表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

5話 腐女子捕まる…!?

 終わった……………、

 R18指定のBL漫画を読んでいたらエルフくんが起きてしまった。


 いや、起きたこと自体は本当に良かったと思う。でもね?

 エルフくんに向けてた表紙ガッツリ裸。

 私…死んだ?変態としてこの子の保護者に殺されないよね?


「助けてくれたんですよね…?」


 内心が大変なことになってる時、エルフくんがこちらをおずおずと見つめてきた。

 その目は怯えが滲んでいるように見える。


 あぁ、やっぱ変態認定されちゃったんだ。


 もしかしたらバレていないかもしれない、という一縷の望みが砕けたが、自業自得だと自分を説得して、頷く。


「ありがとうございます…えっと、本当に申し訳ないんですけど…返すものが何もなくって……」


 あぁ、やっぱだ……警戒されてる。

 後退りしてるし…怖がられてるなこれ。


「なにもいりませんよ」


 出来るだけ穏やかに言葉を返す。 

 何か変なことを要求されると思って怖がっているのだろう。

 

「そういうわけには…なにか手伝わさせてください」


 エルフくんに頭を下げられてしまった。

 でも本当に何かして欲しくて救ったわけではない。

 なんなら一瞬でも、妄想の世界で受け攻めを考えてしまった罪悪感すらある。私からお詫びがしたいくらいだ。


 でも、エルフくんの態度からして裏のない善意のほうが怖いって感じに見える。多分このまま帰らせても納得してくれないだろう。


「農業はできますか?」


 それなら、一日で終わるマッハ・ポテトの農業の手伝いだけしてもらうことにしよう。

 そしたらお土産に何個か渡して…私の罪悪感もついでに晴らさせてもらえる。


「はいっ!なんでもします!」


 エルフくんは顔をパッと明るくして声を上げた。しかし、その言葉は少し、いただけない。


 「なんでもする」なんて悪い大人にどんな目に遭わされるか…BL漫画の読み過ぎと言われたらそれ以上言い返すことは出来ないが、少なくとも目の前でR18指定BL本を読んでいた大人に言っていい言葉ではない。


 本当は素直で警戒心のない子なのかもしれない。


「何でもするなんて言ってはいけませんよ」


 叱りすぎても何様だって感じだけど、これくらいなら許してくれるだろう。


 私は満足すると畑へと歩き始めた。


 ……………さっきから気取っているように思われるかもしれないが、思い出してほしい。私は前世人見知り腐女子。今世二百年熟成腐女子(人と一度も会っていない)だ。

 つまり、喋れない人見知りである。


 許してください。


 心の中で謝っても意味がないのはわかっているけど、言葉に出すことなんて出来るわけもなく、表面上はニコニコと微笑むことしかできなかった。


「あの…あなたは此処でずっと一人で暮らしているんですか…?」


 それに頷くとエルフくんの顔が固まった。

 私の像が、一人山奥で暮らす危険変態になってしまったのだろうか?

        

「…最近暮らし始めたわけじゃない…じゃあ、あの人間たちとは無関係……?」


 エルフくんが俯き、何か考えに耽っている。


 疲れたのなら今から農業をしなくてもいいけど…どうしたんだろ。


 エルフくんを呼ぼうとしたが、開いた口をすぐに閉じる。

 私は鑑定でニルス・オーフェルという名を知っているけど、いきなり教えてもないのに知らない奴が名前を呼んできたら怖いだろう。

 

「あなたの名前はなんですか?」


「…ニルスです、あなたは?」


 当然名前を聞き返されたが、本名の萌を名乗っていいのだろうか?

 多分この世界観的に萌という名は、かなり浮くだろう。


「あの…?」


 私が沈黙しているとニルスくんが困惑してしまった。


 何でもいいから答えなきゃ……。


「私はフェリアスです」


 フェリアスとはさっき呼んでいたBL漫画のモブの名前だ。

 グラマリアの漫画だったし、多分モブの名前なんだから一般的な名前なのだろう。


「……じゃあ、フェリアスさん僕は何をすればいいですか?」


 私の即席の名前を飲み込むと、ニルスくんは畑の前に立った。

 やると言っても、ただ芋の収穫を手伝ってもらうだけだ。それが終わったら家に返してあげるつもりだし、日が沈む前に終わらせたい。


「マッハ・ポテトの収穫を手伝ってください」


 心の中で十喋って、口では一くらいしか話さない。やはり、前世よりもコミュニケーション能力が下がってしまった気がする。


「マッハ・ポテト…珍しいですね、わかりました。精一杯やらせてもらいます!」


 ニルスくんは嫌な顔せずに手や足を汚して畑からマッハ・ポテトを掘ってくれた。

 私がやるよりも早く終わり、センスの差を感じさせられる。


 私は百年間やってたのになぁ…そう言えばニルスくんは攻撃力Dなんだったけ?

 私は………二百年前に見てから自分のステータス見たことないからわからないな…見てみよう、もしかしたら上がってるかもしれないし…!


 正直ぐーたらBL本を読んでは、ふかし芋を貪る生活をしていた自分の能力値が大きく変わっている気はしないが、興味本位で切り株に座ると、マッハ・ポテトを収穫するニルスくんを横目に心の中で「鑑定」と唱えた。

最後まで見てくださりありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ