出落ちなのこれ?
「……かくかくしかじかで、こうなった」
「うん、よく分からないわ」
「しゃーねーじゃん、あの神様本気で頼りねぇし。なら俺にやれって言うしで、もうめんどくさいったらありゃしないので……統括やる事にした」
「タカツグ様、すぐには答えださないと仰ってましたが?」
「あれ見たらそうも言ってられんだろう、だけどちったぁ反省して貰わねぇとならないし、すぐに返答しなかっただけで、腹ん中は決めてた」
「やるわね、漢だわ」
「タカツグ様は出来る子です、なんと言っても私のパートナーですから」
「ミルフィ、何かその言い方上から目線」
何やかんやと、首脳会議ならぬ種脳会議?エルフ・精霊・ドワーフ・ドラゴン・天使と俺。王都の王宮の間で会議をする事になり、がやがやと今回の情報交換をしていた。
実際、魔族からの被害が一番多いのは人間界。続いて精霊達らしい。これは別段偏見でも無いらしく。人間界は一番広いし、なんと言っても転移先になっているかららしい。そして精霊界は森や山などに魔物化した元人間がうろついているから、だそうだ。
「全く迷惑極まりないったらありしゃしない、貴方達はいいわねぇ。エルフの里は結界があるし」
「だが、エルフの里も実際襲撃にあっておる……狩りの最中とかな」
所謂偏見?幻想だろうか、エルフって肉食わないのかとか思ったら普通に食うらしく、その為弓の凄腕使い手ともなれば、長候補になれるとか何とか。
そりゃ魔力持ちのレティは居辛いだろうなぁ、としみじみ感じる。
「……で具体的にはどうするんだ?」
「魔族の領域にカチコミかける」
「「「「へ?」」」」
一気に皆の目が此方を見る。
「だって、奴ら徒党組んでるわけだし、絶対どっかに拠点あると思うぜ」
「色々調べてみたけど、はっきりとは分からないのよ」
「エルフの被害状況は?」
「数件程あったわ、命に別状はなかったけど」
ふむ、と一考。
「襲撃に合った後、奴らはどちらの方向に行ったかまでは分かるか?」
「私分かります」
精霊の長が口を開く。
「北の山脈地帯の方へ飛んでいく姿を目撃しました」
「そういえば澪も同じ事言ってたわ」
北か、とドワーフも頷く。
「そちらの方面は俺が調べる。アンタらは互いに協力し合って襲撃に備えてくれ」
「人間と?」
「当たり前だ、精霊さん。同じ世界に住んでんだろうが、同時にアンタらが襲われた場合も他に援軍だして貰え」
「連絡は?すぐに出来ないのよ」
「水晶級とか、連絡出来る魔道具は無いのか?」
「それなら、儂らのを貸し出そう」
と、人間の王が提案する。魔力無しの種族だからか、そういった道具を日々研究していたらしい。
「いざとなれば、鳥を飛ばす方法もある」
「でも、間に合わなければ?」
「瞬間移動は出来んぞ」
「精霊はどこにでも移動できるけど」
「それ、どうやっているんだ?」
「貴方がたがやっているのと同じよ、神の世界に行ったでしょう?門を開けるの」
「なら、中継にうってつけだな。精霊の長の所と援軍の所へ同時に襲撃の連絡を飛ばし門を双方に開ける」
「それ、うちが一番仕事量多いじゃない」
「共倒れよかマシだろう、多い少ないじゃない。適材適所だ、純粋な戦闘力はエルフ・人間の方が慣れているだろう。ギルドも動かす」
「ギルドを……か?出来るのか」
「幸いと言っちゃなんだが、俺の魔力量は桁外れらしい。その分の働きを対価にする」
「……タカツグ様、仕事量が多過ぎですよ。倒れてしまいます」
ミルフィの心配げな表情に。
「元の世界に比べりゃ、やりがいも体力もある。寧ろ俺はこいつら皆助けたい」
「あ」
ミルフィの姿が光輝き、羽が一対ずつ増える。
「……また進化しましたね」
「もう何があっても驚かんぞ儂は」
エルフの長は腕組みをし、そう言い放つ。
「タカツグのパートナーは、タカツグ本人がやる気出せばパワーアップ出来るの?」
レィティの服の裾を握っている澪が、恐る恐るそう言い出すと。
「やる気?そうなのか?」
「詳細はわかりません、今まで前例が無かった事ですから」
ミルフィも磨き上げられているはめ込み式の窓ガラスに映った己の姿に、驚いている。
「タカツグ様も、多分レベルアップされているのでは無いかと」
「俺?そういや久方ステータス開いてないな」
リュックの中から、タブレットを出し。ステータスを見る。
「何々…世界の統括者・闇の魔導士だぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「あらら」
「俺まだ創造神にやるって言ってねぇぞ」
そう叫ぶと、タブレットにメッセージが届く。
『ステータスはレベルアップと同時に此方にも連絡が来るのじゃ、何故か最近激減しておったと先程、担当者から報告があった』
「そういう事はさっさと教えろ、禿げ」
タブレットで返レスしてからリュックに放り込む。
「しゃねーな、やるか」
「そうですね、もうタカツグ様は選ばれし勇者なのですから」
「変な称号はもういらねぇよ、んじゃ北の方か」
「妾が乗せて行くぞ、タカツグ」
「トカゲもたまには役に立ちますね」
「羽虫が、羽が増えて調子に乗るでない」
何かこういうやり取りすらも懐かしいな、とぎゃいぎゃいやり合っている二人の間に割り込み。
「メイヴもミルフィもいい加減にしろ。寧ろこちらから頼もうと思っていた所だ、メイヴありがたい頼む」
「そうだろう、そうだろう」
満足げに頷く、ドラゴンのメイヴに半分呆れながらも煽てておく。
「魔族の位置は大体の辺りを付けた。北の山脈地帯らしい……俺が行けば何らかのコンタクトを取ってくるだろう」
「囮になるのか?」
「……あまり言いたくはないが、この厨二的な称号を持つ俺が動けば向こうも放ってはいないだろうからな」
「いいじゃないですか、格好良いですよ」
こちとら恥ずかしいんだよ。そう言いつつも利用できるものは全部利用する。
勿論、メイヴらは巻き込む事はしたく無い。
新たな覚悟を決め、旅立ちの準備に取り掛かる。




