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猫を助けたかっただけなのに  作者: めい


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第9話

ここから学園編に入ります。

学園編は少し長く書かせて頂きます。



ごきげんよう。

クロエ・カサブランカでございます。


6歳のあの日から月日は流れ、わたくしは15歳になりました。


ついに、乙女ゲーム[花盛りの君に愛を捧ぐ]の舞台となる王立学園に入学いたします。

………王太子の婚約者という不名誉な肩書は消えませんでしたが。




6歳のあの日、バカ王子にあれだけはっきり物申したのに、結局、国王夫妻、並びに公爵夫妻からは何もお咎めはございませんでした。


バカ王子が王宮に帰ってから国王夫妻にあの件をチク…げふんげふん…言ったようですが、同行していた侍従さんの証言も併せて聞いた国王夫妻は、バカ王子のわたくしに対する度重なる非常識な振る舞いに頭を抱え、逆にわたくしがバカ王子にはっきりと物申したことに感謝されてしまいました。解せぬ。


その後、バカ王子は周りにいた者を刷新され、それまでサボっていた分も含めて、王太子教育をみっちりと受ける事になったそうです。


閑話休題。




本日花の月1日。


真新しい王立学園の制服に身を包み、わたくしは今、王立学園入学セレモニーのため、学園のメインホールにおります。


乙女ゲームで異世界のお話…とはいえ、そこは日本の乙女ゲーム。


この王立学園には、制服がございます。

わたくしが今着ている女生徒の制服は、紺色のラインが刺繍された襟の白いブラウスに、黒のジャンバースカートはミモレ丈のAラインで、中に白いパニエを着用して、よりふんわりとしています。

左胸部分に学園の紋章が刺繍された黒いボレロを羽織り、襟元は大きめの白いリボンを付けます。

足元は黒いストッキングに黒いメリージェーンシューズといった、クラシカルで素敵な制服です。


男性の制服は、白いワイシャツ、左胸に学園の紋章が刺繍されている黒のダブルブレストジャケット、ダークグレーのストレートパンツに足元は黒のレースアップシューズ。

首に紺色のスカーフを巻き、ジャケットの合わせ目程までボタンを開けたシャツの中に収めます。


華やかさは無いかもしれませんが、中世ヨーロッパ『風』の乙女ゲームですので、設定に合っていて良いのではないでしょうか。



そして、入学セレモニーの内容は前世の入学式とあまり変わらないかと存じます。


まぁ…前世では高校を卒業して10年程経過しておりましたので、記憶が曖昧な所はございますが。


セレモニーの内容としましては、

1.学園長のご挨拶

2.新入生総代挨拶

3.生徒会長のご挨拶

4.生徒会メンバー発表

5.クラブ活動紹介


まぁこのような感じでしょうか。



ちなみに新入生総代はヒロインですわ。


学園の門をくぐったヒロインは、入学セレモニーの会場であるメインホールに向かうまでの間、攻略対象者達と矢継ぎ早に出会います。

門をくぐってすぐにぶつかってしまったり、迷った先の庭園で声をかけられたり…といったように、攻略対象者それぞれと挨拶だったり言葉を交わしていきますの。

その後、新入生総代の挨拶で壇上に立つヒロインを攻略対象者達がそれぞれの思いで見つめる…というのがこのゲームのプロローグです。


予定調和にヒロインが新入生総代として挨拶を行い、今は生徒会長のご挨拶中でございます。



1学年時のクラス分けは単純に入学試験の成績順となり、この会場の席順で分かります。

セレモニー会場であるここ、メインホール入口の横に、席次表が張り出されており、そこで確認し、着席いたします。


クラスは成績上位順に、Sクラス、Aクラス、Bクラス、Cクラスと4つに分けられ、Sは成績優秀者のクラスでございます。


ちなみにわたくしはCクラスでございます。

あ、入学試験は本気で臨みましたわよ?

自分の実力を知りたかったので。


ですが、将来に向けての考えと、ゲームでは王太子やヒロイン、攻略対象者達はもれなくSクラスで生徒会メンバーという設定でございましたので、Sクラスになってしまえばメインキャラクター達と大いに関わらざるを得なくなります。


そこで、答案用紙に交換(チェンジ)を使いましたの。


誰と交換(チェンジ)したかというと、ヒロインですわ。


最初はバカ王子に指定しようかと思いましたが…

6歳のあの日を境に周りにいた使用人を刷新され、みっちりと王太子教育のカリキュラムを組まれたバカ王子は、なんと勉強『は』出来るようになっていたのです!


いや、王家最初から甘やかさないで本気出してよ…


まぁそういうことで、1番点数が低…げふんげふん…合格ラインギリギリの方と思って発動させましたら、何と全科目ヒロインの答案用紙と交換(チェンジ)されていましたの。


どういうことでしょう?

ゲームでは、ヒロインは地頭が良く、要領も良いため、少し勉強しただけで成績はトップクラスという、何ともうらやましい設定でしたのに。


これは少し調べる必要がありそうですわ。

ですがまだ、生徒会長のお話が続いておりますので、もう少し学園についてのご説明をさせていただきましょう。



1学年では全員同じカリキュラムを履修いたします。


1学年で履修する科目は

数学、王国史、大陸史、地理、王国語、共通語、魔法学基礎、薬草学基礎、体術、マナー

以上の10科目でございます。


1学年では教養や専門分野の基礎を学びます。

といっても、貴族は幼い頃から学園入学前まで、家庭教師を付けてみっちりとお勉強しておりますし、平民の方や、貴族の方でも家庭教師を付けられない方は、教会が無料で門戸を開いている学校(日本の江戸時代でいう寺子屋に近いものでしょうか)に通い、学園入学に備えた勉強を行なっているため、1年間の基礎学習で意外と何とかなるようです。

あとはまぁ…乙女ゲームの世界ですので…


こほん。


2学年からは、1学年で学んだ内容を基に専門的に学ぶため、自分で受講を希望する授業を選択し、カリキュラムを組むことが出来ますの。



おっと、生徒会長のお話が終わり、生徒会メンバーの発表に移りましたわ。

生徒会顧問の先生が今年の新入生から5人のメンバーを発表し、名前を呼ばれた方は壇上に上がっていきます。


ふむ。ゲームと同じ結果になりましたわ。

今年の新入生からは、ヒロイン、王太子、宰相令息、騎士団長令息、魔法師団長令息の5人が選出されました。

生徒会メンバーは入学試験の成績上位者5名が選出され、よっぽど成績が落ちない限り、卒業するまでの3年間務めなければなりません。


選出されたメンバー、ヒロイン以外は全員攻略対象者です。

そして実は生徒会顧問も攻略対象者ですの。

…本当に入学試験の答案用紙を交換(チェンジ)しておいて正解でしたわ。


そしてクラブ活動の紹介も終わり、入学セレモニーは終了いたしました。



この後は教室にてクラスごとにホームルームが行われ、自己紹介や学園の施設、制度等の説明を受けて、本日の予定は終了でございます。



「おい、クロエ。」


教室へ向かっていると、後ろから声をかけられました。



「…何か御用でしょうか。王太子殿下。」


振り返ると、バカ王…げふんげふん…王太子でした。

どうせ嫌味でも言いに来たのでしょう。

後ろには取り巻きとなった宰相令息、騎士団長令息、魔法師団長令息を引き連れています。

わたくしは顔に笑顔を貼り付けて応対します。


「お前、入学試験で手を抜いたのか?」


勉強『は』できるようになった王太子ですが、こういう所は昔から変わっていません。


「いいえ?本気で臨みましたわ。」


本当のことです。

その後、ちょーっと細工はしましたけれど。


「…まぁいい。

それと、俺の事はレオンと呼べと言っただろう。何度言えば分かるんだ。」


「申し訳ございません。

王太子殿下は王太子殿下ですので。」


そう。

6歳のあの日以降、なぜか王太子に愛称呼びを強要されるようになりました。

めんどくさ…げふんげふん…呼ぶ必要性を感じませんので、その都度躱して未だに名前を呼んだ事はございません。

呼びたいとも思いませんが。


「そろそろ教室へ向かわなくては、遅れてしまいますわ。

それでは皆様、ごきげんよう。」


顔に笑顔を貼り付けたまま、その他3名ひっくるめてご挨拶をし、その場から立ち去ります。

Sクラスは成績優秀者のクラスですので、全ての学年のSクラスのみ、教室が特別棟にあるのが功を奏しました。

わたくしはCクラスでございますので、教室は講義棟にございます。

さぁさぁ、これでーーーーー


「それなら、教室まで送ろう。」


逃げられると思ったら王太子が余計な一言を言いやがりました。

わたくしは貼り付けた笑顔が剥がれないよう気をつけながら、精一杯お断りいたします。


「せっかくのご提案ではございますが、結構でございます。

それぞれの教室がある棟は歩いて10分以上かかる距離でございますもの。

わたくしを送ったために皆様がホームルームに遅れただなんて、あってはなりませんわ。」


「それなら問題ありません。

私から先生に遅れる旨をお伝えしますから。」


宰相令息か…めんどくさ…げふんげふん…余計な援護はしないで頂きたいですわね。

取り巻きなら主人を諌めることも必要ですわよ。


「まぁ…アイスバーグ様…」


「おーい。新入生何してる。

早く教室に行かないとホームルーム始まるぞ。」


わたくしが宰相令息に反論しようとしたその時、近くにいらっしゃった先生がこちらに向かって注意してくださいました。


先生、ナイスですわ!


「それでは皆様、ごきげんよう。」


わたくしはこのチャンスを活かすべく、急いで教室へと向かいました。


あー危なかった。

これからは、学園にいる時は攻略対象者とヒロインがわたくしのことを認識できないように、認識阻害をかけておいた方が良いかもしれませんわね。



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