありません!」」」


パチパチパチパチ


満場一致でクラスの出し物を行う事に決まり、自然と拍手が湧きます。



「委員長。」


この際ですから決められる事は決めてしまった方が良いのかもしれません。

拍手が止んだタイミングを見計らって、わたくしは手を挙げて発言の許可を求めます。


「はい。カサブランカ様どうぞ。」


「ありがとうございます。

皆さん、昨年はこのクラスで皆さんと毎日お会いできましたので、ホームルームだけでなく、いつでも皆さんと出し物についての話し合いや準備ができていたと思います。

ですが、今年からは全員がそれぞれ授業を選択することとなります。

ホームルームも長期休暇明けの日しか行われなくなりますし、悲しいですが、皆さんとお会いする機会も減り、いつでも話し合いを行う事は難しくなってしまいますわ。

そこで、よろしければ今、皆んなで定期的に集まる日にちを決めておきませんこと?

1週間に一度でも、2週間に一度でも、月に一度でも構いません。

時間も例えばお昼休憩をその日出席している全員がこの教室で摂る…でも良いですし、皆さんがよろしければ学園がお休みの日に集まりを設けるのも一つの案でございます。

もちろんこれは強制ではございませんし、皆さんのお気持ちやプライベートまで犠牲にしたくはございませんので、ぜひ皆さんのご意見をお聞かせくださいませ。」



委員長に発言の許可をいただき、わたくしはクラスでの集まりを提案させていただきました。



「それ、良いな。」


そう仰ったのは、シクラメン様。

先日のマナーの試験で、わたくしのダンスパートナーになった方ですわ。


「私も賛成です!とても良い意見だと思います!」

「俺も賛成です!」

「わたくしも賛成ですわ!」

「僕もです!」


思った以上に皆が前向きに捉えてくださいました。


「良いですわね。わたくしも賛成ですわ。」


委員長も優しい笑顔で賛同してくださいました。


「それでは、集まりの日を決めましょう。

ご希望のある方、挙手を。」





話し合いの結果、昼食はその日出席している皆んなでできる限りCクラスの教室で摂り、今まで通り日頃からコミュニケーションをとる事と、毎月18日(第3安息日)の12時から3時間程の集まりを行う事が決まりました。


集まりの場所は、ご実家が国内最大手の商会であるダンデライオン様が快くご実家のタウンハウスのご提供を名乗りを上げてくださいましたので、満場一致で決まりましたわ。


その後、いくつか話し合いを重ねて、その日のホームルームは終了いたしました。





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