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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第11話



おはようございます。

クロエ・カサブランカでございます。


突然ですが皆様、本日は光の月10日。

学年末試験1日目、学科試験の日でございます。



わたくしはいつものように登校の準備を整え、自分で建てた家(マイハウス)からカサブランカ公爵家の自室へと転移(テレポート)いたします。



コンコンコン


「お嬢様、おはようございます。

登校のご準備はお済みでしょうか?」



ソファに座っていると、使用人がやってきました。

部屋の時計を見ると8時ちょうどを指しております。


わたくしはソファから立ち上がり、ドアを開けます。


「えぇ、準備は整っておりますわ。

今から登校いたしますので、馬車寄せに馬車を回してくださる?」


「かしこまりました。すぐに手配いたします。」



そう言って、使用人は足早に去っていきました。


わたくしも歩いて馬車寄せに向かいます。



10年程わたくしの専属侍女としてついてくれていたナーシャが、緑の月に隣国アクアシャイン皇国へと嫁いで行きました。


出発の前日、ナーシャがわたくしの自室まで挨拶に来てくれた際に、長くお世話になったナーシャへ感謝の気持ちを込めて、わたくしからはナーシャの名前を刺繍したハンカチと、わたくしの左目の瞳の色であるアクアマリン色のリボンを送りました。


このフローレン王国の風習で、主人が自分の色の小物を使用人に送る事は、使用人への最大の感謝と賛辞を意味するそうです。


ナーシャもその意味を知っていたようで、わたくしの贈り物を大切そうに持ちながら喜んでくれました。


その後はお互いに気持ちが溢れてしまい、泣きながら笑ってお別れをしたのは記憶に新しいですわ。


しかしやはりというべきでしょうか、ナーシャがいなくなってから、わたくしに専属の侍女がつけられる事はありませんでした。


先程のように、使用人が日替わりで朝と寝る前にわたくしの自室へ挨拶に来る程度でございます。


最低限の関わりすぎて、まるで生存確認をされている気分ですけれど。



まぁ…わたくしにとってこの状況はは好都合ですので、静観しておりますの。


1週間程様子を見ましたが問題なさそうでしたので、本格的に自分で建てた家(マイハウス)に拠点を移し、公爵邸(ここ)では朝と寝る前の挨拶を使用人と交わすのみで、あとの時間は学園と自分で建てた家(マイハウス)で過ごしておりますわ。




「お嬢様、おはようございます。」


「おはよう。

本日も学園まで、よろしくお願いしますね。」


馬車寄せに着くと、御者が挨拶をしてきます。

わたくしも挨拶を返し馬車に乗り込むと、馬車は学園に向かって緩やかに走り出しました。




王立学園1学年の試験は、入学前の陽の月に行われる入学試験、夏季休暇明けの宵の月に行われる中間試験、そして光の月に進級をかけて行われる学年末試験と、年3回行われます。


ちなみに夏季休暇は炎の月まるまるひと月、冬季休暇は雪の月まるまるひと月、そして、学年末試験を無事にパスすれば、陽の月まるまるひと月を春季休暇として過ごすことが出来ますの。


2学年になれば、中間試験と学年末試験、3学年になれば中間試験と卒業試験を受けることになります。


試験で合格ラインを超える点数を取れなければ再試験となり、再試験の点数も合格ラインを超えられなければ、その科目の単位は頂けません。


中間試験では単位を取れなくても差し支えありませんが、学年末試験と卒業試験は一気に厳しくなり、1科目でも落としてしまうと留年となり、進級または卒業が出来なくなってしまいます。



試験につきましては、1学年では全員同じ科目を履修するため、10科目全て、全員が同じ日程で受ける事になります。


試験の結果は順位表にまとめられ、総合点の順位順に1位から最下位まできっちりと全員分、中央ホールに貼り出されます。

貼り出し期間は1週間ですので、その間は生徒全員が見ることが出来ますの。



2学年、3学年ではそれぞれ選択した科目の試験を受けることになりますので、結果発表の仕方も1学年とは違い、自分の結果のみを記された紙を渡されるだけになります。

ですから、他の方の結果は知る事は出来なくなります。


それによって、わたくしが試験の際交換(チェンジ)を使うのも、今回で最後になると思っております。


本当は手を抜いた方が簡単ですし、リスクも少なくて良いのかもしれませんが、今まで頑張って勉強してきましたので、試験は全力で臨みたいのです。



先程も申し上げましたが、この試験で1科目でも単位を落としてしまえば、進級できず留年するか、退学となります。

まぁ…貴族の方はプライドがた…げふんげふん…体裁がございますので、家の仕事の都合で進学を諦める…など何かしらの理由で実質退学を選択することが多い模様です。

ごく稀に、裕福な低位貴族の家門の方で、留年されたという事はあるようですが。


平民の方はといいますと、1学年に2〜3名程学費免除の特待生として入学される方がいらっしゃいますが、特待生は成績が上位10名以内をキープ出来なければその時点で特待生の資格を失ってしまいます。

そのため、特待生は日頃から努力を重ねていらっしゃる方ばかりのようで、まず単位を落とす事はありません。

たまにお金持ちの商家のご子息、ご令嬢で単位を落としてしまい、留年される方はいらっしゃるようでございますけれど。



今回は進級と、春季休暇という貴重な時間を確保するために、再試験は避けなければなりません。

つまり、今回の交換(チェンジ)の相手は、最も点数が低い方ではなく、各教科ギリギリ合格ラインの点数を取れる方にしなければならないということでございます。



風の噂で耳にしたのですが、どうやらヒロインは生徒会に入った後、順調に攻略を進めているようです。

そこは良いのですが、お勉強の方はサッパリのご様子で、中間試験の際に最も点数が低い方という条件で交換(チェンジ)を使用した際、全ての科目でヒロインの答案用紙と交換(チェンジ)されてしまいました。


推測できることはたくさんございますが、ここではひとまず置いておきましょう。



兎にも角にも、今回の試験で答案用紙を最も点数が低い方(ヒロイン)交換(チェンジ)してしまえば再試験確定でございますので、過去2回よりもさらに慎重に魔法を行使しなければなりません。



試験の日程は以下の通りです。


1日目 数学、王国史、大陸史、地理

2日目 王国語、共通語、魔法学基礎、薬草学基礎

3日目 体術、マナー


体術、マナーは実技、他8科目は筆記での試験でございます。




「お嬢様、学園に到着しました。」


「ありがとう。」


馬車が学園の正門前に止まり、御者が馬車のドアを開けながら到着を知らせます。

わたくしは御礼を申し上げて、御者の手に自分の手を置いて馬車から降り、試験会場となる教室へ向かいました。




1時限目の数学の試験が始まります。


「試験時間は60分です。

アナウンスは3回、残り30分、15分、5分になったら行います。

それでは、始めてください。」


ペラッ!


先生の合図と共に、教室中で一斉に伏せられていた答案用紙を捲る音が響きます。

今回は特に進級がかかった試験ですから、皆さん意気込みが違いますわね。

わたくしも伏せられていた答案用紙を捲り、内容を確認いたします。


ふむ。


四則演算のオンパレードですわね。

しかも100問ございます。

そして最終問題はまさかの図形問題。

三角形の面積を求めるようでございます。


まぁとりあえず、問題数が多いため集中してミスの無いように解いていくしかありません。


ひたすら問題に集中して解答欄に記入していきます。


「残り30分!」


先生のアナウンスが入りました。

何とか四則演算分は解けました。

最終問題に取りかかりましょう。



5分程で最終問題も解き終え、見直しをしていますと…


「残り15分!」


先生の2回目のアナウンスが入りました。


見直しではミスが見つかりませんでしたし、大丈夫そうですわね。


周りの様子を見てみますと、皆さん四苦八苦されているようです。


「残り時間5分です!」


先生の最後のアナウンスに、周りの皆さんが慌てているのが伝わってきます。

わたくしだけ何もしていないのは目立ってしまいますので、もう一度見直しをしておきましょう。


「はい、終了です!

ペンを置いて、答案用紙を伏せてください!」


ペラッ…ペラッ…


ペラッ


先生のお言葉を受け、皆さん指示に従います。

もちろん、わたくしも。


「では、答案用紙を回収します。[回収(コレクト)]!」


ペラッ…ペラッペラッ!

バサッ!!!


([合格ラインギリギリの方とわたくしの答案内容を交換(チェンジ)])


スゥッ…



先生の魔法で全員の答案用紙が先生の元に集まる直前のタイミングで魔法を行使します。



【レイラ・パンジーと答案内容を交換(チェンジ)する事に成功しました】


頭の中で直接アナウンスが流れました。


無事に先生が全員の答案用紙を確認なさる前に交換(チェンジ)が完了したようで安心いたしました。



その後、30分の休憩を挟み、2時限目の王国史、1時間のお昼休憩を挟んで3時限目の大陸史、また30分の休憩を挟んで4時限目の地理の試験をそれぞれ受けて、1日目の試験は無事終了いたしました。



2日目も無事に終了し、明日は試験3日目、実技科目の試験でございます。




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